難民キャンプ内で 支援対象から外れてしまった18歳の少女
ジャニスさんの脳腫瘍手術の費用をサポートしたい!

クラウドファンディング達成後から現状のご報告

*こちらの内容は、3月16日 に支援者の方々にメールでお送りしているものです。

<はじめに>

昨年は、「難⺠キャンプ内で⽀援対象から外れてしまった 18 歳の少⼥ ジャニスさんの脳腫瘍 ⼿術の費⽤をサポートしたい!」へご⽀援・ご協⼒・そしてジャニスさんへの励ましのお⾔葉を頂 き、誠にありがとうございました。また、本プロジェクト達成後以降、皆様に現状をお伝えするこ とができず、誠に申し訳ございませんでした。

クラウドファンディング達成後、ジャニスさんと彼⼥のご家族の⼼情・状況に⼤きな変化があり ました。それに伴いプロジェクトメンバー⼀同、現地スタッフと連携しながら慎重に、彼らの⼈⽣ に⼤きく関わる決断を⾒守ってきました。

ジャニスさんと彼⼥のご家族は、数ヶ⽉悩んだ末に、「現段階では、ヨルダンで脳腫瘍摘出⼿術 を受けない」という決断に⾄りました。その経緯と彼⼥の想い・現状、そして皆様にご協⼒いただ いた⽀援⾦の使い道について、本⽇皆様にお伝えしたいと思います。

 

<これまでの経緯 / 現状の報告>

本プロジェクトを開始する際、「医療費が⾼額、ただちに命の危険性がない、同じ病気の絶対 数が少ない」 などの理由で、⽀援対象の優先順位が下げられてしまう現状下で、ジャニスさんに とってこのプロジェクトが希望の光であり、何とかして⼿術を受けたいという思いがありました。 また、それは、ジャニスさんと同じような境遇の、キャンプ内にいる他の⼈たちにとっての⼤きな 希望の光でもありました。

そして皆様⼀⼈ひとりの想いが⼀つになってクラウドファンディングが達成した際には、ジャニ スさんや、彼⼥のご家族のみならず、難⺠キャンプに関わる他団体、UNHCR(国連難⺠⾼等弁務 官事務所)の現地職員など多くの⽅が、遠く離れた国の⼈たちが彼らのことを応援し⽀えてくれた ことに喜び、⼼から感謝をされていました。もちろん⼿術に対する不安はありましたが、治療が始 められる状況に安堵されていました。

2017 年 3 ⽉ 6 ⽇ 2 しかし、ジャニスさんの⼿術、脳腫瘍摘出⼿術は、100%成功すると保証できるものでもありま せん。万が⼀のことがあれば、彼⼥の命に関わる可能性もあります。彼⼥も彼⼥のご家族も、改 めて「⼿術を受けることができる」という状況に⽴った時、ヨルダンでの⼿術に対する不安が少し ずつ⼤きくなってきました。 それと同時にジャニスさんのご両親は、ジャニスさんをはじめとす る5⼈の娘達の将来を考えた時、⼀刻も早く「難⺠キャンプを出たい」という思いがありました。 難⺠キャンプ内では様々な団体の⽀援により、最低限の⽣活はできるものの、仕事をすることがで きなかったり、⼗分な教育を受けていない⼦どもがいたりと、将来に対する不安が多くあります。

難⺠キャンプを出る⽅法の⼀つに、「第三国定住制度」の利⽤があります。

第三国定住とは、すでに⺟国を逃れて難⺠となっているが、⼀次避難国では保護を受けられない ⼈を他国(第三国)が受け⼊れる制度です。難⺠は、避難先の国から第三国に移動することにより、 保護を受けることができ、⻑期的に定住することが可能になります。 (引⽤:https://www.refugee.or.jp/refugee/rst.shtml Copyright © Japan Association for Refugees)

しかし、この制度は必ずしも難⺠キャンプに住む⼈たち全員が同時に利⽤できるものではありま せん。ある⼀定の条件を満たした⼈から優先的に、別の国に定住する権利を得ることができます。 ゆえに、たとえ今申請をしたとしても、移住することができるのは半年や 1 年、もしくは数年先な のかもしれません。

ジャニスさんのご両親は、難⺠キャンプを管理する UNHCR(国連難⺠⾼等弁務官事務所)か らの勧めもあり、この制度を利⽤してヨーロッパに移住することができれば、家族全員がもっと明 るい未来に向かって⽣きていくことができるのではないかと考え始めました。理由としては、クラ ウドファンディング達成後、ジャニスさんが難病であるため、現在優先リストの上位にジャニスさ ん⼀家があると国連から連絡を受けました。場合によっては、早い段階で優先的にヨーロッパでの 定住権を獲得し、政府の⽀援を受けて⾼い技術を持ったヨーロッパの医療を受けることができるか もしれない現状に彼⼥たちはいます。ジャニスさんと彼⼥のご両親は、早く治療を始めたいと思う ⼀⽅で、ヨルダンでの⼿術に対する⼤きな不安や、ヨルダンで治療を始めてしまった場合、第三国 定住の優先リストから外されてしまい、家族全員で難⺠キャンプを出るという可能性も低くなって しまうのではないかという不安との葛藤が続いていました。

私達は、ジャニスさんに 1 ⽇でも早く治療を受けて、元気に⾃分の夢に向かって歩んで欲しいと いう想いがありました。しかしその⼀⽅で、彼⼥の命に関わる問題であり、ジャニスさん⼀家の⼈ 2017 年 3 ⽉ 6 ⽇ 3 ⽣を⼤きく左右することでもあるため、本⼈とご家族の意思を尊重し、彼⼥達の新しい挑戦を⼼か ら応援したいと考えるに⾄りました。

2016 年 9 ⽉末の時点で、クラウドファンディングが、皆様のご協⼒のおかげで無事達成して以 来、これまで現地と連絡を取りながら、難⺠キャンプという特殊な環境と、今も続く紛争の影響を うけ、現地と慎重に協議を進めてきました。今⽇までご報告が⼤変遅くなってしまったことを、⼼ よりお詫び申し上げます。

 

<今後の対応>

ジャニスさんが⼿術を受けないと決まった今、皆様からご⽀援いただいたお⾦の今後の対応につ きましては、ジャニスさんと同じような境遇にある⼦ども達の現状への関⼼を広げ、⽀援という希 望の光が届く流れを作りたいというプロジェクトの趣旨も考慮し、ファンディングの際にお伝えし ましたとおり、イラク難⺠・シリア難⺠の医療⽀援を⾏っている NPO 法⼈ JIM-NET(http://jim-net.org/ )の協⼒を得て、病気の治療を受けることができないシリア難⺠の⼦ どもの治療費として寄付させて頂きます。

難⺠キャンプ内には、直接戦争が原因でない病気や、医療費が⾼額など様々な理由で治療を受け ることができない⼦ども達が沢⼭います。ガン治療もそのうちの⼀つです。ヨルダンには、国連機 関からのサポートを得られず、⼿術を受けられないシリア難⺠のガン患者への資⾦提供を⾏う、キ ングフセインキャンサーファンデーション(KHCF http://www.khcc.jo/)という基⾦があります。 彼らの想いは、「国際⽀援機関が援助しきれず、また、⾼額な医療費がかかる難病患者への⽀援を ⾏う」というものです。

私達は、現状の⽀援体制に対して新しい流れを作ろうとしている同基⾦の取り組みは、本プロジ ェクトの想いや主旨に合致していると考えております。ゆえに、同基⾦、JIM-NET と連携をとっ て、シリア難⺠の⼩児ガン患者の中で、⾼額な治療費を払えず、治療を断念している⽅に、皆様か らご⽀援いただいた寄付⾦を JIM-NET を通じて提供する決断を致しました。

そして、KHCF、JIM-NET、プロジェクトチームの 3 者で何度も話し合いを⾏い、現地にも JIM-NET のスタッフに⾜を運んで頂き検討した結果、今回はホジキンリンパ腫を患っている 16 歳のシリア難⺠少年 Khaled(ハリッド)君の治療費の⼀部に、皆様からご⽀援いただいた寄付⾦を 2017 年 3 ⽉ 6 ⽇ 4 全額拠出することに致しました。ホジキンリンパ腫は、リンパ系に悪性(がん)細胞が認められ る病気です。(引⽤:⼀般財団法⼈ 国際医 学情報センター https://www.imic.or.jp/library/cancer/037_adult_hodgkin.html)

ハリッド君⼀家は、2013 年に⽗親と⻑男をシリア南⻄部のダルアーに残し、10 ⼈の兄弟達と共 にヨルダン・ ザータリ難⺠キャンプに避難してきました。しかし、ハリッド君が喘息を患ってい たため、1 ヶ⽉で家族は キャンプを出ることになりました。その後ハリッド君は、家計を助ける ためにパン屋さんで働いていましたが、ある⽇同僚に「喉のあたりが腫れている」と指摘されまし た。2015 年 12 ⽉に病院で検査をしたところ、 ホジキンリンパ腫だと診断されました。

 

ハリッド君とJIM-NET スタッフ

【ハリッド君とJIM-NET スタッフ】

キングフセインキャンサーファンデーションの 前にて

【キングフセインキャンサーファンデーションの 前にて】

【ハリット君と幼い兄弟達】

【ハリッド君の住まいは首都アンマンから遠く、一回アンマンンに来るのに30JD かか

るとのこと。JIM-NET がハリッド君を家まで送りました。】

【ハリッド君と幼い兄弟達】

 

ハリッド君は、病気の治療費として国際 NGO から 18,000JD(約 290 万円)の⽀援を受け、8 ヶ⽉間抗癌剤治療を受けていましたが、追加の治療費が払えず治療が⼀旦⽌まっていました。

ハリッド君はホジキンリンパ腫が完治していない中で、学校に通いながら 1 ⽇ 3JD(約 480 円) もらえるスーパーマーケットのアルバイトをしています。以前は、UNHCRから⼀家族⽉額 230JD(約 37,000 円)の⽀援を受けていましたが、昨年の 10 ⽉に⽀援が停⽌してしまったため、⼦ ども達が働いて家計を⽀えています。

ハリッド君はこれまで、ABVD 療法と呼ばれる抗癌剤治療を受けましたが、効果が⾒えず、別 の化学療法で ある R-CHOP 療法を受けましたが、こちらも効果が⾒られませんでした。ホジキ ンリンパ腫と闘うためには、ICE療法と呼ばれる抗癌剤治療と末梢⾎幹細胞移植を受けなければ なりません。

しかし、60,000JD(約 1000 万円)という⾼額な治療費は、到底⼀家が払える⾦額では ないため、ハリッド君の容態は緊急を要しながらも、治療処置ができない状態が続いていました。 2016 年度に国際 NGO から医療⽀援を受けることができず、KHCF が代わって⽀援を⾏ったシ リア難⺠がん患者名簿の⼈数は、92 名にものぼります。そのうちの 90 名の患者が、がんが完治ま たは病状が回復せず亡くなってしまい、治療が完了しています。

プロジェクトチームは当初、皆様からご⽀援いただいた寄付⾦を、JIM-NET を通じて、ヨルダ ン国内の複数のシリア難⺠患者の⽅々への治療費にあてることを検討していました。また、現在 JIM-NET が、イラクで急増している多くのシリア難⺠が抱える深刻な薬・治療物資不⾜問題への 緊急⽀援を⾏なっており、緊急性の⾼さや、多くのシリア難⺠への⼿助けにつながることから、イ ラクで暮らすシリア難⺠の⽅々への寄付も検討していました。

しかし、シリア難⺠がん患者を隔てなく⽀援している KHCF の患者名簿の最後に残ったのが、 ハリッド君ともう 1 ⼈の患者さんでした。現在もう 1 ⼈の患者さんと連絡が取れない状況にある こと、ハリッド君の病状の緊急性がたかいこと、何とかして彼を助けようと KHCF の⽅々が⾼額 な治療費を集めていること、様々な要因を考慮して今回ハリッド君へ⽀援する決断を致しました。

彼の病状は極めて深刻かつ緊急を要しています。ICE療法と末梢⾎幹細胞移植を⾏ったからと いって 100% 完治するという保証はありません。しかし、ハリッド君と彼のご家族は⼀刻も早く 治療再開と末梢⾎幹細胞移植を願っており、KHCF、JIM-NET、プロジェクトチーム⼀同、彼を 全⾯的にサポートしていきたいと考えております。

 急を要する病状のため、皆様からご⽀援いただいた寄付⾦は、治療費 60,000JD(約 1000 万円) の⼀部として、既に JIM-NET を通じて現地に⽀援(送⾦)させて頂き、残りの治療費は現在 KHCF の⽅々が集めてくださっている状況です。仮に、全額集まらない、あるいは、 ハリッドくんの容 態が急変する、という事態になった場合、治療は抗がん剤治療までに留まり、末梢⾎幹細胞移植は 実⾏できません。しかし、皆様から頂いた寄付⾦によって、 援助がとまって以来、ただ病状が悪 化するのを待つのみだったハリッドくんの治療が現在再開され、抗がん剤治療がはじまっています。 移植⼿術に必要な残りの額については、現在 KHCF が 鋭意資⾦集めに⾛って下さっています。治 療の詳細、資⾦集めを担う KHCF の詳細につきましては、別途ファンディングページに掲載いた しますので、ご覧頂ければ幸いです。

 

<最後に>

当初は、ジャニスさんの治療サポートを通じて、同じような境遇にある難⺠の⼦ども達にも⽀援 が届く流れを作ることを⽬的としておりました。

しかし、ジャニスさんが⼿術を受けないとなった今、当初の⽅法とは異なる形でプロジェクトを 進⾏せざるを得なくなり、皆様に多⼤なるご⼼配やご迷惑をおかけしたことを、またご報告が⼤変 遅くなってしまったことを、⼼からお詫び申し上げます。 そして皆様⼀⼈ひとりの想いが、今後のジャニスさんの⼈⽣の励みになったこと、現状の⽀援体 制に対して多くの⽅が「なんとかしなければ」と考え⾏動してくださったという事実を、難⺠キャ ンプに関わる多くの⽅々に伝えることができたことに、⼼から感謝致します。

また、ジャニスさんや彼⼥のご家族、現地の難⺠キャンプに関わる他団体、UNHCR の現地職員 など多くの⽅が、国境を越えたつながりで彼⼥たちを応援し⽀えてくれたことに、⼤変喜び、⼼か ら感謝をしていた事実を改めてお伝え致します。 繰り返しにはなりますが、この問題も数多くある問題の氷⼭の⼀⾓であり、⼀度に全員を救うこ とはできません。そして、今回の決断や⾏動も、ほんの⼩さな⼀歩にすぎません。しかし、ジャニ スさんやハリッド君の治療をサポートすることで、「どんな難しい状況でも、僕らは⾒捨てられて はいないんだ」という希望の光を⼦ども達に伝えることができたこと、世界の多くの⼈に現状を知 ってもらう機会を得られたこと、そして、現状の⽀援体制に対して新しい流れを作る可能性を現地 の関係者含め、少しでも出すことができたことは、このプロジェクトにご協⼒いただいた皆様⼀⼈ ひとりの想いと⾏動があったからこそだと強く感じています。

引き続き、本プロジェクトを通して、遠く離れた⼈たちや出来事を知ってもらうことで、少し でもその背景にある現状や存在などに対して、⾝近に感じていただきたい。そして、私たちは、多 くの⼈たちから“⾃分には関係ない”という意識がなくなり、少しでも相⼿を⼼配したり、気にかけ る気持ちや想いこそが、世界の社会問題や戦争の根本の解決につながると考えています。 ハリッド君の状況に関しましては、JIM-NET, KHCF, 現地スタッフと連携をとりながら、皆様 に随時進捗をお伝えさせていただきます。本プロジェクトに対してご質問やご意⾒等ございました ら、お気軽にプロジェクトチームにお問い合わせください。

皆様のご理解とご協⼒に、⼼より感謝致します。

今後とも何卒よろしくお願い致します。

プロジェクトチーム⼀同 

 

*リターンに関して*

皆様にリターンを GREEN FUNDING のアカウントメールにて添付、⼜は御郵送いたしておりま す。もし、お⼿元に届いていない⽅がいらっしゃいましたら、お⼿数おかけいたしますが、プロジ ェクトチームにお問い合わせください。

サポートプラン C をご選択された皆様:イベント中⽌に伴い、「⽇本での開催するイベントへの 優先参加チケット」の代⽤としてシリアのお茶をご郵送致します。また、住所の記載がされていな い⽅が数名いらっしゃいます。恐れ⼊りますが、差し⽀えな ければメッセージにてご住所の詳細 をお送りください。

 

2017/06/05 18:41