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グラフィックノベル史に燦然と輝く傑作
『Asterios Polyp(アステリオス・ポリプ)』を翻訳出版したい!

『アステリオス・ポリプ』著者 デイヴィッド・マッズケリ 授業動画のご紹介!

みなさま、こんにちは。発起人のはせがわなおです。

今回は著者のデイヴィッド・マッズケリはどのように考えてコミックの創作を行っているのかがたいへんよくわかる動画をご紹介したいと思います!

この動画で語られているすべての表現が本作『アステリオス・ポリプ』において用いられており、まさに著者の創作論の集大成とも言えるのが本作『アステリオス・ポリプ』なのではないでしょうか。

アメコミの巨匠、技工派とも名高いマッズケリの貴重な創作論ですが、こちらはコミックアーティストの卵たちへ向けた授業でもあり、とてもわかりやすいもので、マッズケリの人柄もたいへんよく伝わってくる内容ですのでぜひ動画をご覧いただければと思います。(Youtube上で自動生成の英語字幕・日本語字幕を出すことができます)

こちらの動画は2020年にニューヨークで行われたFan Faire NYC 2020のパネルを撮影したもので、マッズケリがコミックにおけるストーリーテリングについて語ったものです。

 
Storytelling in Comics By David Mazzucchelli - FanfaireNYC2020
 

巨匠 デイヴィッド・マッズケリの創作論とはどんなものでしょうか?

動画で語られている内容のうち「コミックにおける表現」の部分について、『アステリオス・ポリプ』の中身も少しお見せしながらご紹介できればと思います。

動画の前半でマッズケリは、コミックにおける絵の役割は常にストーリーを伝えるということであり、コミックアーティストの仕事はストーリーテラーであること、そして、ストーリーテリングにおいて大切なことは、自分の頭の中にあるストーリーを、驚くような方法で読者に届けること、読者にそのストーリーを読み進めたいと思わせること、キャラクターの立場に自分を置き、すべての場面で感情的なリアリティを追求しようとすることであると説明します。

コミックにおいてストーリーを表現する方法は、主に絵と言葉のコンビネーションによって行うものであることから、それぞれ独立した説明的で魅力的な絵を作るのみではなく、コミックの特性をフルに生かしていくことが重要になるのです。

それではコミックにはどのような特性があるのでしょうか?

コミックにおいては、コマで動きを表現することができます。個々の独立した画ではなく、ひとつのイメージが次のイメージへ続いていくフローがあるということであり、それはつまり、すべてが静止しているページ上に、時間と動きの錯覚を作り出しているということなのです。

コマの使い方についても、一定の大きさのコマを続かせることで一定のリズムを表現する、もしくはそのリズムを中断させたり、コマの大きさを対比させて使うなど、様々な使い方ができます。コミックは印刷物ですから、ページを表現に使うこともできます。ページの表現、構成を反復することで読者になにかを伝えることができるでしょう。

同じものを描くにしても、その描き方によっても、読者の受け取り方は異なります。絵そのものも、このストーリーにどのようにアプローチするべきかというある種のシグナルを読者へ送っています。

コミックではレタリングも表現として用いることができます。もし登場人物がそれぞれ異なったレタリングで喋っていたら、頭の中に異なる感情が想起されるはずです。もしくは、そのレタリングで喋っているキャラクターの性格に関して伝わることもあるでしょう。

また、レタリングだけではなく、吹き出しも物事をよく伝えることができます。吹き出しの形によって、どういう発言がされているかを読者へよく伝えることができるのです。

つまり、コミックにおいては、絵と文字という2つのレベルの情報を合わせること、それがコミックにおけるベストな表現です。印刷物でもあるので、ページのサイズや紙の色など、そういったすべての情報が、読者になにかを伝えているのです。

本書『アステリオス・ポリプ』では、それぞれの登場人物が異なるレタリングを与えられており、またひとりひとりが異なった吹き出しで喋ります。そうすることによって、この動画でマッズケリが説明するように登場人物の声が異なって読者に響きます。どれだけ『アステリオス・ポリプ』がマッズケリの表現者としてのクリエイティビティがつまった作品かがわかると思います。




また、マッズケリが邦訳出版の際は原書と全く同じ仕様、同じ印刷所を使うように指定した理由がわかりますね。ひとつとして作者が意図したものと異なってしまっては、伝わらなくなってしまうことがある本であるということなのです。
装丁、色の使い方、そのほかこだわりの表現についてはマンバ通信さんの連載でもご紹介しています。

クラウドファンディングも終了が近づいてまいりました。
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2022/12/06 13:15