「ケヤキブンガク」は普通の文学雑誌ではありません。武蔵野を起点に文学を愛する全ての人が参加できる新しい「ブンガク」雑誌です。
単発として創刊するだけではなく季刊誌として「ケヤキブンガク」を発刊し、武蔵野ブンガクと言うジャンルを築いて行きます。
このプロジェクトでは創刊第一号にかかる出版費用のご支援をいただくとともに、創刊号を皆様にお届けします。
宮脇 俊文
成蹊大学名誉教授
『ケヤキブンガク』代表
文学は今なぜ軽視されるのか?
それは効率第一主義が社会のあちらこちらにはびこっているからです。結果だけを求め、プロセスを大切にしない時代なのです。いかに崇高な理念を持って生きていても、目立った結果を出せないものは「負け組」として葬り去られてしまいます。すべては結果なのです。学校においても、時代の流れについていこうと必死で、目先のことばかりを教えようとしているようです。
子供たちにじっくりと物事を考えさせることをしない時代になっています。
ここでも試験の結果がすべてなのです。
そこには人間教育という理念はもはやないかのように見えます。成績の悪い子は周辺に追いやられ、要領よく良い成績をとるものだけが賞賛されるのです。まるでそこは戦いの場と化しているかのように思えてしまいます。戦うことをやめれば、もう自分の居場所はないのです。休むことは許されないのです。そして逃げ場もありません。
こんな教育を受けた人間が社会に出たとき、そこはどんな場所になるのでしょうか?弱者、あるいは周辺、底辺に生きる人々に対する共感はなく、成功者だけを持ち上げるものが指導者となっていくのです。そこでも効率だけが重視されることになり、気がつけば致命的な結果を招きかねないのです。現に今の日本はそんな状況にあるのではないでしょうか。
万人がともに理解を深めながら社会を形成してこそ、真の共同体が生まれるのです。そこに分断があってはならないのです。文学に触れることで、子供たちは社会にはあらゆる種類の人たちがいて、それぞれが違った考えを持っていることを知ることができます。そこに共感が生まれます。自分とは違っていても、相手を尊重できるようになるのです。古典から現代文学まで、多くの本に触れることで、子供たちは人間がここまでの歴史を歩んできた中で体験してきた喜怒哀楽を知ることができます。これ以上の教育があるでしょうか?実用的な教育はそのあとでもいいのではないでしょうか?まずは、人を知る教育があるべきであり、それが文学なのです。
武蔵野を愛した文人、文化人は数多くいます。なぜ彼らはこの地に惹かれたのでしょうか。それは単に恵まれた自然環境というだけなく、この地も持つ独特の風土とでもいうべきものでしょうか。地形や風の流れ、そしてその匂いなど、あらゆる自然環境が作り出すここだけの風土。それが文化人の肌に合うのかもしれません。
太宰治をはじめとする数多くの文人がこの地を愛したように、現在も多くの文化人がこの地に集まっています。また、「ジブリの森美術館」といった文化施設も誕生しています。
成蹊学園はそんな武蔵野の一部である武蔵野・三鷹地区に位置しています。そこで学んだ若者たちは、無意識のうちにそんな武蔵野の風土に育まれてきたのでしょう。そして、そこからは多くの作家や詩人などが誕生しています。このことは意外にもあまり意識されていないようですが、それもまたこの地独特の控えめな性格から来ているのかもしれません。それはいいとしても、成蹊はもっとこの特長を活かしてもいいのではないでしょうか?
武蔵野から全国、そして世界へ。我々が伝えるべきことを伝えていけるような雑誌を作っていきたいのです。
ジャズ、それは自由を奪われた人々の切実な叫びから生まれたものです。いまやそれは抑圧の歴史を歩んできたアメリカ黒人たちだけのものではなく、世界中のすべての周辺に生きる人々の声を代弁する音楽となっています。人種や国籍による差別をせず、個々の人間の尊厳を重んじる表現形式なのです。つまり、ジャズは音でそれぞれの思いや主張を伝えようとするもので、言葉を手段とする文学と同じ目的を持っていると言えます。ジャズには、文学と同様、人々の喜怒哀楽が込められているのです。
そんなジャズが、武蔵野の一角にある吉祥寺の街にもあふれています。たとえば、それは60年代、より良い大学、そしてより良い社会を目指して闘った学生たちのBGMでもありました。あの村上春樹の『ノルウェイの森』には、そんなジャズと吉祥寺の関係が描かれています。
また、森田童子の「僕たちの失敗」で歌われる「地下のジャズ喫茶」は吉祥寺のトレードマークでもあったのです。こんな風にこの街にはいつもジャズがあふれていました。吉祥寺の駅を降りると、どこからとなくジャズが聞こえてくるような、そんな街でした。そこにはそのスピリットが根づいているのです。
そんなスピリットを『ケヤキブンガク』は言葉にして伝えていきたいのです。
その名は、『ケヤキブンガク』
武蔵野台地の西端、東京23区に隣接してある武蔵野市吉祥寺。かつては「武蔵野の自然」、「武蔵野の雑木林」と自然豊かな景観を誇っていた。その後、武蔵野は都市化の波にまみれながらも、自然の美観を残す町となった。現在の武蔵野には、都市の文化と雑木林の文化が混淆している。その文化の汽水域にあって、新たな文化が創出され続けている。
成蹊学園から、武蔵野から、多くの文化人が世に送り出されているのは、この武蔵野の風土が育んできたものか。その美観を今に伝えるシンボルが、成蹊学園を取り囲んでいる約600メートルのケヤキ並木。このケヤキ並木は、成蹊関係者のみならず、地域住民からも愛されている。そして今、武蔵野からの新たな文化の発信が求められている。新たな雑誌の刊行が待たれている。その雑誌の名は、『ケヤキブンガク』。
北川浩 |
スマート社会やメタバースなど人間が「モノ」として扱われつつある世の中で、人間が人間らしく生きるための最後の砦となるものが創作活動だと思います。 とりわけ文学は、詩やエッセイを書くなど他の創作に比べ、誰でも身近に取りかかれるものだと思う。『ケヤキブンガク』も一部の有名作家だけではなく、誰でも自身を表現できるプラットフォームとなることを期待しています。 |
挾本佳代 |
SNSを通じて、気楽なコミュニケーションがとられる現代社会において、私たちは本当に自分の言葉で話しているでしょうか。内面からほとばしる感情を、自ら紡ぎ出した言葉によって伝えているでしょうか。 私たちの精神を鍛え、豊かにし、感受性を高め、そして人間関係を奥深いものにしてくれるのが文学です。『ケヤキブンガク』を手にすることで、そっと寄り添ってくれる言葉と新たな自分を発見していくことができるはずです。 |
今回ご支援いただいたお金は以下の項目に大切に使わせていただきます。雑誌の制作費だけはなくミュージックビデオの制作費にも今回の支援金を当てさせていただこうと思っています。
①雑誌印刷費:80万
②原稿依頼費:50万円
③配送費・梱包費:5万円
目標金額:90万円
※支援金が90万円を超えた場合は、まかなえきれていない雑誌の制作費(記事制作費、デザイン費)に当てさせていただきます。
現在、編集部週一度の企画会議を行っています。
2022年5月、全体の構成を固める。
2022年 5月、創刊号のテーマに沿って、書籍全体の細かな企画を固める。2022年6月、本プロジェクトの告知をYouTubeより動画配信。
2022年6冒頭月、各執筆者への原稿依頼
2022年6半ば月、カバーデザインやビジュアルページのデザインを進める。
2022年7月、入ってきた原稿から組版に着手。
クラウドファンディングの実施
2022年9月、全ページの組版終了。
2022年9末月、各ページの著者と校正のやりとりを担当者が行う。
2022年10月末、印刷所入稿→校正を経て、2週間ほどで刷り上がり。製本を経て、
2022年11月末刊行予定→新聞等に広告を掲載。
2022年12月より、執筆者を招いて刊行記念のトークショー&YouTubeより動画配信開始