20世紀の科学の圧倒的な進歩により、地球の表面から全人類の生命を消去するのに十分な破壊力のある原子力と、新しい生命体を合成する医療技術を取得しました。ニーチェが「神は死んだ」と叫んでから一世紀以上がたった現在、その言葉が強い現実味を帯びています。
科学の進歩が速く、哲学的な考察より効率性や収益性が重視されるこの現代にこそ、核エネルギー、遺伝子操作、人間社会のあり方についてもう一度考える必要があると思っています。
すなわち今こそ「人間とは何か」「生命とは何か」というアイデンティの根本的な問題について考えなければ、文明は後戻りのできない未来に踏み入ることになると感じています。
今回の作品の中心的な部分は映像作品です。
この映像作品では、上記のテーマを扱った物語映像とドキュメンタリー映像を軸に展開していきます。
物語映像(劇映画)の部分では役者を用意して、一つの物語が展開していきます。主人公の女性研究者アナスタシアがある日、記憶を失った状態で目を覚まし、偶然出会った男性トーマスとともに、自らの過去とアイデンティティーの真実を探していくという内容です。ドキュメンタリーの部分では、物語の書き手でもある川久保による語りと、上映場所でもあるIRBバルセロナの遺伝子やDNA編集の研究者へのインタビューなどを収録します。
これら二つのパートが混ざり合いながら展開していき、その中で遺伝子改変の倫理性、原子力の問題、身体と心の関係、そして生命の意味について探求を進めていきます。
この作品は2020年の5月にバルセロナのIRB Barcelonaという場所でインスタレーション作品の映像部分として展示される予定です。
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
調達目標金額
3,413,900 円
内訳:
プロダクション(撮影及び制作スタッフ人件費、ロケーション費用、機材レンタル含む)
2,194,400 円
ポストプロダクション(編集、音楽、カラーリング等)
822,500 円
役者出演費
540,000 円
字幕翻訳、著作権関係
240,000 円
展覧会会場費、設営費
400,000 円
スタッフ移動費・旅費
1,517,000 円
記録費、冊子印刷
500,000 円
合計
6,213,900 円
助成金等による確定済み収入
+2,800,000 円
調達目標金額
3,413,900 円
制作費は全部で640万円強の予定です。現在は助成金などにより300万円近く集まっていますが、差し引き340万円ほど不足しております。
1月 ロケハン、ロケ地確定、配役、脚本調整
2月 撮影準備、演出稽古開始
3月下旬 撮影
4月 編集作業
5月 展示インスタレーション、発表
2020年夏-秋 東京にて報告上映会、リターン順次発送
本プロジェクトでは、様々なリターンをご用意しました。
エンドロールへのお名前のご記載、プライベート上映会へのご招待、また、本映像作品の台本、絵コンテをサイン入りでお届けします。
制作のプロセスをドローイング、写真、文章などで記録したプロセスブックや、特製のポスターも作成する予定です。
さらに、スチルのプリントのほか、本映像作品の撮影が行われるロケ地にて、新作の写真を撮り下ろします。
こちらは、本映像作品から生成する、まだ誰も見たことのない完全な新作写真となります。日本のみなさま限定です。サイン、エディション入り、額装済みで、三種類のサイズをご用意しております。厳選された数種類のイメージの中からお選びいただく形を予定しております。ご期待ください。
また、「サポーター」「コントリビューター」「アソシエートプロデューサー」の、三種類の「スポンサー」枠をご用意させていただきました。
こちらのリターンでは、エンドロールにお名前を記載させていただく以外に、撮影の裏側やメイキングなど、ご支援頂いた方々に制作の過程を特別にご報告させていただく形を考えています。また、上映会にもご招待させていただきます。
最後に、地図の作品は、オリジナルの一点ものとなります。2017年のヨコハマトリエンナーレでも展示された作品で、本映像作品にとっても内容の道しるべとなる巨大ドローイングです。
※英国での資金調達も予定しております。日本が先行公開となります!
今回、ロケ地で撮影される新作の写真シリーズについて:日本限定です。
台本、絵コンテについて:日本で余った個数分が販売される可能性があります。
地図の作品について:英国においても販売される予定です。一点ものにつき、購入者決定次第、公開取りやめとなる可能性があります。
今回の作品の撮影はバルセロナ、イギリス各所、ブルガリアで行いたいと思っています。特にラストシーンではブルガリアにある歴史的な建物を背景に物語を結べることができたら、作品としてとてもインパクトのある、強いメッセージが伝えられると思っています。このクラウドファンディングを通して、ぜひそのための費用を集め実現させたいと思っています。そのためにはどうしても、みなさまのご支援が必要不可欠です。
今回の資金調達では、ブルガリアでのロケ敢行を最終目標に設置しています。本作において重要な撮影地となると考えておりまして、上記に記載した目標金額への達成に近づけるよう、みなさまのご支援のほどどうぞよろしくお願いいたします!
文明繁栄の中で人類が得るもの、失うもののについて考えるきっかけになることを祈ってプロジェクトを実現したいと思っております。
どうぞご協力をいただけますようお願い申し上げます。
スペイン生まれ。2003年筑波大学人間学部卒業。写真の存在論を探求した平面作品や、エネルギー問題、歴史性、物語性や認知論を主題としたサウンド作品、映像作品、建築介入・空間インスタレーションを主に製作する。
近年の主なグループ展に「六本木クロッシング2019展 - つないでみる」(森美術館、東京、2019)、「21st DOMANI・明日展 - 平成の終わりに」(国立新美術館、東京、2019)、「ヨコハマトリエンナーレ2017」、「VOCA2015」などが、主な個展に2018年「I/body/ghost」(ヤマモト・ケイコ・ロシェックス、ロンドン)「200万年の孤独、さくらと50万光年あまり」(黄金町エリアマネジメントセンター、横浜、2017)、「Stella Maris was a name I found in a dream」(大和日英基金、ロンドン、2016、)「Fall」(資生堂ギャラリー、東京2016)、「二百万年の孤独」(トーキョーワンダーサイト、本郷、2015)がある。
2015年VOCA展大原美術館賞、第10回shiseido art egg入選、Sovereign Art Foundation Asian Art Prize 2012ファイナリストノミネート、2011年トーキョーワンダーウォール入選、等の受賞がある。
※平成27年度ポーラ美術振興財団在外研修員、平成28年度文化庁新進芸術家海外派遣制度としてイギリスにて研修。