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 橘川幸夫の新刊「参加型社会宣言」(仮)プロジェクト

原稿執筆日記2020/02/28

原稿執筆日記202/02/28

 構成案を作っていますが、いけそうでいて、手をつけると「違う違う」という声がして、立ち止まる。行き詰まって、ゲームに逃避(笑)

 それでもう一度、1981年の「企画書」の目次を見直してみた。
 構成案としては、第一章がコンセプトというか、考え方の基本を整理した原稿。「企画趣旨」にあたるもの。第二章は、その考えにもとずいて、さまざまな領域にあてはめてみて、状況を解説したり具体的な提案をする「企画案」。第三章は、バックボーンの僕の生活リポート。

 要するに、この方式だな。
 1981年当時、僕の考えの基本にあったのは「代理人批判」。あらゆる現状の職業は「代理人」に委託するものだと認識して、それを排除して、素人(素の人)と素人が出会う社会を実現したい。まだインターネットはおろか、パソコンすらなかった時代だが、個人と個人がつながるP2Pのイメージを持っていた。それは僕が聞いてきたロックという音楽の本質は「直接性」であったからだ。

 そうした考えから、第二章で具体的な企画案を提出した。今の言葉に直してみると、以下のような企画である。「インターネットメディア」「FAXマガジン」「雑誌コラボ雑誌」「リクルート的な広告マガジン」「参加型広告」「カフェテリア型雑誌」「参加型食堂」「出会い酒場」「ツーショットダイアル」「コミュニケーション旅行」「ネットカフェ」「自宅食堂」「メーリングリスト」「リアルテキスト塾」「ZOOM」「走るロック喫茶」「直接民主主義政治」などである。細かい企画はもうすこしあるが。その後、ほとんど社会に登場していると思う。

 2020年段階で、僕の「代理人批判」がどういうところまで来ているかを考え直して書きます。その上で、現状での具体的な「企画」を整理します。第三章は、まあ、あってもなくてもよいかな。

 ようやく、「もうすぐスタートラインが見える」ところまで来ました(笑)

 僕の人生観は、10代が起、20代が承、30代が転、40代が結で、50歳で一度人生サイクルが終わったと思って生前葬やったのですが、よく考えると、人生100年時代は、50代で第二の起、60代が第二の承、70代が第三の転だと気がついた。そうか、70歳の橘川は、30歳の時に「企画書」を書いた時の気分になっていたのだ、と思ったわけです。

 印刷費の確保が出来たのと、締切が設定されたので、行きます。原稿を完成させるプロセスも、伝えることが出来るので、本造りも、別の次元の面白さを感じています。橘川は、最初から「ミニコミ」の人なんですよね(笑)

▼1981年の企画書(まえがき+第一章抜粋)は、音声合成にしてラジオの「おしゃべり放送大学」で流していますが、以下のDropboxで共有できます。音声で聞くと、なかなか味わい深いですよ。

企画書1981・音声合成版

 



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企画書(1981年、JICC出版局)

▼目次

まえがき
素人の時代

第一章
1.呼吸社会
時を呼吸する/えねるぎぃ1/えねるぎぃ2/よそ見しないで!/無駄の自覚/農あるいは流通ターン・オン/呼吸法
2.情報進化過程
不老不死考/よはとつ図形/今時の天才/変化胎動/手錠的恋人/トーキョー不可視シティ/ミラレルの法則/子供たち/風景は止まっている/メディアの死滅について/死は生

第二章
1.ポンプ
ポンプ創刊に向けてアッピール&ラヴレター/ぼくたちの求めた雑誌(ポンプ創刊宣言)/時代をつらぬく面白装置(ポンプ中間報告)/ポンプノオト/ポンプ創刊に協力してくれたみなさん(一年後の中間報告)/見えるもの
2.将来のプリント・メディア
パッケージ・マガジン/メデーァ・ネットワーク――カポネ・トライアングル/ミニコミ・ネットワーク構想(試案)/80 年代のミニコミ/ATC構想――光速ポンプ試案/未来雑誌モデル(ユニット・インフォメーション・サービス序鋭)/DMマガジン
3.雑認ジャーナリズムの現在
口裂けインベーダー/アンアン考/インテリと地方文化/report
4.可能性の広告
私たちは新しい広告と出会いたい――イメージ・パプリシティからリアル・シンパシーへ!(ポンプ広告のための広告試案)/よお広告屋きん!/広告マガジンについてのメモ
5.企業案内
参加型食堂/小僧寿しいつきの家/東京食(ショック!)料法
6.出会い産業
出会い産業考/出会い喫茶/出会い旅行代理店/電愛
7.空間産業
スペース・ポイント・サービス(SPS)/スペース・ショップ(別名“ポンプ・ショップ)/情報ショップ/本屋はどうなっていくのか?
8.家庭の事情
家庭屋/丸木食堂への御招待―NFR(ニュー・ファミリー・レストラン)/NFR断片
9.医の調子
情報権力者/誰が医者やねん!ロックンロール
10.宗教の問題
イターナウ/悟った人あるいは悟り切れないろくでなし/神様は個人主義者/生への欲望/宗教屋の役目
11.映像メディア
変動期のテレビ(あなたは単なる装置にすぎない)/逆流の時代へ――TVと電話に関する個人的展望/視線/画面/イメ‐ジ・シンセサイザー
12.ウォークマン感現学
まずはサイドカー体験/チャリンコ・オーディオ/ウォークマン登場/アウトドア・オーディオ・テクニック/私たちと音楽/ドラッグマン/ウォークマンの登場理由
13.教育メディア
教育についてのぼくの発想/情報サークル/主体塾/父兄参観日無制度社会/駒沢通信案内/第二期駒沢通信(B通信)への御招待/途方暮族あるいは現代転向論序説(駒沢B通信のみんなへの自己紹介)
14.仕事心得
お客さま/仕事覚書/商売ということ/職業は選択できない/デザインという事/ファッションについて/初級アイデアマン入門/おやつ・菓子のこれから(先進国モデル)

第三章
ぼくの生活白書
余暇の過ごし方異説――マンガも読まないテレビも見ない......の巻/赤ちゃんがやってきた/死者の財布/突然だが世代論をぶちかましてみよう/機械とのつきあい方――マシーン・ヘッド/ぼくの生活真情/隣の芝生で遊びたい/食べもの屋について――私的日本そば屋否定論

あとがきにかえて
メディアと町をめぐるプライベート・ロード


 

2020/02/28 07:22