アジア、ヨーロッパに住み、グローバルにサービスデザインを実践し、世界中のビジネスモデルやサービスを紹介しているブログ「カタパルト式スープレックス!」主筆でもある中村一哉さんに、日本におけるサービスデザインの課題感など、お話していただきました!
日本において、サービスデザインはまだまだ定着してるとは言い難いのですが、その理由の一つに実践者向けのテキストがない、ということが挙げられると思います。
例えば、多く読まれた本に『リーン・スタートアップ』がありますが、この本を読んでも、それだけでは実践できません。その後に出た『Running Lean ―実践リーンスタートアップ』リーンスタートアップをどういう風に実践していったらいいか、という本。これがあったことで、リーン・スタートアップは一気に広まりました。
サービスデザインには定番の入門書『this is service deshin thinking』がありますが、『Running Lean』に相当する実践書が今のところありません。
この『Designing for Service』のいいところは、実際に実践した人のベストプラクティスが多く紹介されているところです。事例ベースで複雑なサービスの解説がされており、理論だけではない、実践者が実用的に使うことのできる本だと思います。
もう一つ、日本のサービスデザインが入り口で止まっている理由に、カスタマージャーニーマップやサービスブループリントなど、いいツールがあるにもかかわらず、定着していない、うまく使えていないのではないか、ということがあります。それは日本語になっていないせいでうまく使えていないのか、それとも日本に合わせた形で独自のツールとなっているのか、考えなければならないのですが…。
サービスデザインに関する本が色々出版され、たくさんの事例や理論を実践のための参考にするのはもちろん、日本のサービスデザイナーの中でこうした議論が深まっていくきっかけとなるよう期待しています。
プロフィール:
カタパルト式スープレックス主筆。マイクロソフトにてWindows 95のサービスデザインが最初のサービスデザインプロジェクト。その後、シンガポールとアムステルダムで起業。ヨーロッパと東南アジアを中心に官公庁や大企業のサービスデザインのメンターを務める。海外でUXやサービスデザイン関連の講演多数。