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アン・ハサウェイ主演映画の原作『Ella Enchanted(魔法にかけられたエラ 仮)』を翻訳家・三辺律子による新訳で出版したい

翻訳者・三辺律子さんよりプロジェクト成立のお礼のメッセージです

この度は『Ella Enchanted』プロジェクトへのご支援ありがとうございます!

早速、先日より編集チームは原稿の整理を開始しております。

そこで、本書の翻訳をてがける三辺律子さんに、ご支援いただいたみなさまへのメッセージをいただいたので、以下にご紹介します。

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 皆様、この度はクラウド・ファンディングにご参加いただき、本当にありがとうございました。

 わたしは今、翻訳家の金原瑞人さんとイラストレーターのオザワミカさんとBOOKMARKという海外文学を紹介するフリーペーパーを、作っています。詳しくはhttp://www.kanehara.jp/bookmark/を見ていただけるとたいへん嬉しいのですが、BOOKMARKを出すきっかけになったのは、最近、いろいろなところで、海外小説に元気がないと耳にしたことでした。

わたしは、子どもの頃からずいぶん海外文学を読んできました。むかしのヨーロッパでは蜂蜜酒というお酒を飲んでいたこと(すごく美味しそうに思えました!)や、イギリスではスコーンに「本物の」クリームをたっぷりつけて食べること、シベリアは鉄道の車体に手の皮が貼りついてしまうほど寒いこと、ドイツではクルミは人形の口で割るらしいこと、果ては、アメリカはコロンブスが発見したわけではなく、その前からネイティブ・アメリカンの人たちが住んでいたことや、中国の文化大革命の壮絶さにいたるまで、知ったのはすべて本のおかげでした。こうしたことは、「学ぶ」というよりも、ごく自然に「知っていた」ような気がします。知っていたからってなんの得にもならないようなことがほとんどでしたが、あれこれと想像をめぐらせては楽しみ、怖れ、悲しみ、驚いていました。海外の本たちを読んでいなかったら、ずいぶんと狭い世界に住むことになっていたと思います。

だから、単純にもったいないなと思うのです。どうせなら、日本だけではなくて、世界のいろんな話を読んでいたほうが、10倍くらい笑ったり、悲しんだり、驚いたりできそうですし、そうしたら、人生を100倍くらい深く楽しめるような気がしませんか。

海外文学というと、ハードルが高いと思われる方も多いようです。でも、もちろん海外文学にも、一般にとっつきやすい本やどんどんページをめくってしまうような本がたくさんあります。もちろん、読者の個人差(好みの差)もあります。ですから、万が一、海外文学は小難しいとか合わないという印象をお持ちだったとしても、ぜひいろいろな本を試してみてください。

というわけで、さまざまな事情で今、出にくい(もしくは絶版)本を出していこうというサウザンブックスの企画は、とてもすばらしいと思っています。わたし自身も早く、自分では読めない非英語圏の本を読んで、「人生を100倍楽しむ方法」を増やしていきたいと思います。改めまして、今回は本当にありがとうございました。

三辺律子

2016/10/06 11:32