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写真家・若木信吾
15年間撮り続けた幼なじみ
「英ちゃん 弘ちゃん」写真集制作

55年!

皆さんこんばんは、若木です。

先日ご紹介させていただいたニコラス・ニクソンの写真集に続き、

今回はリー・フリードランダーの写真集をご紹介させていただきます。

http://artgallery.yale.edu/publication/family-pict...

僕が最も尊敬する現存する写真家のひとりです。様々な形でセルフポートレートを撮った作品集でデビューしたフリードランダーですが、実は家族とのセルフファミリーポートレートも撮っていた! 2004年に「FAMILY」というタイトルの写真集がfraenkel galleryというサンフランシスコのギャラリーから出版されていますが、今年の3月頃にYale University Pressから「Family in the Picture1958-2013」という写真集が出版されました。ニコラス・ニクソンの40年もすごいですが、こちらはなんと55年! 彼の家族アルバムのような写真集です。「彼が撮れば家族アルバムも素晴らしいアート作品になる」という紹介文にもありますが、自分の家族や友人に見せる家族アルバムが全く知らない人にも見てもらえるものになるには何が必要なんでしょうか? ページをめくるごとに時が流れていくのがはっきりとわかり、個人が成長したり、老いていくさまが見える。長い年月の間には亡くなってしまう人もいる。それでも世の中は動き続けている。まさに人生とは一方向の時間にしか進んでいかないものだとあらためて感じてしまいます。写真は個人の歴史を物語るのにとても向いているメディアだと思います。シャッターを押すだけという記録方法の簡易さ、長い年月に耐えうる管理のし易さ、自分の記憶以外のものもちゃんと写しとってくれる客観性。この写真を撮り始めたときに彼がどこまで考えていたかはわかりませんが、まだ今でも撮り続けているであろう、家族をちゃんと見続けているであろうと思うと胸が熱くなります。「積み重ねると見えてくるもの」のよさもありますが、また一方で、写真家が「見る、撮る」という行為には「考え」とか「意味」を超えた何かがあると感じます。とても好きな一冊です。

2014/11/27 22:56