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元浅草の老舗メーカーの技術と意地の結晶を見てもらいたい。
かつてない輝きの革財布『BUFFING』限定仕様

フリーライター納富さんのBUFFING体験記

こんにちは。TSUKURITTE LABの中村です。

BUFFINGのワークショップに参加いただいたフリーライター納富さんから、体験記が届きました。納富さんはAll Aboutや日経トレンディネットでこだわりのグッズに関する連載を持つなど、革小物やガジェット系にとても詳しい方です。

そんな納富さんにユーザー代表としてBUFFINGのワークショップに参加してもらいました。BUFFINGを実際に磨いてみる雰囲気が少しでも伝わればと思います。

 


バフィングワークショップ体験記

文/納富廉邦

 バフィングは、4層に塗られた革を磨いて、下の色を出してこそ、その味わいが楽しめるように作られています。ですから、研磨剤を使って革の表面を磨いていくのですが、そんなことが素人にできるものなのでしょうか。カッコ良く磨ければ良いのですが、何だか出来る気がしない不器用な私です。

 それで、クリエイターの皆さんに混ざって、単なる文章書きである納富も、バフィングのワークショップに参加してきました。磨くだけなら納富にも出来るのでは?とか思うのです。

 まずは、山藤さんによる革の磨き方講座から。といっても、山藤さんは簡単そうにやっていて、しかも、クリーム状の研磨材を塗って布で擦っていると、それだけでいい感じの色が出てくるのですから、習う何もなくて、しかし、やってみると思ったようには良い感じになりません。それはクリエイターの皆さんも同じようで、最初は、とにかく、何枚も革を使って、練習したり、どう磨くとどうなるかを実験してみたり、紙で作った型は使えるのか、マスキングテープを使うとどういう感じになるのか、といったことを、とにかく繰り返し磨いては実験していきます。

 

 ガイド納富は、とりあえず、真直ぐなラインはどう磨くと出来るのかとか、どのくらい磨いたら、どういう色になるのか、革の表面の色を変えると言うのは、実際どんな魅力があるのか、といった部分を考えながら革を磨いていました。そこで得られたのは、

・段差なしで、模様や枠線などが表面に表れているのは面白い
・ムラがあった方が長く使った感じが出る
・磨き過ぎは厳禁。ハッキリ色を出そうとしない方が良さそう。
・型を使う場合は歯ブラシが必須
・とにかく、丁寧に作業することが大事

といったことでした。まとめれば、磨き過ぎず、丁寧に、という感じで、それさえ守れば、それなりに面白いものになりそうな手応えを感じることが出来ました。何といっても、磨いているだけで色が変わっていくのが楽しいのです。

 実は、この練習を終えた段階で、ワークショップは終了予定時間まで1時間を切っていたのですが、クリエイターの皆さんは、そのクリエイター魂に火が点いたようで、時間を気にせずに本番作業に入ります。納富も、とりあえず素人にも出来そうなアイディアを思いついたので、ワインレッド系の革を頂いて、本番作業に入りました。面白くなってきたところだし、やめられる訳はないのです。

 

 納富が考えたのは、とりあえず、使い込んだ風にすること。そのために、経年変化した財布などにありがちの、革が曲がっている部分を磨いていきます。自然に変化したように見せるのが大変でしたが、途中で、単に急いで磨いていたんだなあと気が付き、それからは、ゆっくりと、磨き過ぎないように、あと、磨く方向を考えながら作業していくと、なかなか良い感じになってきました。

 

 クリエイターさんたちの作業を見ると、本当に丁寧で、しかも、どの層の色を出すかも考えて磨かれていて、その根気こそが重要なんだなと思いつつ、どうにか出来る範囲で考える納富でした。特にマスキングテープを付けての作業は、真直ぐな線を作りたいのに、なかなか上手く行かず、つい力んでしまうなど、クリエイターさん達のような細かい工夫は何もしていないのに、勝手に苦戦していました。

 といっても、四辺の端を磨いて、片面にマスキングテープで窓を作るだけに単純なデザインなので、あっという間に出来上がります。一度失敗して磨き過ぎて白い部分を出してしまったので、もう一度やり直させていただいて、それでも1時間程度で出来上がってしまいました。ただ、それでも急ぎ過ぎでしたね。もう少し、ゆっくりと、丁寧に作業できれば、もっと見映えのするものになったと思うのですが、それでも出来上がったのは、程よくヴィンテージ感があって、本人的には満足できるというか、作った財布を持ち歩きたいなと思えるものになりました。

 

こちらを職人さんに縫製してもらって財布になります。

 

 クリエイターさん方の作品を見ると、それぞれがきちんと模様になっていて、それが凄いと思いました。革の経年変化を再現するということばかり考えていた納富には、きちんと模様を描くという考え方がなかったのです。しかし、このように、模様が描かれているのに、どこにも凹凸が見られず、革そのものが透き通って模様になったように見えるのは、このバフィング用の革ならでは。磨くと、下の金や銀によって上の層を光が通り抜けているように見えて透明感が増すという仕掛けと模様の組み合わせは、ちょっと漆絵を思わせます。

 

 

 結論として、やり過ぎず、ムラが出る程度に磨きを抑えながら丁寧に作業すれば、素人でもそれなりのムードのある革に仕上げることができると思いました。元々の色合いが透明感があって深いので、多少の失敗は味になるのも、この革の良いところですね。型染めなどの経験があれば、歯ブラシで磨くようにすれば、柄を付ける事も可能でしょう。あまりクッキリと色が出るようにと思うと失敗しやすいので、少しづつ、様子を見ながら磨くのがコツです。染料の層は薄いので、少し磨くだけでも充分変化を感じられるのです。あ、明るいところで作業すると楽ですよ、と、ちょっと作業場の暗さと老眼に悩まされた納富としては、言っておきたいと思ったのでした。

 

 

2016/03/31 18:00