世界の中の日本文学、そして日本語に光を当てる――
文芸誌『jem』言葉の未来を切り拓く第3号を刊行したい!

さらに充実!寄稿者がひとり増えることになりました

発起人の木村夏彦です。

8月となりましたが、ものすごい原稿が少しずつ集まってきています。

特集「表記の森へようこそ!」のアンケート回答者ですが、新たに詩人の平川綾真智さんを迎えることとなりました。

恥ずかしながら、つい最近まで平川さんがどのような方か存じ上げませんでした。詩のイベントで進行役を務めていて、それがあまりにいい声だったので、始めは声のお仕事に就かれている方かと思ったほどです。たいへん申し訳ありません。

きっかけとなったのは、小笠原鳥類さんの詩論集『現代詩が好きだ』でした。平川さんの『h-moll』をあつかった章は「言語の現在」と付されています。小笠原鳥類さんほど詩にこだわり、詩を愛している詩人は詩人のなかでも稀だと思いますが、そうした方が『h-moll』に言葉の現在地をみています。一冊の書物なかで、「言語の現在」などという言辞を二度使えば、とたんに嘘臭くなることでしょう。一回しか使えない言葉が、一回しか生まれない詩集にここでは使われています。

『h-moll』には少なくともわたしがこれまで見たことのない、異形の想像力が現出しています。同時に、2016年の熊本地震を扱った震災後文学の傑作でもあります。ある媒体に掲載された豊崎由美さんの書評も、この本をやはり震災の視点を含めた視点から読んでいます。

平川綾真智さんに寄稿依頼の快諾をもらったのは7月24日。その数日後に、2026年の熊本地震が起こりました。もちろん、この詩集の混濁性、キメラ性は震災という視点だけで読んでしまってはいけないものだと思います。しかし、平川さんに寄稿をいただくことになったのも、縁のひとつとして大切にしてゆきたいと思います。

以下、寄稿くださる方の略歴を連載形式で少しずつお伝えしてゆきます。

大島豊(おおしま・ゆたか)
東京生まれ。翻訳屋、ヨーロッパはじめユーラシアの伝統音楽ファン、デッドヘッド。著書に『アイルランド音楽:碧の島から世界へ』(アルテスパブリッシング)。主な訳書にK・S・ロビンソン『火星三部作』(東京創元社)、A・ド・ボダール『茶匠と探偵』、I・ワトソン『オルガスマシン』、ビショップ『時の他に敵なし』(以上竹書房)。B・フォイ『アイリッシュ・ミュージック・セッション・ガイド』(アルテスパブリッシング)。T・ブラウン『アイルランド社会と文化1922〜85年』(国文社)。

吉良佳奈江(きら・かなえ)
静岡県生まれ。翻訳者、韓国語講師。社会を変えるおしゃべりのような翻訳がしたい。都内大学にて掛け持ち講師。主な訳書にチョン・ミョングァン「退社」(『たべるのがおそいvol.7』二〇一九、書肆侃侃房)、チャン・ガンミョン『韓国が嫌いで』(二〇二〇、ころから)、ソン・アラム『大邱の夜、ソウルの夜』(二〇二二、ころから)、キム・メラ『わたしを夢に見てください』(二〇二五、花伝社)。

今野真二(こんの・しんじ)
1958年、神奈川県鎌倉市生まれ。1986年早稲田大学大学院博士課程後期退学。高知大学助教授を経て、現在、清泉女子大学総合文化学部教授。日本語学専攻。主な著書に『仮名表記論攷』(清文堂出版、第30回金田一京助博士記念賞受賞)、『日本国語大辞典をよむ』(三省堂)、『日日是日本語』『日本語と漢字』(岩波書店)、『日本を知る』(みすず書房)、『谷川俊太郎の日本語』(光文社新書、第26回日本詩人クラブ詩界賞受賞)などがある。

三島芳治(みしま・よしはる)
漫画家(自営)。単行本『レストー夫人』(集英社)、『児玉まりあ文学集成』(リィド社)、『衒学始終相談』(白泉社)。コミティアに参加、サークル名「つゆくさ」。

吉田隼人(よしだ・はやと)
一九八九年、福島県伊達市生まれ。歌人、エッセイスト。東海大学文化社会学部文芸創作学科特任講師。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程フランス語フランス文学コース単位取得退学。二〇一三年に角川短歌賞、二〇一六年に第一歌集『忘却のための試論』で現代歌人協会賞を受賞。ほかの著書に歌集『霊体の蝶』、エッセイ集『死にたいのに死ねないので本を読む』(ともに草思社)。新書判の現代短歌入門『短歌から遠く離れて(仮題)』準備中。

クラウドファンディングプロジェクトですが、去年の今頃と比べても、非常に苦戦している状態です。みなさまのお近くに、本プロジェクトに関心を持っていただけそうな方がいれば、無理のない範囲で弊誌のことを紹介していただければ幸いです。また、もし可能でしたら、各種SNSにおけるいわゆる拡散をご協力をくださるとなお幸甚です。充実した一冊にできるよう、引き続き努力を重ねて参ります。

 

2026/08/02 17:02