残り1週間となり、目標達成まであと一歩のところまで来ました!応援してくださる皆さま、本当にありがとうございます!
海外マンガ原書の蒐集家であり、蔵書を展示するイベント「#カタカナマンガの虫干会」を主催されている、海外マンガ好きには知る人ぞ知るやつはしさんが応援メッセージを寄せてくださいました!やつはしさん、本当にありがとうございます!(発起人 森﨑)
バンドデシネ。魅力的な表紙につられてつい衝動買いしてしまいがちなのですが「どんな作品なの?」と聞かれると少しドキッとしてしまいます。著者名の読み方もこれであってるのかなとか……。原書のコミックスは「読むより楽しむ」と割りきって、外国語の部分はもっぱら機械翻訳に頼りきってます。そんな海外マンガライトユーザーですので、サウザンコミックスさんの邦訳プロジェクトが立ち上がるたびに「ありがてぇ…ありがてぇ…」といつも拝むような気持ちで支援させていただいてます。
2020年の発売当時、当作はフランス本国でかなり話題になっていた印象でSNSでもよく目にしていました(クラウドファンディング第一弾の『レベティコ』もちょうどこの頃でしたね)。前評判通りアングレーム、フナックの各賞にノミネートし、ACBDではグランプリを獲得しました。私自身も、個別注文ではなくBooks Kinokuniya Tokyoで平積みされていたものを購入しました。この年を代表する一冊なのだと思います。
原書刊行から4年、当プロジェクト10月31日付の活動報告で『男の皮』の邦訳版が一部公開されました。ページ表記はグレナ社の原書と同じで13ページから17ページまで。
主人公のビアンカが初めて「男の皮」を目の当たりにする、表紙の印象が再現される場面です。
『男の皮』P14から抜粋
皮、すごくフラットに描かれてますよね。
実写でイメージするともっと「ズロロォ…」っとした質感なんじゃないかと思います。男の皮のオーナーの叔母さんは自邸に招いた時点でビアンカに皮を着せる気まんまんなので、たぶん前日から下ごしらえしてたんだろうと想像します(かんぴょうを塩もみするみたいな感じで)。そんなアイテムが代々受け継がれて、着回されている。構造的に見てもなかなかグロテスクです。17ページ目の、乳頭から噴水している裸婦像にカタツムリが這う一枚絵もコミカルで象徴的です。
『男の皮』P17
森﨑さんの「痛快ラブコメマンガ」と言う惹き句にうなずく一方、個人的にはやや性質を異にしたところで滝平二郎さんの挿絵(斎藤隆介『モチモチの木』『花さき山』など)やマルセイユ版タロットカードの絵札などに通ずるニュアンスもあるように感じました。
おそらくカラーの効果が大きいのでしょう。ポスタリゼーションされた画面と、ビアンカの真っ白な肌。周囲のキャラクターとの美醜の対比にとどまらず、出てくるどうぶつのかわいさまで何だか普段と違った意味を持つようです。寓話的な演出がくどくならないのは、過去作品で人魚のヒロインや中世の舞台などをモチーフとして取り入れてきたユベール&ザンジムの協業の成果なのかもしれません。
皮として、物体としてある。けどフィクションだから実態があるわけではない。傍目にはペラペラ。でも足をつっこんでみたら新たな感覚が芽生えるかもしれない。私の好きなマンガ『勇者ヴォグ・ランバ』から言葉を借りると「物理世界と記号世界の重なる領域」って感じでしょうか。
著者二人と愉快な対話を始められそうな。あるいは誰かに絵本を読んできかせるような。そんな楽しげな予感があると、しばらくそのページにとどまっていたくなります。フォルムや色彩に込められた工夫に連想が広がります。
あらためて『男の皮』はユベール氏のアイデアとザンジム氏の画面作りが見事にかみあった、バンドデシネの魅力を堪能できる一作だと思います。
読めさえすればそれらしい感想も書けようというものです。翻訳出版を楽しみにしています。
やつはし
一般企業勤務のかたわら海外マンガ研究所「ゴンラインラボラトリ」の助手を担当。「#カ
タカナマンガの虫干会」という海外マンガの原書の展示イベントを主催しています。未邦訳バンドデシネを紹介する同人誌「Bedequête(ベデケート)」の第1号を今年の年末頃に刊行予定です。
X:@rare_and_baked
やつはしさんは、2025年2月16日に東京ビッグサイトで開催予定のイベント「COMITIA151」へサークル「ゴンラインラボラトリ」にて参加予定で、未邦訳バンドデシネ紹介誌『ベデケートBEDEQUÊTE』vol.1を頒布するそうです!私も少しだけ参加しています!
長かったクラファン期間も残りわずか! 皆さまのおかげで成立も間近になりました!
ご支援やコースのアップグレード、情報拡散など最後まで応援してくださると嬉しいです!