映画『一献の系譜 -能登杜氏のいとなみ-』製作プロジェクト。
「呑みトモ」を増やしたい!

行け!のサインー残り7日ー

私は過去3作の映画を手掛けて来ました。どの作品も、険しく楽なものなど一つもありませんでした。しかしながら、その作品を自分が監督することになる強烈な意味を感じる瞬間があるから前に進むことができました。

それを、私は「行け!のサイン」と呼んでいます。

今回もまたその「行け!のサイン」をしっかり感知しました。

先日、銀座のおしゃれ空間LEAGUEさんで開催された映画『一献の系譜』応援プロジェクトは、能登を愛し、日本酒を愛する主催者さま方によって、それはそれは暖かく素晴らしい時間となりました。

金沢でわざわざ仕入れてこられた銘酒の数々。お魚も七尾の「川端鮮魚」さんから取り寄せられ、この上無い時間。

そんな中、一つのボトルが目に飛び込んできました。

映画と同じ名前の日本酒!!?伺うと、それは奥能登の酒蔵「鶴野酒造」さんが愛情籠めて書いてくださった私へのサプライズの一本だったのです。

ロケ帰りのボロボロ状態で参加した私の心は一気に上昇。しかも鶴野酒造さんは実はまだ足を運んだことが無く、地元のカメラが入っていない蔵の方がどう感じていらっしゃるか、正直、伺うことが気が引けていたということもあり、しかしそんな小さな不安を吹き飛ばして、「がんばれ!」と言われている気がして、「よし!やる!」と心新たに本当に本当にうれしかったのです。

しかし、これはまだ序章でした。。。

イベントが終わり、日本酒を愛して止まないとあるオジサマから「日本酒が200種類くらいあるお店に行きませんか?」との殺し文句。断る理由などひとつも無く、同行させていただくと、「今日は能登杜氏のお酒は無いよ」と、マスター。話が違う!と、ずっこけて二次会スタート。しかし、私とオジサマの会話がすぐに特殊であることに気付いたマスターが、私が何者かを確認。すると、「そういうことなら仕方ない。秘蔵酒を出しましょう」と一献出してくれました。それが何なのか判らないまま、ハテナと思っていたら、奥から大変な一升瓶を出してきたのです。

これ、波瀬正吉さんが作ったお酒。

波瀬正吉さんというのは、能登杜氏四天王と呼ばれた内のおひとりで、4人の中でたった一人、既に他界されていて今回の作品の中で波瀬さんをどう描くか。これが大きな課題でもあったのです。そこでお弟子さんたちや奥様にインタビューし、生前の波瀬さんの輪郭を追っていたのですが、肝心のお酒を私がもう飲む機会が無いわけで、イマイチ自分の中に説得力を持てずにいた矢先に、こうして目の前に波瀬さんのお酒が登場したのです。

それは、私にとって波瀬正吉さん自身が会いに来て下さったことを意味していて、それまで饒舌におしゃべりしていた口も言葉を失い、その一献の中に感じられる名杜氏の存在を体に染み入らせました。

すると、この店に導いてくださったオジサマが続けておっしゃるのです。

「いやぁ、参ったな。実はね、僕もこのお酒を買ったんだけど、そのままその年に波瀬さんが亡くなってしまって、ずっと封を開けられずにいたんだ。でも、君と今日会って話を聞いて、そのお酒は映画が完成した時に開けよう!って決めたんだよ。そのことを伝えたくて、君をもう一軒さそったんだけど、そしたら先に出されちゃった…」と。

作品の始まりのこのタイミングに、波瀬さんのお酒をこんな形で口にすることができ、また完成時にも再びいただけるなんて…。もう、それは、運命としか言いようがなく、ああ、これは「行け!」なのだ、と思ったのでした。

そして、この「行け!」のサインが明確な時は、何があってもこの作品は世の中に生まれるように導かれているのだと信じることができるのでした。

私の思い込みかもしれません。

でも、映画は人の命を映し込む作業なので、良し悪しにつけ未来に必ず影響していくものです。そんな行為に対し、未来の社会にそれが存在すべきかどうか、今という時点でしか生きられない人間にとって、未来が判っている人など本当は一人もいません。しかし、必要なのではないか?という予測の元、前に進む時、これほどの背中押しがあると勇気をもって一歩踏み出すことができるのです。

こんなミラクルな出会いを作ってくださった主催者、その主催の方を紹介くださった方々、そして会に参加してくださった方々、はたまた、この企画に関して関わるすべての方々に心から感謝を申し上げたいのと、そして、今ここに「必ず辿り着きますから!」と宣言したいと思います。

スクリーンの世界をはるかに超えた次元で進むこの映画『一献の系譜』プロジェクトを引き続きどうか応援いただけますようよろしくお願い申し上げます。

「呑みトモ」サポーター募集期間、遂に残り1週間!

あと100万円!どうかどうか、よろしくお願いいたします。

ちなみに、この出来事はあまりに大切だったので、落ち着いて書きたかったのと、また、題字ラベルを書いて下さった鶴野酒造さんと川端鮮魚さんにお目にかかってからにしたかったので、ご報告遅れました。ごめんなさい。

2013/11/20 17:40