イスラエルの社会や文化についてバヴアと活発に議論する映像作家の松澤氏
私がイスラエルという国を身近に感じ始めたのは、2006年に私がバックパッカーとしてアジアの国を回っているときに同じように旅をするイスラエル人達に出会ったときでした。 彼らとの出会いで私のイスラエルに対する見方は変化して行くのだけれど、当時のイメージは、『ナチスによって虐殺の対象となったユダヤ民族の国家』『シンドラーのリスト』『アンネの日記』『パレスチナを迫害する国』など、誰かの意見をそのまま知識として蓄積していただけだったのでしょう。一言でいうなら、『有名な未知なる存在』と言うのが、私にとってのイスラエル人でした。
その後、私は運命に導かれたのか、怖いもの見たさだったのか、大いなる可能性を感じたのか、21歳でイスラエルに渡り、その後、ベツァレル美術デザイン学院というイスラエル最古の美大を卒業するまでの7年間をイスラエルという土地で過ごすことになりました。 人口比率でクラウド・スタートアップ数が世界一などイスラエルでの高い起業精神が、最近日本では注目され、イスラエルから学ぼうという動きが起きているが、我々日本人がイスラエルからビジネスの文脈のみのノウハウを学ぶだけでは、『腑に落とす』ことは難しいように私は思ってしまう。ダブルスタンダードを肯定し、保守的でありながら革新的なイスラエル人の性質を学ぶには、イスラエル人の多様な生き方や歴史を知ることが重要な要素になるように思う。
今回、私が応援する発起人のバヴアのイスラエルにルーツを持つ井川アティアス翔氏と研究者の戸澤典子氏はイスラエルの中から(イスラエル人と同じ目線でも)イスラエルという国の文化や歴史、風習を発信している貴重な二人である。そういう意味でも本書『Tunnels』から知らないイスラエルの一端を感じ取り、未知なる存在を知るきっかけになってくれればと思う。
私にとって、世界の有数の未知なる存在を知ることは率直に面白い。だからこそ、ぜひみなさんに『Tunnels』のプロジェクトの支援をおすすめしたい。
松澤聰
映像作家 イスラエル国立 ベツァレル美術デザイン学院映像学部卒 美術学士修了
広告映像から企業のインナー映像・ドキュメンタリー映像・アート作品を手掛けている。 matsuzawasou.com