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【不完全燃焼の連載『祈りのかたち』を書籍化】視覚障がい者にも読める本「LOW VISION BOOK」を広めたい

仏像に逢いに行きたくなる本

 『祈りのかたち』、文章のまとめをお手伝いした立木寛子です。

 群馬県の文化財を紹介した書物はたくさんあることと思います。著者は仏像などの研究者や教育関係者、歴史家、旅行作家の方等々、それぞれの切り口で紹介されていると思います。そんなお仲間に『祈りのかたち』も入りましたが、三輪さんの切り口は、「彫刻家目線で見た群馬の文化財」。新しいアプローチです。

 現代美術の舞台で活躍する三輪さんは、同時に仏師の顔も持っています。詳しくは本クラウドファンディングHPにてご確認いただければと思いますが、子供のころから仏像が好きで、作品を作るようになってからは、超絶技法の集大成と言える鎌倉時代の仏像を追い求めてきたそうです。ですから、見方が細やか。模刻などを通して得た確かな技術があればこその、形を見抜く力。良質なものを嗅ぎ分ける嗅覚には驚くばかりです。

 本文に登場する「宮田不動尊像(渋川市赤城町)」は、三輪さんの東京芸大時代の恩師にして、日本を代表する仏像修理の巨匠との不思議な縁についても触れています。まさに、三輪さんでなければ語れない貴重な物語となっています。

 さらに、三輪ワールドは続きます。なかなか文化財として取り上げるのは難しいと思われる「養蚕の神様」を堂々と取り上げています。養蚕王国ともいわれた、かつての群馬県の養蚕農家の思いや日本の近代化を支えた蚕糸業を次の時代につなげたいという熱い思いが伝わる項となりました。

 現存する文化財を、いく世代にもわたり残し続けることの重要性を説いてきた三輪さんは、高崎市のシンボル「白衣大観音」にもその美を見つけ、丁寧に解説しました。白衣大観音を建立した高崎市の実業家、井上保三郎氏、観音様の原型を作った鋳金工芸家の森村酉三、原型を巨像に作り上げた造形・人形作家の黒川明玉等、大観音設立に携わった人々の思いや様子など、緻密な取材で複合的に紹介。面白い読み物となりました。高崎市在住の方はもちろん、広く読んでいただきたい項です。

 今回、お手伝いをさせていただいた結果、私に何が起こったかー。テレビ等で見かける日本美術の番組、特に仏像を取り上げたものを見た時、そこで専門家が話していることが実によくわかるようになったのです。勉強してしまった、という感じです。

 本文をまとめ終わったときは、真っ先にこう思いました。
 『祈りのかたち』に登場するすべての仏様に、今すぐに会いに行きたーい。

2021/09/21 12:08