▲前橋めぶくフェス立ち上げの初期メンバー
2016年、前橋市は前橋ビジョン「めぶく。」を発表し、これまでにない新たなまちづくりへの挑戦を始めました。
こうした市の動きに対し、それまで「前橋まちなか文化祭(アーツ前橋周年祭)」と「前橋45Days」という別のイベントの実行委員をしていた奥田と橋本が合流し、新たに「前橋めぶくフェス」というイベントを作りました。
めぶくフェスとは「芽吹きの祭典」をコンセプトに、前橋の大地に生まれる新しい「芽」をクローズアップし、フード・クラフト・アート各部門の魅力的な参加者を紹介するお祭りです。
前橋にはそれまでもフードやクラフト、アートのお祭りがたくさんありました。
しかしそれらはそれぞれ単独で開催されていて、まちそれぞれの魅力を断片的にしか伝えることができていないという課題がありました。
そのため、めぶくフェスではそれまで独立していたフード・クラフト・アートをつなぎ合わせ、前橋のまだ知られていない「芽」を応援するためのプラットフォームとなることを目指して、2017年から2019年にかけて春秋年2回のイベントを行ってきました。
下の写真は、フード・クラフト・アートが融合し大勢の人でにぎわったこれまでのめぶくフェスの様子です。
2017年から2019年まで、さまざまな試行錯誤(と困難さ)を伴いながらもイベントは次第に定着し、土台はできつつありました。
しかしそんな手ごたえを感じていた矢先、世界を変えるある出来事が起こりました。
2020年からの新型コロナウイルス感染症による世界的パンデミックです。
密になってはいけない、人と集まってはいけないという、これまで私たちが経験したことのない状況の中で、イベントというかたちで、私たちはこのまちに対して一体何ができるのか、改めて足元を見つめ、何度も何度もオンラインで話し合ってきました。
それが、チーム「めぶっく」が発足したきっかけです。
前橋の芽吹きの祭典として誕生しためぶくフェスですが、コロナ禍の数年間は、次の世代の若者たちに私たちが何を大切にめぶくフェスを行ってきたのかなどの想いを継承することの難しさと直面しました。
それと同時に、めぶくフェスが大切にしてきた価値観「人と対面で会う」「作り手の想いに直接触れる」「他者との創造的なコラボレーション」の尊さを改めて実感することもできました。
コロナ禍も次第に落ち着き、私たち実行委員会はめぶくフェスの再スタートするにあたり、以前のような盛大なイベントを開催するのではなく、この出来事を文化として継承できるよう文章化する方法を選びました。
この本は単なる出来事のアーカイブ資料ではありません。
前橋の芽吹きを応援しお祝いをしようとする、「めぶく。」ビジョンを胸に抱くすべての前橋市民のバイブルとして読み継がれていってほしいと願っています。
そして前橋の地で生まれためぶくフェスは、利他的でやさしい世界の実現を目指し活動を続けていきます。
2016年の前橋ビジョン「めぶく。」の発表以降、前橋というまちは大きく成長してきました。
全国的に有名なシャッター街であった商店街にも、前橋ビジョン「めぶく。」発表以降には新たなお店が次々と生まれ、今では行列のできるお店もできています。
世界的な評価を受けるホテルやカフェが作られ、馬場川通りの景観も見違えるほどの変化を遂げました。
このように、少しずつではありますが、確実に新たな芽が生まれてきつつありました。
しかし、2020年からのコロナ禍はこのまちの変化に大きな影響を与えました。
緊急事態宣言下において人々の外出さえままならず、特に大学生を中心とする若者たちがそれまでのように自由にまちに関わることのできない数年間は、若者たちの間にも”このまちに関わってきた世代”と”まちに関わったことがない世代”という世代的分断をもたらしました。。
このままでは、せっかくそれまで丁寧につなげてきた新たなまちづくりの歩みが止まってしまう。
若者たちがまちに関わる機会が失われてしまう。
そうした大きな危機感を抱いた私たちはこのまちの変化を知らない次世代の若者たちに向けて、1冊の本を作ることを思いつきました。
すると、本の作成のために、これまでの仲間たちに加えて新たな若者たちも加わってくれました。
▲まちの「今」を伝える視点を検討する「めぶっく」の編集会議
チームは現在、「めぶっく」の鋭意編集中です。
「めぶっく」のサイズは縦200mm×横120mm、総ページ数は160ページを予定しています。
内容は、「めぶく。」ビジョン後の前橋のまちづくりの歩みを年表で振り返るほか、
奥田と橋本による対談、めぶくフェスの歩み、まちなかにある店舗のインタビュー、グラビア写真などを通して前橋の「今」を見つめます。
今回は「第1号」として、今後もブックフェスの開催を節目に内容をアップデートして発行できたらと思っています。
▲「めぶっく」では前橋の〝現在地〟について奥田(右)と橋本による対談も盛り込む予定です
「めぶっく」プロジェクトが今回クラウドファンディングを利用する目的━。
それは、印刷費用など本の制作代に充てさせていただくことはもちろん、私たちの活動をより多くの人たちに知っていただき、このプロジェクトを応援してくれる新たな仲間たちに出会うためでもあります。
前橋というまちは今、東京ともニューヨークとも違う、世界でも他にはない魅力を持つまちへと生まれ変わりつつあります。
つまり、このまちは「前橋らしさ」を獲得しようとしています。
今回の「めぶっく」プロジェクトが実現することによって、本というかたちでこのまちの動きや魅力を知り、このまちを応援してくれる人々が増えていってほしいと願っています。
また「本をつくる」「本づくりを応援する」という行為を通じて、市民の芽吹きを知り、共有し、語らい、応援し合うといった「芽吹きの祭典」の本質をみなさんの心に届けたいと考えています。
そうした人たちの中でも特に、このまちの次を作っていく若者たちにこそ、この本が届いてほしいと考えています。
「めぶっく」を読んだ若い芽たちが、どんどん芽吹き、そうした芽吹きをみんなで応援していけるまちにしていきましょう!