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ぼくはゲイ「なんか」じゃない…。
地方都市に暮らす男子高校生たちの苦しみや友情と恋心を、
リアルに描く『ぼくの血に流れる氷』を翻訳出版したい!

応援メッセージ:「あんなことをしたやつ」の気持ち ~10代を支える物語の力 (高橋ライチ/カウンセラー)

人間関係が複雑になり、周りの目が気になり、劣等感や自己否定を感じやすくなる時期、思春期。
友だちとのやりとりに傷ついたり、意図せず傷つけてしまった経験は誰しも覚えがあるのではないだろうか。
私はたくさんある。思い出したくないこと、後悔してること、たくさんある。
また、自分だけ(ウチだけ)おかしいのではないか、誰にもわかってもらえないのではないかという孤独を感じていた時期でもあった。

この本の主人公である、ダリオもまた、孤独を感じ、本心に反する言動で大切な人を傷つけ、葛藤の中にいるようだ。
私は前作『ボクモヤ』のクラウドファンディングでは気になりつつ乗りそびれていたけれど、今回、その時の「傷つけた側の物語」であるということに強く惹かれた。
世の中に、傷つきを乗り越えた話はたくさんあるが、「傷つけた側」は共感されにくい。「傷つけたんだから、こいつは傷つけてもよい」とばかりに罰せられる図を、現実にたくさん見聞きする。痛い。

傷つけた側の物語を読むことができると、自分を傷つけた相手の内側が少しだけわかるかもしれない。
傷つけた側の物語は、自分自身が誰かを傷つけたときの、誰にも聴いてもらえなかった気持ちを、ようやく聴いてもらったような体験になるかもしれない。
この本に、そんな期待をしている。

10代の私を救ってくれたのは、本や映画などがもつ、物語の力だ。
実際に経験するよりも安全に、たくさんの人間関係を体験できる。しかも、現実には語られない独白つきで。自分には見えなかった相手の事情や心理が、物語では描かれている。自分の言動が相手にどう響いたかも、俯瞰の視点と相手側の視点でもって理解できる。
物語は、人を育ててくれる。癒してもくれる。支えにもなる。

この本が出版されて、10代の人たちと、かつて10代だった人たちと、これから10代にさしかかる人たちの、力になってくれるよう、応援します。

 


高橋ライチ(カウンセラー)

NPO法人リスニングママ・プロジェクト 発起人
ブライト・コミュニケーション研究会 主宰
『きみがつくる きみがみつける 社会のトリセツ』著者(共著)
https://lis-mom.jimdofree.com/

2022/08/06 13:28