屋久島の地に、次世代に残す“物語”を
私は、「屋久島シドッティ記念館設立実行委員会」の委員長であり、『密行 最後の伴天連シドッティ』の著者でもある作家の古居智子です。30年前に屋久島に移住し、まったくの偶然ですが、シドッティ上陸地の恋泊に住んでいます。
△増補版『密行 最後の伴天連シドッティ』
今から315年前の1708年10月11日、大きな異国船が屋久島沖に姿を現しました。乗っていたのはサムライ姿に変装したイタリア人で、名前をヨハン・バッティスタ・シドッティといいました。
新井白石の『西洋紀聞』にも記されたこの屋久島シドッティ上陸は、まぎれもない歴史の一幕であり、未来へと語り継がれるべき“物語”であると考えています。
△新井白石『西洋紀聞』(明治15年刊初版本)
ローマを出てから5年目にして、はるばる大海を越えてやってきたシドッティは、カトリックの司祭であり、当時のヨーロッパ最高水準の学問を身につけた知識人でした。
江戸の将軍に会い、キリスト教の布教を許可してもらうことが上陸の目的でしたが、同時に鎖国のベールに包まれたミステリアスな国ニッポンに対する強い好奇心をその胸に抱いていました。
マニラ港を出帆してから50日目にたどりついたのが屋久島の南岸でした。その時のサンタ・トリニダード号の船長が記した『航海日誌』が今も残っています。
△シドッテイを乗せた船の船長の航海日誌 バチカン図書館蔵(天理大学図書館複写提供)
この歴史の始まりは屋久島南岸の松林のなかで、上陸したシドッティに遭遇した村人が、一杯の水を差し出し、自宅に招いたことがきっかけでした。
いつものように海岸に薪用の木を伐りにきた恋泊村の藤兵衞は、言葉も通じなく、素性もわからない異様なサムライ姿の異国人の姿に驚愕しながらも、ためらうことなく迎え入れ、食べ物と寝る場所を与えました。お礼に差し出された金貨には手も触れませんでした。
△シドッティと藤兵衞の出会いのシーンを描いた想像画(カトリック屋久島教会蔵)
やがて、江戸に連行されたシドッティは、将軍の側近で学者でもあった新井白石の尋問を受けました。異国人の知識の深さと謙虚な人柄に大きな感銘を受けた新井白石は『西洋紀聞』を著し、シドッティの名を歴史に残しました。
周りの人を惹きつけてやまないシドッティの果敢な行動力と穏やかな人柄、そして人間が普遍的にもっている受容の心がそこにありました。
シドッティが新井白石を通して伝えた“西洋”は、鎖国の中で眠っていた日本人の世界認識と視野を一気に押し広げ、その後の科学技術の発展を促すきっかけとなりました。日本の歴史に大きな影響を与え、現代の技術立国日本の基礎を築いたと言っても過言ではありません。
△シドッティ教会記念アーチ
△近隣の公園から望む風景
切支丹屋敷に幽閉されたシドッティは身の回りの世話をしていた長助、はるの老夫婦に宣教し、国是に反した咎で地下牢に幽閉され、47歳の生涯を閉じます。
1714年、屋久島に上陸してから6年後のことでした。
そして、2014年、没後ちょうど300年の夏。
シドッティと老夫婦の3体の遺骨が切支丹屋敷跡で偶然に発見され、世界を驚かすニュースとなりました。
△遺骨を元に作成された復顔(国立科学博物館蔵)
3世紀の時を経て姿を現したシドッテイは、現代の私たちにどんなメッセージを伝えようとしているのでしょうか。
周りの友人たちと話す中で、いつしか「屋久島シドッテイ記念館」の話が生まれ、育ち、芽吹きはじめ、昨年5月にNPO法人やくしま未来工房を設立して本格的な活動を開始しました。
講演会、交流会、展示会などのイベントの開催、チラシや冊子の配布などとともに活動内容を随時、ホームページで発信し、「屋久島シドッティ記念館」設立のための基金を集めています。
△講演会
△シドッティが伝えたレガシー展
さて、屋久島の「シドッティ記念教会」敷地内の屋久島シドッティ記念館建設予定地には、約400坪の平坦な土地が広がっています。
そこからは美しい緑の山並みが望め、また視線を転じると蒼い海が急峻な崖にぶつかり白波をあげる様子も眺められ、遠くにシドッティが上陸した入江が見えます。
晩秋には、周囲はヒマワリやコスモスの花で色とりどりに染まります。
△シドッティ記念館建設予定地敷地からの展望
この素敵な場所に、シドッティの足跡を遺すとともに315年前の異国人と村人との触れ合いを再現し、多様な人が垣根なくつながり、互いに交流する場所に育てたいと思います。
ひとつひとつ石を積み上げていくように、賛同してくださる方々と一緒に夢の実現に向けて歩み出せたらと思います。
△シドッティが上陸した海岸線
屋久島の新しい魅力の発信基地として、地域コミュニティの発展を支える場所として、困難な時代に突入した“今”だからこそ、世代を超えて歴史と自然と人をつなぐ意味あるプロジェクトであると考えます。
世界自然遺産登録地である屋久島は、たぐい稀な自然に目を奪われがちですが、村人の静かな暮らしとともに驚くような劇的な事件もそこにありました。私たちはこの見落とされてきた歴史の一幕を次の世代へ語り継いでいきたいと思います。
素晴らしい自然は、そこに“人”の存在が見えるからこそ、多くの人の心を動かすことができるのだと思います。いま大切にしたいのは、人と人とのつながりではないでしょうか。
315年前にシドッティを突き動かした情熱とその壮大な航海の道、そして屋久島の村人や新井白石との交わりを考えることで、自分だけでは見つけることができなかった何かが見えてくるような気がしています。
そんな体験ができる場所を一緒につくり、ともに答えを見つける旅にでませんか?
エコロジカルな温かみのある素材(屋久島の木と石、土、漆喰など)を主軸とした約150㎡の木造建築です。
建物内も家具、キャビネット類も木の素材感を生かし、太陽光電池によるオール電化を実現し、環境にも優しい仕様に致します。
そのほか、記念館の細部概要は下記のとおりです。
1.エントランス・ホール
長い石の床のスペースは十分に広く、ツアーグループや各種交流イベント、講演レクチャー、特別展など多目的に活用できる。内部には可動式のミュージアム・カウンターを設置して、シドッティ関連のグッズやエコロジカルな屋久島特産品を販売します。
ホールはそのまま右側のカフェスペースにオープンにつながり、ユニバーサルデザインのトイレも目につきやすい位置に配置する予定です。
2.カフェ・スペース
併設カフェは、ローカルな素材を使ったイタリアンとジャパニーズのフードとドリンクを提供する予定です。
窓に面したカウンター席からは、季節ごとに色合いを変える田園風景と、その向こうに屋久島南部の美しい山々のパノラマが一望できます。
あわせて、関連資料などを閲覧できるライブラリーを兼ねた読書コーナーも設け、ゆったりとしたくつろぎの時間も楽しんで頂けます。
3.ギャラリー・スペース
展示室内の大きな壁には、写真やイラスト、動画などを使ったパネル展示や映像展示を通してシドッテイ神父の生涯と歴史的背景を表現致します。
また、美術工芸品や歴史資料なども展示するとともに、天井近くの窓からは変化に富んだ間接的な自然光が降り注ぐ仕様になっています。
4.上陸地展望エリア
敷地の西側の一画からシドッティ上陸地に続く海岸を望めます。
【お気軽応援コース/3,000円】
シドッティが上陸時に持っていたマリア像(国立博物館蔵)を印刷したポストカード1枚
【招待券応援コース1/5,000円】
「屋久島シドッティ記念館」入場ご招待券(ドリンク1杯付き)1枚
【切手シート応援コース/10,000円】
シドッティが上陸時に持っていたマリア像(国立博物館蔵)で作った切手シート 1シート
【招待券応援コース2/10,000円】
「屋久島シドッティ記念館」入場ご招待券(ドリンク1杯付き)2枚
【屋久島の米応援コース/30,000円】
無農薬屋久島米「藤兵衞」 (圧縮袋・乾燥剤入り) 300g
【招待券応援コース4/30,000円】
「屋久島シドッティ記念館」入場ご招待券(ドリンク1杯付き)4枚
【トートバッグ応援コース/50,000円】
「屋久島シドッティ記念館」ロゴ入りオリジナルトートバッグ 1つ
【切手と招待券応援コース/10,000円】
切手シートと「屋久島シドッティ記念館」入場ご招待券(ドリンク1杯付き)2枚
【密行応援コース】
書籍「密行 最後の伴天連シドッティ」<増補版>(古居智子著・敬文舎刊 単行本327P)1冊
【屋久島の米と招待券応援コース】
無農薬屋久島米「藤兵衞」 (圧縮袋・乾燥剤入り) 300gと入場ご招待券 2枚
【生涯応援コース】
「屋久島シドッティ記念館」生涯ご招待 屋久杉手形(木箱入り)1枚
【シドッティ上陸記念祭特別ご招待コース】
2023年11月23日開催の「シドッティ神父屋久島上陸記念祭」にペアでご招待 屋久島宿泊2泊(2食付き)+レンタカー2日分