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ぼくはゲイ「なんか」じゃない…。
地方都市に暮らす男子高校生たちの苦しみや友情と恋心を、
リアルに描く『ぼくの血に流れる氷』を翻訳出版したい!

『ぼくを燃やす炎』の装画を描いていただいたカナイフユキさんから応援コメントが届きました!

『ぼくを燃やす炎』は、僕にとって初めての本の装画のお仕事でした。
事前に内容を読ませていただいて、ゲイの高校生の苦悩と恋を瑞々しくリアルに描いた物語に感動し、こんな小説の装画を任せてもらえるなんて…!と、とても嬉しかったのを覚えています。
続編があることは以前からお聞きしており、ずっと楽しみにしていました。ぜひ読みたいので、このプロジェクトを応援したいと思います。

あらすじを読んで、今回の『ぼくの血に流れる氷』では、同性愛者の男性が抱えるホモフォビア(同性愛嫌悪)について描かれているのだろうと思いました。
自分自身の経験を振り返ると、僕は「自分がゲイであること」や「同性を好きになってしまうこと」を比較的すんなり受け入れたように思います。しかし、年齢を重ねて多くのゲイ男性と知り合って感じるのは、ゲイである自分を受け入れられない人も多くいるという事実です。
世の中には、「ゲイ=オカマ、女のような男」という固定概念がいまだに強くあります。それを当然のことと思い込んでしまう人がゲイ男性にも多くいるということでしょう。それは自己嫌悪につながり、彼らの自尊心を削り、健康な心身で生きていくことを妨げます。自分を蔑ろにし、自分を大切にすることを忘れさせてしまうのです。
前作の主人公・オスカルはDIVAたちの楽曲に自分の心情を重ねたりして、自分の中にある女性的な部分を受け入れているように見えました。僕もどちらかというとこのタイプです。今回主人公になるダリオは、自分を受け入れられず自己嫌悪に陥り、周囲も傷つけてしまう状態にあります。
誰の中にも男性的な部分と女性的な部分があって、本来であれば誰がどんなジェンダー表現をしても良いはずです。しかし、2022年の今でも世間では「男は男らしく、女は女らしく」振る舞うのが望ましいとされる向きが強く、ダリオやオスカルの暮らす保守的な田舎町であればその圧力は一層強くなるのでしょう。日本に生まれ育った僕にも、その息苦しさは身に覚えのあるものとして想像できます。
また、「男は男らしく、女のようであってはいけない」という考え方の背景には、ミソジニー(女性嫌悪)につながる感情もあると思います。女性らしさ、繊細さ、良い意味での優柔不断を持ちすぎてはいけないという固定概念もあると感じるのです。
少し話が大きくなってしまいましたが、ゲイ男性の抱えるホモフォビアから見えてくる問題はたくさんあり、『ぼくの血に流れる氷』はこうした様々な問題について考えるきっかけになるのではないかと思います。

前作と同じく、主人公が16歳の少年であることもポイントだと思います。
ただでさえ心も体も不安定な年頃に周囲とちがうセクシュアリティを自覚してしまったら、その戸惑いはとてつもなく大きなものになります。家族とどう向き合って良いのか、友達とどう関係を築いたら良いのかわからず、自分のことも誰のことも受け入れられず、でも誰かに受け入れてほしくて、暗闇の中に放り込まれたような気分で生きた時期が僕にもありました。
その頃のことを思い出して思うのは、もっと生き方の参考になるような人や物語に出会いたかったということです。この『ぼくの血に流れる氷』では主人公の少年が生き方に悩み、自分や周囲を傷つけ、それでも周囲の人々に救われていきます。この物語が少しでも多くの人の、とくに若い人々の心に寄り添う本になってほしいと思います。

長くなってしまいましたが、最後にもうひとつ自分の話をさせていただきます。
初めての装画の仕事ということで、普段こちらからはあまり連絡をしない両親へ『ぼくを燃やす炎』を送って報告したところ、しばらくして母が電話をかけてきて「同性同士の恋愛が本当にあるのだと初めて実感できた。読めてよかった。」と感想を伝えてくれました。『ぼくを燃やす炎』は、それだけリアリティのある、優れた作品なのだと思います。そんな作品に携わることができたのを改めて嬉しく思いました。

『ぼくを燃やす炎』は、設定や描写がとてもリアルでありながら、きちんと救いのあるハッピーエンドで締め括られていて、そこがとても素晴らしいと感じています。『ぼくの血に流れる氷』にも葛藤の末に明るい結末が用意されているようです。現実世界ではすべてがハッピーエンドとは行きませんが、このような小説がひとりでも多くの人に読まれることを通して、現実世界も救いのあるものに変わっていくことを願っています。
 


カナイフユキ
1988年長野県生まれ。イラストレーター・コミック作家として雑誌や書籍に作品を提供する傍ら、自身の経験を基にしたテキスト作品やコミックなどをまとめたzineの創作を行う。主な仕事にケイト・ザンブレノ『ヒロインズ』(C.I.P.Books)の装画など。自身の作品集としては、2015~2017年に発表したzineをまとめた『LONG WAY HOME』がSUNNY BOY BOOKSから発売されている。雑誌『Hanako』にてマンガ『Roundabout』を連載中。
 

2022/06/17 14:39