皆様、こんにちは。ケルビムの堀内です。
シリーズ前半の締めくくりとなる第5回は、素材としての「鹿革(ディアスキン)」そのものが持つ、唯一無二の魅力についてお話しします。
一般的に流通している牛革と比べ、鹿革は圧倒的にきめが細かく、柔らかいのが特徴です。その質感はしばしば「レザー界のシルク」と称されるほど。
手に吸い付くようなしっとりとした感触、そして何より驚くべきは、その「通気性」と「伸縮性」です。蒸れにくく、使い込むほどに持ち主の形に馴染んでいく。この特性は、他の皮革では決して味わえない、鹿革だけの特権です。
実は、日本人は古来より鹿革を愛してきました。
剣道の防具(コテ)や、弓道のゆがけ。
1300年前から続く伝統工芸「印伝(いんでん)」。
最高級のレンズ拭きとして知られる「セーム革」。
激しい動きを妨げず、肌の一部のように馴染み、それでいて強靭であること。戦国時代の武将たちが鎧の裏地に鹿革を好んで使ったのは、その「優しさと強さ」を信頼していたからです。
今回お届けする「ENDEAR」のポシェットや財布を手に取ったとき、皆様はおそらく驚かれるはずです。
「革製品=硬い、重い」という先入観が、一瞬で覆されるからです。 指先に伝わるしなやかさは、忙しい日常の中でふと触れたときに、不思議と心を穏やかにしてくれる力があります。
これほど魅力的な素材でありながら、第4回まででお話しした通り、野生ゆえの「傷」があるために、現代の効率社会では隅へと追いやられてきました。
しかし、信州の山々を駆け抜けた鹿の命を、この素晴らしい伝統素材として蘇らせたい。その想いが結実し、私たちは**ある「魔法」に辿り着きました。
明日からはシリーズ後半戦。 傷を隠すのではなく、芸術へと変えた新技術。 第6回:企業秘密の挑戦:宮内産業と練り上げた新製法「Desert」
ついに、私たちの独創的な技術の核心に迫ります。 明日もぜひ、お見逃しなく!
信州エシカルディアスキンプロジェクト ケルビム 堀内 智樹