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国際アンデルセン賞受賞作家スージー・リーの原点
韓国語絵本『どうぶつえん』を翻訳出版したい!

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おかげさまでプロジェクト達成し、期限がきましたので募集を終了しました。みなさまからのご支援心より感謝申し上げます。
『どうぶつえん』は、サウザンブックスのECサイトで先行販売予約を開始いたしました。

書名:どうぶつえん
作:スージー・リー
訳:姜汶政、松岡礼子
発行年:2024年3月
仕様:A4変形判/上製本/32ページ/4色
ジャンル:絵本/フィクション
ISBN:978−4−909125−48−4

全国書店発売は2024年3月を予定しております。

活動報告のページでも本の制作の様子をお知らせしますので、合わせてごらんください。

 


国際アンデルセン賞受賞作家スージー・リーの原点
韓国語絵本デビュー作『どうぶつえん』

 2022年、「小さなノーベル賞」と呼ばれる国際アンデルセン賞画家賞を受賞したスージー・リーは、今、世界で最も注目を集める絵本作家のひとりです。スージー・リーの挑戦的実験的な現代絵本創作の歴史は、絵本というメディアの可能性を押し広げただけでなく、韓国初の国際アンデルセン賞受賞という快挙で、韓国社会における絵本作家の地位の確立および認知度の向上に大きく貢献しました

 絵本『동물원(どうぶつえん)』は、文字なし絵本で有名なスージー・リーの初の韓国語絵本で、2004年に韓国の出版社ビリョンソから刊行されました。
 その前年2003年にイタリア・コッライーニ社から出版した文字なし絵本『Mirror(かがみ)』は、本のノドを現実と空想・想像の世界の境界に見立てた絵本づくりを特徴としており、2008年と2010年にアメリカ・クロニクルブックス社から出版してニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞を受賞する『Wave(なみ)』と『Shadow(かげ)』と合わせて、「境界絵本3部作」と呼ばれる彼女の代表作となりました。
 文も絵もスージー・リーが手掛けた韓国語絵本デビュー作『동물원(どうぶつえん)』には、代表作「境界絵本3部作」に共通する、スカート姿のこどもの原型が描かれます。親ではない誰かといっしょに跳ねたり踊ったりして遊ぶというモチーフも共有しています。異なるのは、こどもの声による語りがある点で、親の見ている世界とは異なる、いわゆるパラレル・ワールドから聞こえてくる声が、絵本のなかをいきいきと響きわたります。現実と虚構の境界なんて、最初からなかったのではないかしら?

 さまざまなドラマがあるけれど、最後は必ずユーモアが残る。スージー・リー現代絵本の真髄を、ぜひ『동물원(どうぶつえん)』で味わってほしいと思います。これまでに、アメリカ、フランス、スペイン、メキシコ、台湾、中国で翻訳出版されており、アメリカでは「2008年全米英語(国語)教師評議会が薦めるこどもの本」にも選出されています。

  どうして 絵本をよむの?
  しつけ の ため?
  いいえ、
  しかけ を 遊ぶため。

 実在の「서울어린이대공원(ソウルこども大公園)」をモデルにしたと言われる、作品冒頭部の動物園出入口付近の風景はたいへん魅惑的で、思い思いのスタイルで広場に集う老若男女が登場します。ベビーカーのこどもとお母さん。幼稚園教諭と園児のグループ。芝生で宴会を始める2人組と注意する警備員。われわれよみ手にカメラのレンズを向けてくるおじさんもいます。ひとりひとりの息遣いまで聞こえてきそうな群像劇を、スージー・リーはみごとに描きます。



 物語は、こどもがママとパパと動物園にやって来るところから始まります。やがて、こどもは孔雀と連れ立ち、どこかほかの「どうぶつえん」へと繰り出します。こどもをさがしまわるママとパパ。動物との遊びに興じるこども。ページをめくるたびに、現実と虚構の境界が見えたり見えなくなったり…。
 現代絵本の名プロデューサー、スージー・リーが提案するのは、絵本を遊ぶこと。1羽の孔雀が冒頭から結末までよみ手をエスコートして「どうぶつえん」を楽しませてくれます。





書名:どうぶつえん (The Zoo)
著者:スージー・リー
発行国:韓国
発行年:2004年
ジャンル:児童書/絵本
ISBN:89-491-0047-288 9 77810


著:スージー・リー
 1974年、韓国・ソウル生まれ。ソウル大学卒業後、イギリスのキャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツでブックアートを学ぶなかで制作した『Alice in Wonderland(不思議の国のアリス)』をボローニャ・ブックフェアに持ち込み、絵本作家としてデビューした。2002年にイタリア・コッライーニ社から出版された同作は、イギリス・テートモダンのアーティストブックコレクションに所蔵されている。スイス文化省から贈られる「スイスの最も美しい本」賞を受賞した2003年の作品『La Revanche des Lapins(うさぎたちの復讐)』は、内容を再構成し、タイトルを『토끼들의밤(うさぎたちの夜)』と改めて、2013年に韓国の出版社ベアブックスから刊行されている。スージー・リーの文字なし絵本「境界絵本三部作」およびその系譜上にある創作絵本のうち、日本では『なみ』、『かげ』(ともに講談社)、『せん』(岩波書店)が刊行されている。
 作家、音楽家とのコラボレーション絵本も多数あり、2019年には個人出版社ヒントキ(白いうさぎ)から韓国の古典を大胆に翻案しパンソリのリズムを表現した『심청(沈清)』を発表するなど、挑戦的実験的な作品創作が続く。
 2022年、児童文学への貢献を讃える国際アンデルセン賞画家賞を受賞。2023年、ボローニャ国際絵本原画展公式図録の表紙制作を務める。
(写真©️hae_ran)

 


韓国と日本、親と子をつなぐ絵本(発起人より)

 私には2人の娘がいます。上の娘が生まれたその翌月から、私の父は、優れた絵本2冊が毎月届く定期便をプレゼントしてくれました。働く母親であり、娘が0歳のときから保育園に預け、毎日あわただしく過ごしていましたが、毎晩、娘が眠りにつく前に絵本をよみきかせていました。今、思い返しても、絵本のよみきかせは、こどもだけではなく、母親である私にとっても、とても穏やかな、本当に幸せな時間でした。 絵本の力を、身をもって感じている私としては、ぜひ、『동물원(どうぶつえん)』を日本語の絵本として世に出して、少しでも多くのお母さん・お父さんに手に取ってもらい、こどもと、絵本のある本当に幸せな時間を過ごしてほしいと思わずにはいられません。
 スージー・リーの素晴らしい絵と、美しい日本語の絵本『どうぶつえん』で、ぜひ、親子の絵本タイムを充実させて頂きたいと思います。
発起人・成末 奈穂(なるすえ・なほ)

 私がこどもの頃の韓国社会はいわゆる漢江(ハンガン)の奇跡と呼ばれる急激な経済成長の狼煙をまさに上げようとしていた時代でした。そんな時代の波は地方にまではまだ及ばず、裕福ではなかった我が家ではこどもを幼稚園に入れるという選択肢はなかったようで、日常でも絵本に触れる機会はありませんでした。
 絵本に対する昔の記憶を呼び起こしてみると、思い出すのはアンデルセンやイソップ、韓国昔話のような童話の本です。ですから、スージー・リーの現代絵本『동물원(どうぶつえん)』の登場はたいへん画期的な出来事でした。
 留学・就職を機に始まった日本での生活も四半世紀を越えます。深い縁を築いてきた日本のこどもたちと大人たちに、ぜひこの素晴らしい絵本を届けたいと思います。
発起人/翻訳・姜 汶政(かん・むんじょん)

 教師の解釈力の育みを目的として、大学の授業および幼稚園・小学校の教職員研修で積極的に現代絵本を活用しています。このたび、日本の若い人たちにもっとスージー・リー絵本の魅力を知ってほしいと考え、日本語版『どうぶつえん』の刊行を思い立ちました。
 原動力は、故郷の釜山から幾度も大阪・愛知へと韓国絵本を運んでくれた共訳者・姜さんの誠意と、大阪の韓国渉外法律事務所で活躍中の弁護士・成末奈穂さんの文学への愛情です。長年、韓国と日本の架け橋として両国の平和友好に尽力してきた2人と志を同じくし、スージー・リー現代絵本の翻訳刊行に臨めることを心から誇りに思います。
 絵本『동물원(どうぶつえん)』は、かつてこどもだった「わたし」とともに大人が興じることのできる絵本です。本作をきっかけに、スージー・リー現代絵本の魅力が日本でもより多くの人に伝わることを願います。
発起人/翻訳 松岡 礼子(まつおか・れいこ)
 


発起人:成末 奈穂(なるすえ なほ)

1974年、神奈川県横浜市生まれ、広島県三原市育ち。弁護士法人オルビス、パートナー弁護士。中央大学法学部卒業。大阪地方裁判所民事調停官(非常勤裁判官)歴任。


発起人・翻訳:姜 汶政(かん むんじょん)
韓国・釜山出身。弁護士法人オルビス勤務。釜山東亜大学日語日文学科卒業。1999年、大阪教育大学大学院研究科修士課程国語教育専攻修了。


発起人・翻訳:松岡 礼子(まつおか・れいこ)
1974年、愛知県生まれ。至学館大学附属図書館長。博士(教育学)。1999年、大阪教育大学大学院研究科修士課程国語教育専攻修了。2019年、広島大学大学院教育学研究科教育学習科学専攻教科教育学分野国語文化教育学領域修了。共訳・分担執筆に、松山雅子監訳(2018)『マルチモダリティ:今日のコミュニケーションにせまる社会記号論の試み』、松山雅子編(2021)『書くことの力をはぐくむマルチモーダル・アプローチ:自己認識としてのメディア・リテラシーをめざして』(ともに溪水社)あり。
 


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