そんなふうに感じたことはありませんか?
1990年頃からDACは1ビットが主流となり、1999年にはSACDが登場。
オーディオのハイレゾ化が加速してきました。
ハイレゾは音楽を正確に再生するための挑戦ですから、もちろん否定するつもりはまったくありません。
ただ、解像度が高く美しい最新の音を聴いていると、ふと若いころに聴いていたCDの音が懐かしくなることがあります。
初めて聴いたデジタル音源は、やや荒っぽいもののエネルギッシュな音でした。
手軽にハイレゾ音源が楽しめてしまう今、改めてあの頃の音を楽しんでみませんか?
Conclusionの新しい単体DAC、D-10VN[16BIT VINTAGE]は、
1980~90年代のCDプレーヤーで人気のあったDACチップ、
の3種類のDACを、基板を差し替えることで楽しめるようになっています。
これらはすべて16ビットDACですので、解像度は16ビットになっています。
しかし音の味付けはそれぞれのメーカー、あるいはお国柄が色濃く出ています。
このD-10VNを聴くと、昔のDACは個性的だったな、と改めて感じられるでしょう。
※本ページで紹介しているスペック、デザインは現時点でのものです。変更が生じた場合は活動報告としてご連絡いたします。
●DACチップセットはドーターボードタイプで簡単に挿し替え可能
●DACチップセットのラインナップはバー・ブラウンPCM53JP-V、ソニーCX20152の2種類
●フィリップスTDA1541Aのチップセットボードも本プロジェクト限定で用意(フルセット用として限定5セット)
●フィリップスTDA1541Aが使えるブランクボード(TDA1541Aはご自身でお求めください)をオプション設定
●その他のDACチップを使用したボードも現在開発中
●フロントUSB-CまたはリアUSB-B(USB-C優先)に加え、SPDI/F同軸2系統、光1系統の豊富な入力端子
●リザーブ電源ユニットを内蔵した強力な電源部
●出力はライン(RCA2系統)に加え、4.4mmバランスタイプのヘッドホン端子と5532を採用した高音質ヘッドホンアンプを新設計
●入力は192kHz/24bitまで対応 (各DAC ICへは最終的に16bitで入力されます)
違うDACの音を楽しむにはDACチップセットが組み込まれた基板を挿し替えます。
(1)安全のため電源ケーブルを外し10秒待ちます。
(2)ボンネット上部のカバーを開け、基板の上部両端をつまみ、ゆっくりと基板を引き抜きます。
(3)新しくセットする基板を、白い樹脂のレールに沿って、しっかりと挿し込みます。
(4)カバーを戻し、電源ケーブルをセットします。
基板がしっかりと挿し込まれると、電源を入れたときにディスプレイにDACチップが表示されます。
SPDI/Fは同軸2系統、光1系統の計3系統を備えています。
またUSBは背面にタイプB、前面にタイプCを備えていますが、こちらはタイプCが優先になっています。
例えば背面のUSB タイプBにはPCを接続しておいて、
スマホなどからの入力で使用したいときは、前面のタイプCに接続すれば、こちらが優先になる、というものです。
タイプCからケーブルを抜けば、またPC(背面のタイプB)からの入力を受け付けます。
切り替えはダイヤル式なので、デジタル入力セレクターとしても大変便利です。
これまでの単体DACがおろそかにしがちだった電源にもD-10VNはこだわりを持っています。
元々NEC(その後オーセンティック)でA-10シリーズの開発に携わっていた萩原由久氏がD-10VNの電源部を設計。
A-10シリーズと同じ動作原理を持つ「リザーブ電源」を採用しています。
右側面に取り付けられた大容量トランスと相まって、
音楽信号による電流の変動をキャンセルし、安定動作を約束します。
D-10VNには4.4mmのバランス対応のヘッドホン端子を備えています。
内蔵したヘッドホンアンプは、こちらも萩原由久氏が開発設計しました。
丁寧に作られたアンプ基板の音決めの要であるオペアンプは5532を採用。
なおバランス用の端子ですので、アンバランスのヘッドホンを使う場合は、
市販のバランス―アンバランス・アダプターが必要になります。
第1世代のCDプレーヤーにも多く採用され、
その後デノンを始めとしたメーカーがこぞって使ったのがバーブラウンのDACでした。
バーブラウンの音響用DACとしては第2世代にあたるPCM53シリーズはいくつものバリエーションを持ち、
中でもこのPCM53JP-Vは各メーカーの主力CDプレーヤーに広く採用された完成度の高いDACとして知られています。
方式としてはラダー抵抗型。安定感も抜群の傑作DACです。
ただし現代のDACに比べるとノイズのない部分だけをサンプリングし、ホールドする必要があるので、
設計にロジック回路の習熟度が求められるDACでもあります。
ソニーがCDを開発する際に、高音質な16ビットDACが存在しなかったため自社で開発する必要がありました。
そこで開発されたのが積分型DACという方式。世界初のCDプレーヤー、CDP-101に搭載されたのがCX20017という第1世代の積分型DACですが、
CX20152は第2世代に当たり、音質も信頼性もアップしました。
また積分型DACはゼロクロス歪が発生しないメリットもあります。
ただし積分型DACはサンプリング周波数毎に、電荷を蓄積したコンデンサから積分データをディスチャージする必要があり、
そのための回路やパーツは当時に近い動作をするものを使用しています。
良く知られている通りフィリップス最初のCDプレーヤーであるCD-63には14ビットDAC、TDA1540が搭載されていました。
これは当時の16ビットDACの信頼性が不足していたためと言われていますが、
もちろんフィリップス自身も14ビットで十分と思っていたわけではなく、1985年には16ビットDACのTDA1541を開発。
その改良版であるTDA1541Aはフィリップス、マランツだけではなく各社のCDプレーヤーに搭載されました。
ダイナミック・エレメント・マッチング回路を装備しており、
DACの個体差である変換誤差を平均化し変換精度を上げるという独創的な仕組みを持ち、
今聴いても「良い音だなあ」と感じられるはずです。
ただしTDA1541Aは現在に至るまで高い人気を保ち、それゆえ多くのバリエーション(選別品)と偽物も出回っています。
そのため今回のプロジェクトでは、ユーザーの皆様にチップそのものは入手(ネットオークション等で入手可能)していただき、
ご自分でソケットに刺し込んでいただきたいと考えました。
TDA1541Aであれば選別品も使用可能です(TDA1541は使用不可)。
なお今回は数量限定で、確実に本物のチップを入手するため、中古のCDプレーヤーなどからTDA1541Aを抜き取り、
動作を確認したうえで組み込んだDACチップセットボードを用意しました。
(写真のTDA1541Aはテストに使用したもので、実際にお届けするものとは異なります)
TDA1541Aを搭載したCDプレーヤー…ソニー・CDP-555ESD(1986年)、マランツ・CD-94LIMITED(1987年)、ラックスマン・D-500X's(1990年)など
入力 | 光デジタル(SPDI/F)✕1系統 同軸デジタル(SPDI/F)✕2系統 USB(タイプB・リア,タイプC・フロント)✕1系統 ※USBは同時接続の場合USB(フロントC)を優先 |
出力 | アナログ(アンバランス)✕2 ヘッドホン(4.4mm5極/バランス対応型,アンプ内蔵) |
電源・消費電力 | AC100V・20W |
対応信号 | PCM(44.1,48,88.2,96,176.4,192Hz/16,24bit) ※各DAC ICへは最終的に16bitで入力されます |
本体寸法 | (幅)250mm ✕(高さ)100mm(脚含む)✕(奥行)250mm |
質量 | 4kg |
添付品 | 電源ケーブル ✕ 1個 |