権堂○○フェスタで上演されるデフパペットシアターひとみは、耳が聞こえない方に人気がある人形劇団です。耳が聞こえない方でも楽しめる工夫や演出がされています。
ところで、音が無い世界ってどんな世界でしょう?
視界に入らないところから呼びかけられても気がつきませんし、近づいてくる車の音もわかりません、クラクションだって。
当然、電話の声も聞こえませんから、電話で誰かと話すこともできません。
ということは、人形劇自体は耳が聞こえない方が楽しめても、上演後の劇団員によるミニ講演会などは楽しんで頂けない事になってしまいます。
そこで、今回は耳が聞こえない方に対して、視覚による情報保障を行う事にしました。
具体的には舞台の脇にプロジェクターとスクリーンを用意し、講演会の内容だけでなく上演に伴う注意事項のアナウンスなどを全部、文字にして映し出します。
で、映し出すその文字はどうするのかというと...
舞台脇に、パソコンに向き合う若者がずらり。
長野大学ノートテイクサークルこだまの皆さんです。
この皆さんが、講師が話した言葉を聞き取り、その場でパソコンに打ち込んで文字化し、スクリーンに映し出していくのです。
今は、音声認識ソフトウェアを使ったシステムもありますが(それでも誤認識を修正するための人手は必要です)、今回は全部人手のこの方式を使います。
このような手段は、聴覚障がいがある方だけでなく、お歳を召して聞こえが悪くなった方に対しても良さそうです。
だったら、もっとあちらこちらのイベントや講演会で見かけてもいいような気がしますが、ネックはやはり経費。
こうやって皆さんに来て頂くにも、プロジェクターやスクリーンを用意するにも当然、経費がかかります。長野市では公的な支援制度もありません。
どのイベント主催者も予算的には余裕がありませんから、どうしてもこのように経費がかかるものは後回しになってしまいます。
聴覚障がいがある方からは「自分たちが楽しめる講演会などが少ない」という声をよく聞きます。調べてみると、確かにその通りでこうした情報保障がついているものは、聴覚障がい関係の当事者団体が開催するものしか無いというが実態なのです。
先日のハピスポひろばも、ステージとミニセミナーコーナーの2カ所にこの情報保障がありましたし、今回の権堂○○フェスタでも行います。このように主催者が当事者団体以外のイベントでこういった取組みが行われるのは、まだまだごくごく少数のようです。
本当は、要約筆記をする人が引っ張りだこ、手話通訳をする人が引っ張りだこになるくらいにあちこちで普通に行われるようになるといいんですが..