福岡市中央区大宮にある宇賀神社に、全長約2.4mの「お馬さん」の人形が奉納されていることをご存じでしょうか。
このお馬さんの胴体部分に1929(昭和4)年の「福岡日日新聞」が使われていることから、制作されてから今年で約90年を迎えるとみられています。しかも、このお馬さんは「博多祇園山笠」の飾り人形と同じ手法で作られていて、「博多祇園山笠」に関連する最古級の現存遺物でもあります。経年劣化により壊れかけていましたが、2016年に大規模な調査と修復が行われ、現在は立派に蘇りました。
修復されたこのお馬さんを今後次世代に守り伝えていくためにクラウドファンディング【ユネスコ無形文化遺産・博多祇園山笠飾りと同制作手法による最古級人形 宇賀神社「お馬さん」をみて、知って、伝えて、プロジェクト】を立ち上げました。
目標金額に達した場合の支援金は、次の通り活用されます。
①宇賀神社への寄贈
②「お馬さん」を記録した精密画「宇賀神社神馬像六面図」の印刷複製画を本プロジェクトの支援者に頒布するための費用
③現在では希少となった手刷りの活版印刷の魅力を取り入れた完成度の高い美術作品として「お馬さんの精密画」を作成することで、本プロジェクトを支援していただいた方に活版印刷の魅力も広めるための費用
■募集期間:3月21日(木)まで
■目標金額:60万円
*支援者への頒布作品(一部)/イメージ画像
発起人 芸術工学会会員 大串誠寿
印刷 文林堂 山田善之
協力 宇賀神社
協力 長崎県印刷工業組合
宇賀神社は、福岡市中央区大宮2丁目にあり、別名「黒田稲荷」としても親しまれています。その起こりは古く、江戸期時代初期には「一本木稲荷」とよばれて信仰を集めていました。
本プロジェクトの「お馬さん」は、拝殿の梁に掲げられています。「お馬さん」が奉納された時期は明確ではありませんが、昭和47年頃には、拝殿に掲げられていたとの証言があり、現在では神社のシンボル的な存在となっています。
2005年に最大震度6弱を記録した福岡西方沖地震により、宇賀神社では石製鳥居が壊れるなどの被害が出ました 。しかし「お馬さん」は、風化が進んでいたにも関わらず梁から落下せず無傷でした。そのため「縁起の良い馬」「落ちそうで落ちない馬」として注目され、受験生の人気も集めています。
宇賀神社は黒田稲荷とも呼ばれ親しまれます 人々の交流拠点でもある宇賀神社
2013年、傷みがこれまでになくひどくなったため社務所の管理人・井田久枝氏は事態を憂慮し、宇賀神社役員・高宮公民館前館長・下假正徳氏らが中心となって保存活動の環境づくりをはじめました。壊れかけた「お馬さん」は、博多祇園山笠の飾り人形を伝統的な手法で制作する人形師・川﨑修一氏の技で見事に蘇り、再び拝殿に掲げられました。また最近では、旧福岡藩黒田家・第16代目当主・長高様が東京から来福されたおり、宇賀神社をご参詣されました。その際「お馬さん」とその精密画「神馬像六面図」をじっくりとご鑑賞くださいました。
宇賀神社は、地域の方々によって大切に守られ、各地から足を運ぶ参拝者の方々によって支えられています。
このクラウドファンディングは以下の3つを目的とします。
(1)宇賀神社の「お馬さん」を、次の世代に守り伝えてゆくための賛助金を募ります。
(宇賀神社へ寄贈します)
(2)宇賀神社に奉納された「お馬さん」を記録した精密画「宇賀神社神馬像六面図」の印刷複製画(画面下へスクロールすると見本と説明があります)を賛同者の方々に頒布し、貴重な文化財である宇賀神社「お馬さん」への理解を広めます。
(3)現在では希少となった手刷りによる、活版印刷の魅力を「お馬さん」作品を通じて賛同者の皆様に届けます。福岡市城南区「文林堂」の山田氏による手刷り活版印刷を取り入れ、完成度の高い美術作品を目指します。装飾デザインにあたっては長崎県印刷工業組合・提供の、日本活版活字のオリジン「本木昌造かな」を用います。
本クラウドファンドプロジェクトのリターンで頒布する「お馬さん」の印刷複製画の原画は、正式名称を「宇賀神社神馬像六面図」といいます。同図は5枚組で、本クラウドファンドプロジェクトの発起人である大串が約半年をかけて描いたものです。内部構造まで繊細に描写しています。実測値に基づいて描き起こしたもので、将来の復元作業にも寄与し得る、資料価値の高いものです。
「宇賀神社神馬像六面図」は美術作品としても評価され、2017年、熊本市現代美術館で開催された「開館15周年記念・誉のくまもと展」に出品・展示されました。また福岡市の画廊で開催した展覧会でも好評を得ました。
この価値が認められ、「宇賀神社神馬像六面図」原画は本クラウドファンドプロジェクト終了後、福岡市博物館に収蔵される予定となっています。
神馬像六面図と「お馬さん」熊本市現代美術館 「神馬像六面図」ギャラリー展示
本プロジェクトの作品は、創業80年の福岡市の印刷所「文林堂」で印刷されます。ご主人の山田善之さんの職人気質の丁寧な仕事に、東京・大阪のクリエイターから注文が相次ぎ、多くのコラボ・アート作品を生み出し続けています。山田さんの知識と技術は注目され、福岡市博物館での展示企画に協力を要請されるなど活動は広範に及んでいます。
アルビオン型印刷機と山田氏 アルビオン型印刷機による試作品印刷
神馬像の鉛筆描写の部分は、再現性を重視し、高密度オフセット印刷を施し、そして周囲を彩る金色の飾り罫は、山田さんが「アルビオン型印刷機」(※明治期以来の名機として名高い印刷機。国内にもわずかしか現存しておらず、業務用として稼動しているのは恐らく山田さんだけと思われます。)で黄金のインキを用いて、1枚1枚丁寧に、手刷り印刷を行います。新旧の高度な印刷技法を組み合わせた、こだわりのプリンティング・ワークにより、宇賀神社の「お馬さん」に新たな生命が吹き込まれます。
同じくリターン内容のひとつ「宇賀神社神馬像六面図」の印刷複製作品には、「本木昌造かな活字」のフォントを使用し、装飾部分に「うがじんじゃ」の文字を配置します。長崎県印刷工業組合では、日本の活版印刷業の開祖でもある本木昌造の遺徳を永く今日に伝え続けており、「本木昌造かな活字」とよばれるそのフォントは長崎の諏訪神社に伝わった本木昌造の種字、そして当時の本木昌造の印刷物を用いることにより、精密に復元されました。
本クラウドファンディングは1枚ずつ丁寧な手刷り印刷を行い、完成度の高い美術作品を作り上げること、そして活版印刷の魅力を伝えることも目的のひとつとしています。日本の近代的鋳造活字のオリジンと言える文字を用いて印刷を行うことで、「宇賀神社神馬像六面図」には、さらなる魅力を加えます。
宇賀神社の「お馬さん」を次の世代へ受け継いでいくためにも、皆様のお力添えを宜しくお願いいたします。
・「お馬さん」の精密画のL2サイズの写真1枚
・お礼状(紙に熱転写プリント印字し、「宇賀神社」の朱印を押印)
・「お馬さん」の精密画のL2サイズの写真5枚組
・お礼状(紙に熱転写プリント印字し、「宇賀神社」の朱印を押印)
・「お馬さん」の精密画複製印刷A3サイズ5枚組
(オフセット特殊インク多色刷り、活版金色インク手刷り)
・お礼状(紙に熱転写プリント印字し、「宇賀神社」の朱印を押印)
・賛同者氏名を奉名板に記して拝殿に奉納
(プリントアウト印字を板に接着、アクリル樹脂で固化を予定。およそA3サイズ)
※拝殿への氏名公開を希望しない賛同者の方は氏名非公開も可能です。
●↓「たっぷりお宝付きプラン」の頒布作品のサンプルイメージ画像です。 完成品はより色鮮やかに仕上がります。 また、黄金枠のデザインは構想段階の試作です。