自らもタナチル(田中ウィメンズクリニック産まれ)であり、かつ3人のタナチルママ(田中ウィメンズクリニックで出産したお母さん)でもある、ミュージシャンの一青窈さんが、院長田中先生にぶっちゃけてお産にまつわる疑問をアレコレぶつけてみます。
以下、田中先生は”田)”、一青は”窈)”で表記します。
窈)
私が2人目、3人目を妊娠したとき、『一回ぐらい自然分娩でナチュラルなお産の痛み、経験したらどう?』とシッターさんや、ママ友に何度もすすめられたんです。が、なんかこう、、、前駆とはいえ、リアル陣痛(初期の陣痛)を経験した私からするとあれが1秒でも長く続くのは耐え難いっていうか、そのあとの子育てを考えても、しなくていいこと(ママの負担)はやりたくないし味わわなくていいなら、痛みはいらん!!!って思い、結果、3人とも無痛にしたんですよね。
田)
麻酔科だからこそわかるポイントでして、骨折だとか手を切るとかとは比べ物にならないほど、出産は桁違いに痛みを伴うものなんですね。
50年以上前は「お産の痛みは愛情を生むために必要だ」というようなことが通例の考えではありました。
しかし私は、ケガや病気の治療で痛みをやわらげることは当たり前なのになぜお母さんだけが出産時に痛みを味わう必要があるのかと疑問に感じました。
だから、その痛みを取り除いてあげることを目指したんです。
かつての黎明期、無痛分娩は全身麻酔からスタートしましたが、その頃は確かにリスクもありました。
そこで私は、筋肉も使えるし意識もある局所麻酔(硬膜外麻酔)による無痛分娩を確立したわけです。これによってリスクは、ほぼなくなりました。
窈)
そうなんですよ
”無痛分娩”ってなんか、自然分娩に対して若干、うしろめたい感じがしちゃうみたいな。
そもそも、痛みを伴わなきゃママになれないって感覚が女の人全体の意識下にあって 苦しんでなんぼ!みたいな、ど根性論がうっすらあるような気がするんですよね、出産には。
そんなにもう頑張らなくていいよ、とママ側の目線に立って応援してくれるお医者様って、もう神様みたいにありがたいというか。
出産してから怒涛のような毎日があると、1人目を出産して経験した私としては心から、せめてお産痛ぐらいは極限まで軽くしてあげたいという理論はものすごく腑に落ちるんですよね。
田)
数年前まで、ご家族に反対されて転院したという方もいらっしゃいました。
全身麻酔による無痛分娩で事故が増えた50年前の印象をいまだに印籠のように掲げるお医者さんたちやネガティブなイメージを持ち続けている方々はたくさんいらっしゃると思います。
全身麻酔で30時間意識が戻らないというような危ないことがかつてはありましたから。
でも、そんなふうに危険を伴うものとは、もう技術的にも明らかに違う時代になりました。
窈)
無痛でよかった!と心から思えるので、危なくないですし何よりも、お母さんたちを苦しみから解放してくれる無痛分娩の今をこの本でもっとたくさんの方に伝えられたらいいな、と思います。
※
このあとは、すべての女子が気になる、いちばん迫りたい『アソコって切れるの? 縫うの?』というお話に。
詳細は、8月中に活動報告ページにアップします。乞うご期待!