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鹿の命を余さず活かす、信州諏訪発レザープロジェクト

【連載 1/10】第1回:格付けの壁:命に「等級」はあるのか?

皆様、こんにちは。ケルビムの堀内です。
おかげさまで目標金額を達成し、現在は次のステップへと歩みを進めています。

今日から10日間、全10回のシリーズで「誰も語らなかった鹿革の真実」と、私たちが開発した新素材「Desert(デザート)」の誕生秘話をお届けします。

第1回は、革業界の厳しい現実、「格付けの壁」についてです。


■ 「Aタン」という名の、あまりに高い壁

ホール(穴)などの多いDタン(鹿革一頭)

革の世界には、格付けが存在します。
捕獲された鹿の皮は、傷の有無、腐敗の状態、穴の数などによって「A」から「D」の4段階に振り分けられます。

その中で最も状態が良く、最高品質とされるのが「Aタン(A級品)」です。
しかし、野生のニホンジカにおいて、この「Aタン」に出会える確率は、家畜である牛などとは比べものにならないほど低いのが現実です。

■ 茨を抜け、岩を跳ねる。それが「野生」ということ。

考えてみてください。 管理された牧場で育つ牛と違い、ニホンジカは信州の深い森を駆け回り、茨の藪を突き抜け、切り立った岩場を飛び跳ねて生きています。

その皮には、枝で擦った跡や、雄同士の闘争による傷、そして寄生虫による穴が刻まれていて当たり前なのです。 家畜と比べて圧倒的に「歩み止まり(製品にできる面積)」が悪い。 それが、野生の鹿革がこれまで産業として成立しにくかった最大の理由です。

■ 捨てられてきた「A以下」の命たち

これまでの常識では、「Aタン」に選ばれなかったB級、C級、D級の皮は、価値がないものとしてその多くが廃棄されてきました。

しかし、私は問いたいのです。
「鹿の生きた証である傷があるからといって、その命に等級をつけ、捨ててしまってよいのか?」

私たちが今回使用するのは、これまで光が当たることなく捨てられてきた、Aランク以下の個体たちです。


「傷があるから捨てられる」という負の連鎖を断ち切りたい。 その想いが、のちに新素材「Desert」を生む原動力となりました。

明日の第2回は、「森を駆ける代償:家畜にはない『生きた証』」と題し、写真とともにその過酷な歩留まりの現実をさらに深掘りします。

ぜひ、明日もチェックしてください!


信州エシカルディアスキンプロジェクト ケルビム 堀内 智樹


 

2026/04/07 00:26