私たち、渕田酒造本店(熊本県球磨村一勝地)と松下醸造場(熊本県水上村岩野)のプロジェクトは、球磨焼酎におけるシェリー樽貯蔵を、両蔵の協力と融合によってブレンドするという挑戦です。このプロジェクトは、ウィスキーの製法であるブレンド文化を球磨焼酎に取り入れ、2つの蔵元の焼酎をブレンドさせることに挑みます。焼酎造りの領域においては何ごとも冒険であり、私たちの情熱と創造力を凝縮したものです。
このプロジェクトのきっかけは、3年前に起きた「令和2年7月豪雨」にさかのぼります。その豪雨により球磨村の中でも一勝地という地域は甚大な被害を受けました。その一勝地にある渕田酒造本店も被災しました。被災直後、すぐに支援に動いたのが松下醸造場でした。車で40分ほど離れた水上村から、ほぼ毎日渕田酒造本店を訪れ、散乱した瓶やがれきの撤去の手伝いを続けました。水害から3年経った今でもその関係は変わっていません。お互いの蔵元の伝統と情熱を結集し、新たな可能性を創り出すことを目指しています。
令和2年7月4日、熊本県を襲った豪雨水害で渕田酒造本店(熊本県球磨村一勝地)は大きな被害を受けました。そしてその時、老人ホームにいた渕田酒造本店・7代目の渕田嘉助氏の母・渕田勝子さんは水害の被害に遭い亡くなりました。
嘉助氏は氾濫した川の水が引いた段階で酒蔵に現地確認に行くと、泥だらけで物が散乱した状態に愕然としました。嘉助氏には絶望感しかありませんでした。しかし、その絶望的な状況の中に、一筋の光がありました。それは、母・渕田勝子さんと一緒に心を込めて醸した樽貯蔵が被害を受けずに奇跡的に残されていたのです。
嘉助氏はそのお酒をそのままの姿で世に送り出したいと強く思うようになりました。母の思い出を形にし、大自然の威力に立ち向かった自分達の無力さと、それでも再起を誓った強い意志を象徴するものでした。
しかし、そこには法律の壁が存在した。樽貯蔵で貯蔵した焼酎はどうしても色が付きます。そしてその色が濃すぎると、酒税法により焼酎として出荷できません。
そこで、日ごろから手伝いや協力をしている松下醸造場・14代目の松下直揮氏がある提案をしました。
「焼酎には色の制限があるため、リキュールとして出荷してみてはどうですか?」
製造の関係で、製造者は松下醸造場になるが、そのままの状態で出荷できることに変わりはありません。ウィスキーにはブレンドの文化がありますが、焼酎のブレンドはあまり聞いたことがありません。渕田酒造本店のシェリー樽と松下醸造場のシェリー樽をブレンドした日本初の球磨焼酎のブレンド樽貯蔵は面白いのではないかと考えました。
松下氏の祖母(俊子さん)と渕田氏の母は昔から交流があり互いの蔵を行ったり来たりと大変仲の良い関係でした。それなら母勝子さんも喜んでくれるに違いない。そして、伝統産業である球磨焼酎に新たな世界観が広がると思いました。
最後にもう一つストーリーが。渕田酒造本店には3年前、水害に遭った際、止まったままの時計があります。その時間は「7時16分」を指したままです。今回新たな一歩を踏み出す意味を込めて、プロジェクト開始時間を「7時16分」としました。
テーマは「つなぐ」です。つなぐには大きく二つの意味があります。
先代から受け継いだ酒を過去から現在、そして未来へと「つなぐ」。
そして、水害から未だに完全復興できず、悩み苦しんでいる人達がいます。そして水害から一緒に立ち上がろうとしてくれた沢山のボランティアの人達がいます。その人と人を「つなぐ」。
私たちは「つなぐ」をテーマにこのプロジェクトを行います。
今回、渕田酒造本店が培ってきた豊かな風味と風格を持つシェリー樽の球磨焼酎を、松下醸造場が心を込めて瓶詰めします。この作業は、ただ単に瓶詰めをするという以上の意味を持ちます。それは蔵元同士が互いを支え合い、共に新たな価値を創り出す、まさに"つなぐ"というテーマです。
製造者は松下醸造場となりますが、瓶詰めされた中身は渕田酒造本店の魂を持っています。その一滴には渕田酒造本店の情熱と松下醸造場の技が融合したものです。それは、一緒に立ち向かい、一緒に成長し、夢を追い続ける二つの蔵元のストーリーです。
先代から受け継いだ酒、そしてそれを継承する伝統、これら全てが一つに結びついて、新たな一歩を踏み出す力になります。この挑戦が、我々の想いとともに未来へと繋がっていくことを心から願っています。
皆様、こんにちは。渕田酒造本店・7代目の渕田嘉助と申します。
まずはじめに、私たちの活動を支えるため、クラウドファンディングに応募させて頂き、心から感謝申し上げます。
また、同じ球磨焼酎の造り手として共に切磋琢磨してきた松下醸造場の松下さんにも感謝いたします。彼の献身的な支援と共感、そして情熱が私の復興の力となっています。
私たち渕田酒造本店は、伝統の技術を受け継ぎ、丹精込めて焼酎を造り続けてまいりました。しかし、想像を超えた災害に見舞われ、一時はその道を断たれるかと思われました。
それでも、皆様からの温かい援助と励ましに支えられ、再び焼酎造りの道を歩み続けることができました。
ここに至るまで、皆様から頂いた支援は、私たちの心に深く刻まれ、これからの活動の大きな原動力になります。何卒よろしくお願いします。(渕田酒造本店・渕田嘉助)
※23年5月、ようやく再建した渕田酒造本店の外観
皆様、こんにちは。松下醸造場・14代目の松下直揮と申します。
私たち松下醸造場は球磨焼酎最古の蔵として、代々受け継がれてきた技術と伝統を活かし、一滴一滴を丹精込めて醸す焼酎作りを行っております。
今回は、皆様のご理解とご支援に心から感謝申し上げます。これからも、私たちの酒造りまたは復興に対する情熱と努力を絶やすことなく焼酎を醸し続けます。
今回のクラウドファンディング通して改めて渕田さんと一緒にここまでこれたことに感謝申し上げます。(松下醸造場・松下直揮)
※現在の松下醸造場の外観
美しい琥珀色を湛えたこの球磨焼酎は、一見してその特異な存在感を放ち、特徴的なその色合いはシェリー樽熟成の証です。この焼酎が、かつてシェリーが寝かされていた樽で時間を経て熟成され、その結果として独特な色合いと風味を醸し出します。
シェリー樽に由来するその香りは、まるで甘いカシスやプルーンの熟した果実を思わせます。その香りは濃厚で甘美、口に含むと一面に広がります。しかし、その中にも、焼酎としての本質、すなわち米から引き出された穏やかな甘さが感じます。
その結果として生まれるのは、シェリー樽の豊かな果実の風味と、米焼酎独特の柔らかな甘味が見事に調和した焼酎です。
口に含む瞬間は、濃厚な香りが漂い、次にその風味が舌を包み込みます。
最後に、米の甘さがゆっくりと後口に残りほんのり日本の米を感じさせ、お肉やチーズなどとの相性が抜群です!
シェリー樽熟成の球磨焼酎は、まさに味覚の冒険です。その一滴一滴に、造り手の情熱と技術、そして時間の経過が感じられます。
※ラベルはイメージです。変更となる場合があります。
①繋(つなぐ) アルコール度数35度
シェリー樽貯蔵の二つの蔵元をブレンドしました。渕田酒造本店の8年貯蔵シェリー樽と松下醸造場の7年貯蔵シェリー樽貯蔵のブレンドです。そして。2つの蔵元に眠る秘蔵の貯蔵酒をさらにブレンドしたつながりを感じる一杯です。
(酒税法の関係で食物繊維を入れたリキュール企画になりますが元の中身は焼酎になります。)
オススメの飲み方・・・ロックまたはソーダ割り
※ラベルはイメージです。変更となる場合があります。
②一勝地(仮) アルコール度数34度
シェリー樽(マンサニージャ)にて8年貯蔵しました。母(勝子さん)から受け継いだ樽貯蔵になります。非常に柔らかな味わいが特徴で最後まで優しさを感じる味わいです。
(渕田酒造本店の焼酎です)
オススメの飲み方・・・ロックまたはソーダ割り
購入支援金額 6,500円(税込・送料込)
※ラベルはイメージです。変更となる場合があります。
③水神蔵 アルコール度数35度
球磨焼酎の最古の蔵元であり、この特別な焼酎は、オーク樽からさらに追加でシェリー樽(オロロソ)にて7年間熟成されました。その結果、特筆すべきはシェリーの香りの特徴で米の甘味が豊かに広がり、まろやかで心地よい味わいが楽しめます。
オススメの飲み方・・・ロックまたはソーダ割り
※ラベルはイメージです。変更となる場合があります。
私たち二人は常に支え合い、助け合ってきました。今後もその関係は変わらず、蔵元再建、球磨焼酎復興のために精進してまいります。一人でも多くの方にご支援いただけますと私たちの明日への活力となります。どうぞよろしくお願いします。