市井にいきるトランスジェンダーと、となり合わせるわたしたちのための物語--トランスジェンダー漫画家「とらんす少女ちゃん」初短篇作品集 『となりのとらんす少女ちゃん』(仮)

応援コメント全文公開:三木那由他さん

皆さま、こんばんは。
昨日報告しました通り、支援金総額が100万円を突破しました。
また現在のご支援者総数は165人となっております。
いっそう気を引き締めて「真の目標達成」に向かっていきたいと考えています。引き続き、よろしくお願いいたします。

応援コメント全文公開、二人目は三木那由他さんです。
ご自身もトランスジェンダー当事者であり、ことばやコミュニケーションに関わる研究を続けてこられた三木さんは、どんなふうにとらんす少女ちゃんの作品を読まれたでしょうか。
 



トランスジェンダーの物語は多くありません。そしてそのわずかな数の物語の大半は、わかりやすく楽しめるのを目指したものになっています。

でもその「わかりやすさ」のために、トランスジェンダーである個々人の生き方、心持ち、感情、性格の複雑さは削ぎ落とされてしまいがちです。とらんす少女ちゃんの描く物語には、そうした複雑さがあります。わかりやすくなく、画一的でない、生きた人間としてのトランスジェンダーがいます。

トランスジェンダーの読者は、そこに自分自身の内側にある複雑さのリアルな反映を見出したり、既存の物語ではなかなか出会えない自分とまるで違う日常を生きるトランスジェンダーを発見したりすることでしょう。それ以外の読者にとっても、「わかりやすい物語」の先にある、現実のトランスジェンダーのリアリティに触れる、新鮮な経験となるでしょう。

そうした物語は本当に大切で、だから私はこの本が出版され、読まれてほしいと切に願っています。
 



三木那由他
哲学者。代表する著作に「話し手の意味の心理性と公共性 ― コミュニケーションの哲学へ ―」(勁草書房)、「言葉の展望台」(講談社)、「会話を哲学する ― コミュニケーションとマニピュレーション ―」(光文社新書)、「言葉の風景、哲学のレンズ」(講談社)など。
 

2024/10/04 21:14