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アン・ハサウェイ主演映画の原作『Ella Enchanted(魔法にかけられたエラ 仮)』を翻訳家・三辺律子による新訳で出版したい

台湾・韓国の文学・映画を語り尽くす: 三辺律子さん&金原瑞人さんが聴き手のイベントへ

こんにちは、編集担当の伊皿子りり子です。

 

8月21日(日)に青山ブックセンター本店で開催された、トークイベントに参加してきました。

 

『Ella Enchanted』の翻訳家の三辺律子さんは、翻訳家の金原瑞人さんと「BOOKMARK」という海外文学を紹介するお洒落なフリーブックレットを定期刊行されていて、現在配布中のvol.4の特集は「えっ、英語圏の本が一冊もない」という世界の本を翻訳出版するサウザンブックスにとっても興味津々の内容。

 

特集でも取り上げられ、日本翻訳大賞でも話題になっていたパク・ミンギュ著『カステラ』(クレイン)の訳者・斎藤真理子さんと、呉明益著『歩道橋の魔術師』(白水社)訳者・天野健太郎さんを、三辺さんと金原さんのコンビがお迎えして、韓国と台湾の文学や映画について話を聴くという内容でした。

 

個人的には文学の話に興味があって参加したイベントだったのですが、斎藤さんと天野さんはそれぞれとても個性的で、ご自身の韓国映画(斎藤さん)、台湾映画(天野さん)体験を熱く魅力的に語られていて、見てみたくなる作品がいろいろ登場しました。

 

男性がマッチョで復讐やドロッとした人間関係が得意な韓国映画、男性がちょっと情けない?印象を受ける台湾映画、というふうに短絡するのは違うのかもしれませんが、面白く感じたのは、相手への呼びかけ方(言い回し)から垣間見えてくる二人の距離について。

 

韓国では男同士で近しい関係だと「ヒョン(兄貴)」と呼ぶ習慣があるのだそうで、映画においても斎藤さん曰く「ヒョン、ヒョン、ヒョン、ヒョン言いまくります」だそうで、この「ヒョン」の使い方に注目してみると、ストーリーの盛り上がりが見えてくるようです。また、台湾では男女間で相手をフルネームで呼ぶシーンで、離れていた距離が近づくタイミングを表現していることが多いのだとか。日本でも思春期の男女が、あえて姓を呼び捨てたりすることがあるけどあんな感じ!?

 

韓国語、台湾語、日本語と、言語は違っても呼称から相手との距離を測ることができるのは面白いし、たぶん各国語のそれは微妙なニュアンスで他言語にうまく訳しきれるようなものではないのかもしれません。でも、なんとなく他国で呼びかけあう関係の登場人物二人を想像しながら映画を見たり、翻訳書を読んだりすると、その国の空気により浸ることができて楽しそうです。

 

天野さんは台湾には美しいエッセイがある、と仰っていました。何てことないことを綴ったエッセイは、小説以上に日本で翻訳刊行されにくい現実です。でも、三辺さんが最後に言ってくださったように、そうした日本ではなかなか刊行できないような作品をサウザンブックスでは積極的に見つけ出して、かたちにしていけたらと思っています。

 

2016/08/30 18:19