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鹿の命を余さず活かす、信州諏訪発レザープロジェクト

「肉」は救われた。では「皮」はどうなる?

皆様、こんにちは。ケルビムの堀内です。 連載第4回は、最近よく耳にする「ジビエ」の光と影についてお話しします。

■ 広がるジビエの輪と、ペットたちの喜び

数年前まで、シカ肉は「クセがある」と敬遠されがちでした。
しかし今では、その高タンパク・低脂質な健康効果が注目され、レストランや家庭でも「信州ジビエ」として親しまれるようになっています。

また、天然素材100%の「鹿肉ジャーキー」は、愛犬家の方々からも絶大な支持を得ています。肉の需要が増えることは、里を守る猟師さんの生活を支える大きな一歩となりました。

■ 置き去りにされた「90%」の真実

しかし、ここで皆さんに知っていただきたい残酷な事実があります。 シカというひとつの「命」のうち、肉として活用されるのは全体の約10〜20%に過ぎません。

では、残りの大部分を占める「皮」はどうなっているのでしょうか? ……
その多くは、今この瞬間も、利用価値がないものとして山に埋められるか、産業廃棄物として処理されているのです。

■ なぜ「皮」は捨てられてきたのか

理由は、1話・2話でお伝えした「傷」と「歩留まり」にあります。
肉は美味しくいただけますが、皮を「革」として製品にするには、高度な鞣(なめ)し技術と、傷を避ける手間、そして何より「傷を受け入れる覚悟」が必要だからです。

効率を重視する現代の皮革産業において、野生の傷だらけの皮は、扱いにくい「厄介者」として扱われてきました。

■ 「いただきます」を、最後まで。

私たちは、肉を食べて終わりにするのではなく、その命が纏っていた「皮」まで大切に使い切りたいと考えています。

「いただきます」という言葉は、命をいただくことへの感謝です。
その感謝を、一生モノの製品という形にして皆様の元へ届けること。それが、このプロジェクトが果たすべき「最後の一平(ピース)」なのです。


「肉」の次は「革」を救いたい。
その熱意を受け取ってくださる方が一人でも増えることを願っています。

明日の5回は、「なぜ『鹿』なのか:牛にはない、吸い付くような魔力」です。
素材としての鹿革がいかに特別で、日本人に愛されてきたか。その奥深い魅力についてお話しします。

明日もぜひ、お楽しみに!


信州エシカルディアスキンプロジェクト ケルビム 堀内 智樹

2026/04/11 17:18