活動報告がすっかりご無沙汰してしまいました。昨年中に翻訳原稿を完成させ、次は「副読本・資料集」の製作に集中する予定でした。しかし、今年2月末にゲラが上がり、著者校正を始めると、誤字・脱字、ゆらぎ、重言、不自然な表現など、修正すべき箇所が大量に見つかって、原稿は真っ赤に。それを専門の校正担当の方に渡すと、さらに多くの修正が加えられることになりました。
「これで完璧だ」と思い、仕上がりを待っていましたが、3月に校正済みのゲラが上がってきた際、軽くチェックしただけでも修正が必要な箇所をいくつか発見。「これはまずい」と思い、改めてじっくり読み込むと、またしても真っ赤な修正原稿に…。
現在、二度目の校正を終えた原稿を編集部に送り、確認のゲラが上がってくるのを待っているところです。次のゲラにも修正点が見つかるかもしれませんが、間違いなく仕上がりは良くなっています。今回こそ完璧な状態に仕上げ、夏の発行を目指して最後まで頑張ります!
そんな校正作業と並行して、「副読本・資料集」の製作も進めています。これは予算の関係もあって、紙の本にはできず、PDFの電子書籍にする予定です。原稿を書き進めているのですが、その一部をご紹介します。
まずは、副読本の表紙と題名の案です。
「最強伝説の完全記録 ~ローラン・ボック1973-1982~」
どうでしょうか?どこかで聞いたことがあるような題名ですね。アントニオ猪木ファンなら分かるかもしれませんが、途中で製作を断念してしまいそうなタイトルです。でも、製作するのは1巻ですので、半分だけ出版して終わることはありません。ご安心を。
「副読本」の執筆にあたっては、手持ちの書籍をひも解き、国会図書館に通い、資料を徹底的に読み込みながらまとめています。特に国会図書館で『東京スポーツ』の紙面から情報を収集するという作業は、「東スポ」の愛読者なら奇妙に感じてしまう作業であることは確かです。
それはさておき、悩んでいるのは、自分で取材した情報が一切ないこと。一般のファンが40年前のドイツの出来事を取材するのは容易ではありません。したがって、出来事や関係者の発言を整理しても、すべてどこかに書かれた内容をまとめる作業になってしまいます。しかし「副読本」を作るにあたり、ただの転載では意味がありません。資料をしっかり読み込んだ上で、自分の言葉で書かなければならないのです。
もちろん引用は多くなりますが、それには文章の引用ルールがあります。引用する以上、その文章に対して考察や意見を加え、必然性のある引用でなければなりません。紹介したい記事は数多くありますが、それぞれに考察を加えるのは結構大変な作業です。とはいえ、プロレス好きの自分にとっては楽しみでもあり、その分時間がかかってしまうのは避けられません。
翻訳を進めながら整理したオリジナル資料も「副読本」に収録しています。例えば、日本で発売されていない「ルネ・ラサルテス自伝」から、ローラン・ボック関連の記述を拾い出して解説した章は、オリジナルの文章です。著作権も考えて、ボックに関係する一部だけを抜粋して要約した翻訳になりますが、新たな情報が含まれているはずです。
また、『BOCK!』の中に書かれているのは外国の出来事なので、次々と登場する聞き慣れないドイツや周辺諸国の地名の把握に苦労しました。そこで、地名を地図上にプロットしながら翻訳を進めました。どこで起こった出来事なのかが曖昧だと、ストーリーの理解が難しくなるからです。ドイツ人なら感覚的に分かることも、日本人には馴染みが薄い部分です。日本語版を読むにあたり「副読本」に地図があれば、より理解を深められるはずです。
プロレスラーの世界には、男子校のような荒々しい言葉遣いや、際どい遊びの要素がつきものです。原書にはそれがそのまま表現され、時には下品な言葉や過度にエロティックな描写が含まれていたりします。全体のトーンを考えながら、日本語に落とし込むのは容易ではありませんでした。品格を保つよう工夫しつつ翻訳したつもりですが、実はこんな苦労があったという裏話も「副読本」に盛り込んでいます。
副読本も、完成間近です。
この活動報告をお読みいただいている皆さん全員が、副読本付きのコースではないのに、今回は副読本のお話がメインで申し訳ありません。でも、メインの『BOCK!』日本語翻訳版だけでも、絶対に面白い本に仕上がることをお約束します。ご期待ください。
(発起人:沢田)
※ 作業の進捗及び、完成時期については、またこちらの活動報告にてお知らせします。
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