市井にいきるトランスジェンダーと、となり合わせるわたしたちのための物語--トランスジェンダー漫画家「とらんす少女ちゃん」初短篇作品集 『となりのとらんす少女ちゃん』(仮)

応援コメント全文公開:高井ゆと里さん

しばらく間が空いてしまいました。
開始からまもなく3週間をむかえようとする現在、支援者数合計は180名、支援金総額もまもなく110万円に届こうとしております。

裏側では、実際に本を置いてもらうための販路開拓や広報/PRをしつつ、実際のプロダクションを進めてもいます。
ホットな話題としては、ISBNコード(国際図書コード)を取得することができました!
いよいよ出版にむけた準備が整ってきており、背筋が伸びます。

昨日投稿する予定でした応援コメントですが、諸般の事情で土曜日となる本日になってしまいました。申し訳ありません。
本日ご紹介するのは、哲学者で「トランスジェンダー問題」(ショーン・フェイ・著/明石書店)の翻訳者としても知られる高井ゆと里さんのコメントです。

短いながらも、作品の本質を衝く鋭い文章です。
ぜひ、いまいちど作品とともにご覧ください。
 



どうして、その性別を生きなければならないのだろう。どうして、周りの人たちはそれができるのだろう。どうして、自分にはそれができないのだろう。

できるはずだ、できるはずだと言い聞かせたその先で、やっぱり自分にはできなかったという諦めがおとずれる。なりたい自分になるためではない。自分が「できない」側の人間であることへの失望。「できる」人間への羨望。
名前を捨て、生活を捨て、過去を捨てて現在を生き延びようとするトランスジェンダーの足元には、しばしばそうした灰色の感情がただよっている。

この作品には、その色がある。虹色に光ることもなく、ピンクとブルーに別れることもない、トランスの生を一度は満たす灰色の感情がただよっている。
あなたの生には価値がある。誰かが今日も、その一言を待っているのだろう。
 


 



高井ゆと里
哲学者。関係する書籍に「トランスジェンダー問題」(翻訳/ショーン・フェイ著/明石書店)、「トランスジェンダー入門」(周司あきらとの共著/集英社新書)、「トランスジェンダーと性別変更〜これまでとこれから〜」(編著/岩波書店)、「トランスジェンダーQ&A〜素朴な疑問が浮かんだら〜」(周司あきらとの共著/青弓社)など。

 

2024/10/12 07:08