72の季節を和菓子にこめる。
一幸庵 和菓子本出版プロジェクト

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また、3月8日に代官山蔦屋にてイベントを開催いたします。詳細はこちら

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このプロジェクトは、当代の随一の職人、水上力の和菓子表現の集大成である書籍を出版するプロジェクトです。
私は企画編集としてお手伝いをしている南木隆助と申します。普段は日本文化を海外に伝えるための展覧会を企画・設計したり、企業の思いを伝えるオフィスを設計するなどの仕事をしています。

和菓子が置かれている厳しい状況

皆さんは、和菓子とその職人達が厳しい状況にあるということをご存知でしょうか?例えば、ある製菓学校では、和菓子部門の募集人数は洋菓子の四分の一。
なり手が少ないから後継者不足のために閉店するお店も増えています。
新規オープンする和菓子屋さんも当然少なくなっています。
また、和食がユネスコの世界文化遺産化に認定されても、日本茶が世界的に流行っても、国際的な注目は和菓子には及んでいません。
ショコラやパティシエ、料理人に比べて、突出した個人はあまり見えていません。
有名なパティシエが新しくオープンするお店の話題を耳にすることはあっても、活躍する和菓子職人の話はほとんど聞きません。

このままでは和菓子文化自体の存在が見えにくくなり、職人の数が減り、いい人材は他の産業に流れ、徐々に和菓子産業は衰えていってしまうのではないかと考えています。

突出した和菓子職人の存在を発信する

世界中の菓子職人と肩をならべ、憧れるに値する和菓子職人がいないこと。
和菓子作りが日本独自の美しさを伝える卓越した表現方法に見えていないことが現在の和菓子界の課題だと僕は考えています。

今回のプロジェクトは現代の和菓子文化を担う力のある職人の存在と技を日本国内や世界に伝えることを目的にしています。

当代随一の職人、一幸庵 水上力

この書籍の主人公である、水上力(みずかみ・ちから)は、自らの店、一幸庵を営みながら、 ロサンゼルスの美術館に招かれてワークショップをしたり、スペインやイタリアでも名だたるパティシエに和菓子文化を教えたり、和の食材を使うことで有名なパリのあるパティシエが、餡の作り方を学びに修行に訪れるなど、数少ない国際的な活躍をする和菓子職人です。

彼が「一幸庵」を創業したのは、1977年、29歳の時でした。
和菓子職人の家に生まれましたが、四男だったため独立する道を選択。 京都と名古屋の老舗和菓子店で5年の修行を積んだ後、東京の小石川に店を持ちました。
以来、独自の和菓子作りに情熱を傾け、数多くの名作生菓子・干菓子を生み出してきました。

一幸庵には、わらびもち、水羊羹、栗蒸し羊羹、花びらもち、桜餅など数多くの名品と言われる和菓子があります。
確かな目で選ばれた材料、時間と手間を惜しまない製造技術、和菓子に欠かせない季節を表現する力。
どれをとっても現代の日本の最高峰の技術と感性をもっている職人のひとりだと言えます。

水上力の創造の源、日本の「72の季節」

そんな水上力が生涯をかけて取り組んでいるテーマが、日本古来から存在する季節、72候。春夏秋冬が四季。
立春や夏至、秋分に大寒などが二十四節気。
更に細かく分けたものを、72候(しちじゅうにこう)と呼びます。
72すべての季節は、その季節の情景や旬を表す言葉となっています。

例えば・・・・

鴻雁北(こうがんかえる)。
4/10~4/14のことを指します。
冬を過ごした雁が北国へと帰っていきます。季節の訪れとともにその姿を表す候鳥として、春に飛来し秋に去る燕と対を成して、暮らしや文学の中で親しまれてきました。

蛙始鳴(かわずはじめてなく)。
5/5~5/9のことを指します。
春先に冬眠から醒めても、暫くの間は眠そうだった蛙が、ようやく鳴き声を聞かせ始めます。

この、72候の季節を美しい和菓子として表現したもの。それが今回のプロジェクトで出版したい「IKKOAN」です。

少し中をお見せすると・・・先ほどの鴻雁北はこちら。

そして、蛙始鳴はこちらです。

和菓子の文脈は複雑なものですが、情景描写は万国共通です。
何十年もこれらの情景とむきあっている水上さんから生まれた、和菓子ならではの表現であり、同時に海外の人にも伝わる表現にもなっています。

このプロジェクトを立ち上げたきっかけ

元々、僕は小さい頃から一幸庵さんの和菓子を食べており、小学生のときには誕生日ケーキの代わりに、一幸庵さんの羊羹を母にせがんで一本買ってもらうほどでした。
ある時にお話を聞きに伺った時に、水上さんが「和菓子に未来はあるのか」という強い危機感をお持ちだと知りました。
お話をするなかで考えたのは、世界に通じる高いクオリティの本を作ること。
本を作ることで、彼の仕事を後世に残すと同時に、日本や世界に対して、和菓子を日本画や俳句などに並ぶ日本の美しさを伝える高度な表現手段として伝えることで、和菓子が置かれている厳しい状況に対して働きかけができないかと考えました。

僕は学生時代に建築を学んでいたのですが、水上さんの和菓子には伝統建築のような継承を感じます。
宮大工たちが技術や様式を受け継ぎながらすこしずつ表現を進化させていくように、水上さんも先人たちが作って来たルールに乗っ取りつつも、それを乗り越え、自分の表現を生み出しています。

この本の先にあるもの

この本を日本や海外の美術館や書店に展開し、アート文脈として通用する新たな和菓子文化を伝えていきたいと考えています。
さらにこの本で美術館にプレゼンテーションを行い、パリなどの国際都市での和菓子職人として初めての展覧会開催を目指しています。
プレゼンテーションで強くアピールするもの、アーカイブとして100年後まで価値を失わないものを目指し、写真家やアートディレクター、そしてなにより一幸庵さんが納得いくまで撮影を重ねました。
また、多国籍での展開を考慮して、翻訳も英語だけではなくフランス語も追加する等のプロセスを重ね、当初1年で制作し出版する予定が、5年の歳月を要しました。

水上力氏のメッセージ

花でも野菜でも季節を問わず手に入れられる現代において、お茶会や行事の厳密な季節に合わせて作られる和菓子は、日本の文化を表現するためにとてもよい存在だと考えています。
だからこそ日本文化の一端を担うと自負する者として、和菓子で72候という日本の文化を表現するこの本の企画に興味を持ちました。

本の中では72候という季節のモチーフをお菓子にしていますが、 日本独自の72もの季節の言葉をヒントに、自分が生きてきた中で 出会った風景や職人としての蓄積をお菓子にしています。

日本独自、和菓子独自の表現を通じて日本の美しさを感じていただけたら幸いです。さらにこの本をきっかけに何か和菓子界に新しい文化が生まれたら こんなに嬉しいことはありません。

集まった資金の使い道

水上さんは素晴らしい技術と感性を持つ和菓子職人ですが、本の制作費として大きな予算を捻出できるわけではありません、ここに至るまで、関係者の方々には有志で参加いただいていました。
また自腹で束見本まで作ってしまいました。
目標金額の30万円が集まれば、そこにこちらの資金を足し、ある程度の部数を日本で出版することが出来ます。

また、第二目標の80万円集まれば、海外に出荷する分まで印刷量を増やすことが出来ます!
クラウドファンディングという仕組みを使って、皆様のお力でなんとかこの本を世の中に出し、和菓子という日本が誇る文化を世界に伝えるお手伝いを頂けないでしょうか。どうぞよろしくお願い申し上げます。

書籍詳細

ページ数:194ページ
言語:日仏英
サイズ:220mm × 220mm × 35mm
ハードカバー


↑中身一部抜粋

水上力
東京在住 一幸庵店主
1948年生まれ、東京都出身。
1971年より京都で丁稚奉公から和菓子職人としての修行を開始
1976年に名古屋にて修行を終える
1977年 東京にて 一幸庵開店
現代の和菓子職人として、国際的かつ、多岐にわたった活動を行っている。
ヴァローナ・ジャポン・エコール東京や仏サダハルアオキや仏ジャン・シャルル・ロシュを始めとする、国際的なチョコレート会社やパティスリーメゾンと、積極的なコラボレーションを行っている。
仏ヴァローナ社の招待によりイタリア・ミラノで開催された食のエキシビションである“Identita Golose”でのデモンストレーションや、トップパティシエが集まる「ルレ・デセール・インターナショナル」日本会議でのデモンストレーション、ロサンゼルスジャパニーズ・アメリカン・ナショナル・ミュージアムでの講演など、積極的なデモンストレーション/講演を国際的な場で行う。

応援メッセージ

来栖けい氏

流通が発達した近年、昔とは違い、どこにいても世界中の上質な素材を扱うことが可能になった。 しかし、そこには疑問もある。
「他と違う料理、お菓子を作る=今までにない組み合わせの提案」になってしまっているのだ。
素材が溢れる今、シェフの気質的にも、様々なものに触れてみたいその気持ちは理解できる。
しかし、これまで扱ってきたポテンシャルの高いメインの食材に、出逢って間もない野菜や調味料を合わせることが「進化」なのか。
私はそうは思わない。 どんなに味、香りの相性が良い食材同士であったとしても、生まれた場所や歴史的背景も含め、人の記憶を味方につける領域までには至らない。
「日本の秋刀魚」に、どんなにポテンシャルが高く相性のいい西洋野菜を合わせても、 “秋刀魚の塩焼き(秋刀魚+大根)”の前では、存在感、説得力ともに遠く及ばないのはそのためだ。
それが「おいしさの本質」であり、いつの時代も変わることのない「王道の領域」。
この食材の流通の発達、情報の発達によって、フランス料理の定義、イタリア料理の定義etc…が薄れてきたのも事実。 それは自然な流れなのかもしれないが、何でも扱えてしまう今の時代だからこそ、組み合わせ云々ではなく、より一層「素材との会話」が重要になってくるのではないだろうか。

東京・茗荷谷にある「一幸庵」は、その難しい領域に達する日本最高峰の和菓子店である。
そもそも、「和菓子」というもの自体、フランス料理やイタリア料理、洋菓子などの華やかさの陰に隠れてしまいがち。
身内以外でその道に入ろうとするものも限りなく少ないジャンルではあるが、1977年のオープン以来、今も全く色褪せることなく、ひとつひとつのお菓子に「静かなる凄み」を宿している。 作り方は古典的。
しかし、いざ味わってみると、決して古くない。
それは、1品1品にしっかりと個性が感じられるからである。
決して変わった素材をプラスしているわけではない。
にも関わらず、目隠しで食したとしても、それが「一幸庵の“さくら餅”」だと理解できる。
それはなぜか。 一般的な桜餅の餡は、水分が少なめに調整されている。
しかし、「一幸庵の“さくら餅”」は、くるっと巻く関東風の生地でありながら、両サイドから流れ出てしまうギリギリのやわらかさのこし餡が包み込まれているのだ。
ひとつひとつのお菓子と徹底的に向き合い、そんなギリギリの領域でおいしさを表現しているからこそ、古典なだけではない、唯一無二の和菓子が生まれるのである。 他との違いを出すにあたって、基本路線とは異なるものを加えることがいかに小細工か。 扱おうと思えば何でも扱えてしまう今だからこそ、一度立ち止まって考えるべき。

この書籍が、すべての作り手に、何かしらの「気づき」をもたらせてくれるものであることを強く願いたい。

<プロフィール>
これまでに2万軒以上のお店を食べ歩き、取材を一切しない独自のスタイルを貫く。 2004年末に著したデビュー作『美食の王様 究極の167店 珠玉の180皿』(筑摩書房)が大きな話題となり、「美食の王様」として数多くのメディアで活躍。 2015年夏、来栖けい集大成のレストラン&パティスリー「ボニュ」を、代々木にオープン。

リターン

▼2,000円
・お礼のメッセージ
・和菓子豆知識10選
・本の奥付にお名前を掲載

▼5,000円
・お礼のメッセージ
・本書
・本の奥付にお名前を掲載

▼8,000円
・お礼のメッセージ
・一幸庵の店頭でお菓子を交換できるクーポン  (3種類好きなお菓子をお選び頂けます)
・本書
・本の奥付にお名前を掲載

▼10,000円
・お礼のメッセージ
・一幸庵の和菓子をプレゼント(栗ふくませ3個・最中3個)
・本書
・本の奥付にお名前を掲載

▼70,000円 限定10個
・お礼のメッセージ
・本の奥付にお名前を掲載
・本書に水上力のサインを添えて
・貴方だけの和菓子をインスピレーションで作ります(50個程度)
※要お打ち合わせ、アレンジ可。

▼200,000円 法人プラン
・お礼のメッセージ
・本の奥付にお名前または御社名掲載
・水上力が講演に伺います(交通費別途)

▼200,000円
・お礼のメッセージ
・本の奥付にお名前または御社名を掲載
・水上力が貴方の目の前でお好きな和菓子を作ります(交通費別途)

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