岡田杏里|Okada Anri
【プロフィール】
メキシコと日本を拠点に活動する美術家。
「現実と幻想」、「現代性と土着性」をテーマに創作活動を行う。旅と生活で発見したちょっと不思議な風景や土地の神話や伝説、風土に密着した民族性、人間の根源に流れるものを、タブロー、壁画、インスタレーションで制作し発表している。
【略歴】
1989 埼玉県生まれ
2013 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業
2014 公益財団法人石橋財団国際交流油画奨学生 (メキシコ、グアテマラ)
2016 東京藝術大学大学院美術研究科壁画専攻 修了
2016 公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修員(メキシコ)
2019 8月からメキシコ国立自治大学(UNAM)博士課程(絵画専攻)に在籍
撮影:Polo &Storch
こんにちは。
メキシコと日本を拠点に作家活動をしている岡田杏里と申します。
わたしのことを初めて知る人も多いと思うので、
・どんなことを軸に作品をつくっている作家か?
・作品の作り方について
・なぜ日本とメキシコが拠点になっているか?
・メキシコでのとある出来事を境に起こった作風の変化
など、お伝えしつつ、今回クラウドファンディングを行うきっかけになった、来年予定している銀座 蔦屋書店での企画展についてお話できればと思います。
わたしは小さい時から外で泥んこになって遊んだり、絵を描いたり何かを作ることが好きな子どもでした。身の回りのものに魂が宿っているというアニミズムの思想は、日本の風習や幼少期の原体験に関係があるのではないかと考えていて、それが私の創作物に顔がよく登場する理由の一つかもしれません。
◆アニミズム…
生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っているという考え方。19世紀後半、イギリスの人類学者、E・B・タイラーが著書『原始文化』の中で使用し定着させた。日本語では「汎霊説」、「精霊信仰」「地霊信仰」などと訳されている。
フランスの人類学者レヴィ=ストロースは、アニミズム的思考は非常に古い過去に根ざしていると言いますが、西洋では「自然と人間が対比している」のに対して、日本では「人間が自然の中にある」といった違いがあり、自然のあらゆる物事を人のように考えることが日本人の特徴としてあるようです。
「黒い雨」2016 紙、針金、鏡、アクリル絵の具 インスタレーション
「現代性と土着性」、これはわたしの創作テーマの一つです。
現代は便利だけど病む人も多く、日本では毎年自殺者が増える社会問題があったり、
世界的には人が引き起こす環境問題についての議論が提起されています。
様々な世情を目の当たりにして、本当に豊かと言えるのだろうか?と疑問を抱き、
世の中を何か違う見方で見れないかと思ったときに興味を持ったのが「土着性」というものでした。
「土着」とは、先祖代々、その土地に住んでいること。また、その土地に住みつくこと。
といった言葉で説明されますが、私はその土地の人々の生活様式や伝統、風習、
土地に伝わる神話や伝説などに、人と自然のつながりを見ることができるのではないかと思いました。
きっかけとなったのは、大学生の時に1年間休学して行ったアジアひとり旅です。
長期のひとり旅はその時が初めてで、マレーシアから始まりインド、ネパール、中国、タイ、ラオスと10ヶ月間旅をしました。異国の風景や文化の違う国の人と出会い、時に現地の人と共に生活をしたことで、本当の豊かさとは何かを考えさせられました。
帰国後、旅で得たことを自身の表現へと昇華させたいと思い、アジアの神話や風習、土着文化を調べたり、人と自然の共存について考えて制作するようになりました。
便利で経済的にも発展した都会では、自然を身近に感じるということが少し難しいですが、国や地域によっては、古くからのその土地の文化や風土がいまだに健在していて、現在もその土地の人々がその風習に則って生活を送っています。
経済的な豊かさはなくとも、
便利でテクノロジーも進んでいる国より
人が自分の身体感覚に忠実で、心も体も健康で豊か。
実際に土着文化に触れ、そこで生きる人々やその生活を見ていて、
そんな印象を強く受けました。
そして、自分なりに
土地の人から話を聞いたり、専門書や論文を読んでいくなかで、
口承で伝わる先祖の経験や教えを理解したり、死を受け入れるために生まれたのが、
神話や伝承なのではないかと考えたり、
祈りはどこから生まれてきたのだろうといったことを考察しながら、
現代的なものと土着的なもの、この2つを創作の大きなテーマとして作品を作っています。
日本とメキシコを拠点にする前から、旅やフィールドワークで経験したことや吸収したものからインスピレーションを受けて作品づくりをしていました。
オアハカ州 サンティアゴ・ソチーラ村の壁画プロジェクトに参加(2019年)
撮影 Norihisa Arai
オアハカ州 サン・マルコス・トラパソラ村にて滞在制作(2019年)
その一方で、日常の中にあるちょっとした出来事からヒントを得て、作品ができることもあります。
この作品は、ある日バナナを食べようと皮を剥いたらたまたま中身が2本のバナナだったのがきっかけで、以前原発をテーマに制作した双頭シリーズの関連作品として制作しました。
「双頭のバナナ」2016 石粉粘土にアクリル絵具(個人蔵)
双頭シリーズの一つ。
「双頭の魚」2015 キャンバスにアクリル絵具 1167x910(mm)
この作品は、メキシコの死者の日(日本でいうお盆)に食べられる「死者のパン(Pan de muerto)」がモチーフになっています。写真は、ベラクルス州ハラパ市の死者のパンです。地域によって人型だったり顔がついていたりと色々な形があります。現地在住の日本人の方から、死者のパンは別名涙のパンと言われていると教えてもらい描きました。
「涙のパン」2015 キャンバスにアクリル絵具 500x600(mm)
この作品は、オアハカのサポテカ族の女性から教わった「恐怖を取り除くレモンのおまじない」をテーマに制作しました。
「レモンのおまじない」2015 (個人蔵)サイズ可変
日常生活の中にあるちょっとした出来事からヒントを得て、そこから連想するモチーフを組み合わせて制作することが多いです。
メキシコは不思議な魅力に溢れたとても面白い国です。
そもそも私とメキシコとの出会いは、それほど古いものではありません。大学生の時、偶然手にとったメキシコのアステカ族の古代文明の画集に載っていた、モザイクの仮面に惹かれたのがきっかけでした。
こ・・これは一体なんだ・・!!!!!!
その仮面というのは、古代アステカ王国の遺跡から発掘された仮面でした。
それまでメキシコという国を特別視したことはなかったのですが、この仮面に取り憑かれたかのように、「メキシコ… メキシコに行かなきゃ…!」という思いに駆られたのです。
そして、自分の目でメキシコとはどんな国なのか実際に行って探ってみることにしました。当時、学生だったので休学届けをだして、、
その一年後メキシコの地に降りたっていました。
(サン・ルイス・ポトシ州郊外の風景)
メキシコの光と色彩、広大な大地と空、古代文明の遺跡、スペイン植民地時代に築かれたコロニアルの街並み、鮮やかな民族衣装、カトリックと融合したメキシコの祭祀、街中に描かれた壁画、情熱的なメキシコ人・・。多様な気候風土と民族性など日本と相対的なところがとても刺激的でした。
(グアナファトの街並み)
(オアハカの伝統的な祭 ゲラゲッツァ祭)
2014年10月、メキシコのオアハカに住み始めてすぐの出来事。
メキシコの夜は街灯が少なくて暗い・・
オアハカ市郊外の村に住む友人宅でごはんをした帰り道、暗い夜道を歩いていると、突然、目の前が真っ暗になったんです。
後から分かったことですが、そのとき私は大きな穴に落下していたのです。
道端に空いていた穴に落下し、そのまま水路に流されて、「あぁ、このまま死んでしまうのかな」と本気で思いました。(その瞬間、我にかえり水路を必死に引き返し、友人たちが救出してくれて無事に助かったのですが。)
あそこまで「死」というものを身近に感じたのは人生で初めてのことでした。
この出来事があってから、死生観が一変し、作品にも影響を及ぼしました。
それまで使わなかった黒い絵具を使うようになったり、それ以前は、ただ明るく楽しいイメージの作品だったのが、時として現実世界のすぐ近くにある、死の世界であったり、光と闇、生と死を強く意識するようになったんです。
それは、死というものが日本人より身近な環境にあるメキシコと、自分の中の死生観とが一致したような混ざり合ったような感覚でした。
「穴に落ちた記憶」2014(個人蔵) アクリル、紙 238 x 335(mm)
「真夜中の目醒め」2015 キャンバスにアクリル絵具 1304 x 530 (mm)
2020年1月、銀座の蔦屋書店で作品展示の機会を頂きました。
今年は、30という節目の年を迎え、さらにメキシコの大学の博士課程に進学が決まり、
本格的にメキシコに拠点を移したりと新しいことにチャレンジする年になりそうです。
展覧会開催1年半前から本展の企画が始まり、日本とメキシコで準備を進めてきました。
銀座 蔦屋書店の本に囲まれた空間で、自分の創作のテーマでもある、人間の持つ二面性、光と闇、生と死など対極するものをイメージの根底におきながら、日常の出来事を詩的な表現で用いて作品を作りたいと思っています。
「El yo y el Yo」
展覧会のタイトルである「El Yo y el Yo」(エル ジョ イ エル ジョ)は、スペイン語で「私と私」という意味です。
展覧会のタイトルを考えた時に、自分の深層意識をもう一人の私と想定し、テーマに沿ったタイトルだと思いつけました。
これまでさまざまな土地でお世話になった方々にぜひ見ていただきたいという思いと、今回初めて知っていただく方々にも見て楽しんでいただけるような展覧会にしたいと思っています。
実際の展示は2020年1月になりますが、より多くの人に自己紹介を兼ねたこのページを見ていただき、そして制作のプロセスも含めて発信できればと思い、クラウドファンディングを実施することに決めました。
みなさんからのご支援は、今回の作品の制作費と展示費用として大切に使わせて頂きます。よろしくお願いいたします!
1)
お礼メールプラン
1,000円
お礼メール
2)
作品集 先行お届けプラン
5,000円
・作品集1冊
└ A5サイズ、40ページ前後を想定
・オリジナルピンバッジ1点
└ 個展のテーマがモチーフのピンバッチ
・オリジナルステッカー1点
└ 直径5cmの丸型、屋外用ステッカーを想定
・送料込み
3)
作品集出版記念パーティーご招待プラン 20名限定
10,000円
・作品集1冊
・オリジナルピンバッジ1点
・オリジナルステッカー1点
・作品集出版記念パーティーご招待
└ 日時;2020年1月18日(土)の19:00~21:00を予定
└ 場所;高円寺にあるメキシコ料理店にて
└ お食事代は含まれておりますが、お飲み物をオーダーする場合は別途ご料金が発生致します。
・送料込み
4)
自由に選べる!あなたの為にワンポイントペイント!Tシャツプラン
15,000円
・作品集1冊
・オリジナルピンバッジ1点
・オリジナルステッカー1点
・自由に選べる!ワンポイントペイント入りTシャツ1点
└ ワンポイント(10cm×10cm四方位)ペイント(1枚ずつ手描き)致します
└ ワンポイントを入れる場所は、胸元もしくは背面の首下部分、どちらかお好きな方に
└ ワンポイントの絵柄は、カラー(a)またはモノクロ(b)からお選びいただけます
└ サイズ:男性SML、女性SML
└ Tシャツのお送りは、2020年8月を予定しております
・作品集の巻末にお名前掲載(ペンネーム可)
・送料込み
5)
1枚ずつオリジナルでペイントします!襟つき白シャツプラン 15名限定
25,000円
・作品集1冊
・オリジナルピンバッジ1点
・オリジナルステッカー1点
・1枚ずつペイント!白シャツ1点
└ サイズ:男性SML、女性SML
└ 絵柄は写真のようなデザインを予定しております
└ 色合いは暖色系、寒色系、カラフルミックスからお選びいただけます
└ 白シャツのお送りは、2020年8月を予定しております
・作品集の巻末にお名前掲載(ペンネーム可)
・こちらのコースのリターン送付は、作品集/襟つき白シャツいずれも 2020年8月を予定しております
・送料込み
6)
1枚ずつオリジナルで刺繍します!襟つき白シャツプラン 10名限定
30,000円
・作品集1冊
・オリジナルピンバッジ1点
・オリジナルステッカー1点
・1枚ずつオリジナルで刺繍します!白シャツ1点
└ サイズ:男性SML、女性SML
└ 刺繍のデザインは写真の雰囲気です(色柄は多少異なります)
└ 白シャツのお送りは、2020年8月を予定しております
・作品集の巻末にお名前掲載(ペンネーム可)
・こちらのコースのリターン送付は、作品集/襟つき白シャツいずれも 2020年8月を予定しております
・送料込み
7)
オリジナル染料プリントを施したスカーフプラン
25,000円
・作品集1冊
・オリジナルピンバッジ1点
・オリジナルステッカー1点
・スカーフ 1点
└ 通常は販売していないスカーフとして利用できる大判サイズになります
└ 約108cm×108cm(予定)
└ 天然綿 100%、縫製糸は白色
└ スカーフのお送りは、2020年8月を予定しております
・作品集の巻末にお名前掲載(ペンネーム可)
・送料込み
8)
世界に一点!あなたの顔写真と好きなものとのFUSION(融合)似顔絵プラン 10名限定
42,000円
・作品集1冊
・オリジナルピンバッジ1点
・オリジナルステッカー1点
・世界に一点!あなたの顔写真と好きなものとのFUSION(融合) 似顔絵1点
└ あなたの顔写真と好きなもの(写真があればそちらも合わせて)お送り頂き、それをベースに似顔絵を作成します
└ 20cm×15cmサイズ(予定)のキャンバスにアクリル絵具で描きます
└ お送りは、2020年8月を予定しております
・作品集の巻末にお名前掲載(ペンネーム可)
・送料込み