クラウドファンディングで支援していただいた皆様へ、一カ月ぶりの活動報告です。頑張
って配ったチラシも懐かしい気がします。
しばらくご無沙汰していましたが、ただいま、絶賛翻訳中です。クラウドファンディング
開始までに、いったん全編翻訳済みだったのですが、冒頭からもう一度見直すと修正した
いところが山ほどあるのです。
現状で、A4用紙に横書きで230ページ、29万6千字のボリュームです。頭から手を加えな
がら最後まで到達するのに、約2週間かかりました。そしてまた冒頭から見直すという作
業の繰り返しです。
ちゃんとした商業出版の本となると、ホームページで紹介するのとは違って、あれやこれ
や迷い、悩む部分がたくさんあります。
一つは、一人称、二人称の悩み。
一人称は、英語なら“I”、ドイツ語なら“Ich”。ほぼ一択です。
ところが日本語では、「私」、「僕」、「俺」、同じ一人称でもカタカナ表記にすると、
またイメージが違ってきます。「ワタシ」、「ボク」、「オレ」。他にも「自分」、「ワ
シ」、「拙者」・・・・、もう数え切れないぐらいあります。
これについては、ローラン・ボックさんの述懐なので、「私」が良いのかなと思って書き
進めています。
自伝には、こんな謎の男も登場
悩むのは、会話の中の二人称です。「あなた」、「君」、「お前」・・・
英語なら“You”、ドイツ語なら“Du”。これまたほぼ一択です。
これを翻訳するときに、「あなたは・・・」とするとちょっと距離感があるし、「君は・・・」
としたら何か丁寧すぎます。「お前は・・・・」とすると、よっぽど仲が良いか、あるいは喧
嘩腰です。
言葉遣い一つで、ローラン・ボックさんは「いい人」にもできるし、「無法者」にもなり
ます。フレンドリーな会話も翻訳のワードの選択によっては、険悪な雰囲気にもなってし
まいます。
一つのシーンの印象が、相手の呼び方だけで全く違ってくるのです。その印象づけは、完
全に翻訳者の手にゆだねられているので、責任重大です。
前後の文脈をしっかりと読み取って、最もふさわしいシーンになるよう考えながら、言葉
を選んで翻訳を進めています。
こんな風に書くと、何だか大変な作業のように思われるかもしれませんが、この作業が面
白くてたまらないのです。寸暇を惜しんで、訳文を見直し続けているうちに、あっという
間に一カ月が過ぎてしまいました。
そんなわけで、活動報告の更新も一カ月ぶりになってしまいました。決して情熱が薄れたわけではありません。日本語翻訳版の完成をご期待ください。 (沢田)
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