Gris「NOOKBAG(ヌークバッグ)」のデザインにご協力いただいている黒川さんは、繊細な観察力と高い美意識をあわせ持つデザイナーです。実はメインビジュアル画像ほか、今回のクラウドファンディングのシーン撮影画像のモデルとしてもご協力いただいています。

現在は、子育てに特化したペアレンツブランドにも関わりながら、日常の中で使われるものに、機能性と美しさの両立をもたらすデザインに取り組まれています。

子育てをより楽しく快適にするアイテムを手がけています。 実際のペアレンツにヒアリングをして洗い出した「『子育てシーンのお困りごと』に対して商品を通じて解決できることはないか?」という視点で機能を考え、そこからデザインを設計しています。
実際の親御さまへのヒアリングから「育児シーンにおけるリアルなお困りごと」を抽出。 それを解決するための機能を定義し、そこから形を導き出すプロセスを大切にしています。 機能美が心地よく日常に馴染む、そんなデザインのあり方を目指しています。
私自身、娘と2匹の犬と暮らす中で、ドッグアイテムに対してある種の「もどかしさ」を抱いてきました。特に中型・大型犬向けは、デザインを優先すれば機能が損なわれ、機能を求めれば無骨になりがちです。その両立は、一飼い主としての長年の願いでもありました。 そんな折、Grisの村上社長と出会い、対話を重ねる中でデザインのご依頼をいただきました。

面白そうだし、取り組んでみたいと強く思いました。 私も犬と暮らすユーザーとして、先ほども述べた様に世の中のドッグアイテムに『もどかしさ』を抱えていたからです。Grisのミニマルで研ぎ澄まされた世界観と、一切の妥協がない機能美は、まさに自分が求めていたものでした。

お散歩バッグは「人が持つもの」ですが、その背景には常に「犬」の存在があります。そのため、双方が心地よく、互いのストレスを解消できる距離感を探ることに、このプロダクト独自の面白さと難しさを感じました。 課題だったのは、散歩に必要な多機能を詰め込みながらも、洗練されたスマートな外観を維持することです。ここで活きたのが、私が長年取り組んできた育児用品のデザイン視点でした。煩雑になりがちな「育児」の機能設計を「愛犬との暮らし」にスライドさせ、Grisの美学と掛け合わせる。そのプロセスを経て、愛犬家としての理想を形にできたと自負しています。

最も重視したのは、ユーザー自身も気づいていない「潜在的なお困りごと」の掘り起こしです。 多くの場合、ユーザーは現状の不便さを「仕方のないこと」として受け入れてしまい、課題として認識していません。 しかし、商品開発においてはこの無意識のストレスこそが、解決すべき核となります。 ヒアリングを通じて、当たり前の中に隠れた違和感を丁寧に洗い出し、それをプロダクトの機能へと昇華させるプロセスを第一に考えました。

私にとって制約とは、解決すべき優先事項であり、デザインを形作るための確かな指針です。 提示された要件を単なる制限としてではなく、いかに機能を損なわず「美しく昇華させるか」というプロセスに、デザイナーとしてワクワクしました。 厳しい制約の中でこそ、無駄が削ぎ落とした真の機能美が生まれる。その挑戦を楽しみながら、Grisらしい洗練された表現へと落とし込んでいきました。


各パーツに求めた役割を最適化するため、あえて対照的な性質を持つ2種類の素材を選定しました。柔らかさと撓みが欲しい箇所には「柔らかくしなやかな素材」を、バッグの骨格となる部分には「ハリがあり自立する素材」を採用しています。 単に見た目が良いものを選ぶのではなく、それぞれの部位が担う機能を最大限に引き出すための選択です。この性質の異なる素材をシームレスに融合させることで、高い実用性と洗練された佇まいの両立を図りました。

Grisの持つミニマルで洗練された佇まいを最大限に活かすため、ロゴの表現にはこだわりました。 意識したのは、「主張しすぎないこと」と「確かな存在感」の両立です。素材に溶け込むようなエンボス(型押し)加工を採用することで、一見控えめでありながら、光の陰影によってブランドの顔として品格高く浮かび上がる。 そんな、控えめな主張の中に宿る上質さを表現しました。

「ミニマルで上品な佇まい」、そしてそれを裏付ける「確かな機能美」です。 単にシンプルなだけでなく、日常の動作を美しく見せるための必然性が宿っていること。そのバランスを追求することが、デザインにおいて最も重要だと感じました。

後編は、【11. 届けたい体験】【12. 良いプロダクトデザインとは】【13. チームでの開発プロセス】など、いよいよGris「NOOKBAG(ヌークバッグ)」誕生の核心に迫ります。
活動報告【デザイナーインタビュー後編】を楽しみにお待ちください。
株式会社シンワ