2024年、新しい年の幕開けです。
お祝いのご挨拶から始めたいところですが、能登半島での地震・津波、羽田空港での接触事故と大惨事が続きました。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、また被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げます。
昨年末よりスタートした本プロジェクト「あと、何日。」のご支援誠にありがとうございます。商品の発送は2月になってしまいますが、「あと、何日。」の意識を通して、2024年が皆様にとって例年以上にメリハリのある濃密な時間になることを願っております。
今回は前回に引き続き、【「あと、何日。」のアイデアが生まれるまで】の第三弾を配信させていただきます。
〜コンセプトと必然性の一致!〜
過去2回の活動報告を通して「あと、何日。」のアイデアの原点と、なぜ一週間という単位に至ったのかをご紹介させていただきました。今回は、そこからの具体的な意匠デザインの過程をご紹介いたします。
今回の時計において意匠上で最も大事にしていた思想は必然性。
何かの属性に分類されたり、特定の好みに偏ったりする要素は最小に、機能とコンセプトに忠実に、7日間の週時計として未来の定番になるようなものにしたいということを意識していました。
その思想から、7日間で一周するということが決まった時点で正七角形というかたちは最初の検証形状でした。当初は外形と7日間という数字の一致によるミニマムな形状検証という位置付けでした。
しかし、実際に形にしてみて、ふと、正七角形は自立時に必ず上が凸になることに気がつきました。奇数の正多角形の法則として、もちろん当たり前といえば当たり前なのですが、正三角形や正五角形は日常でもよく見る形状であったものの、正七角形は普段あまり見る機会がなかったため、法則としては当たり前ですが、見た目としては意外な発見でした。
そしてこの、どう回転させても自立時に必ず上が凸となるという特徴は、時計においては12時の位置をどの曜日にでも変えることができるということを意味しており、結果的にこのプロダクトの最大の特徴となりました。
従来の時計は0が基準なので必ず12時の位置に12(基準の0)を設ける必要があります。
しかし、曜日感覚は人それぞれであり、明確な0としての基準はありません。むしろ、「今日は何曜日なのか、今日は大切な日まで残り何日なのかということを日々意識することで行動に変化を生む」という当初のこの時計の機能とコンセプトにおいて、頭の中だけでなく物理的、視覚的に人それぞれの基準を設定できるという特徴は、コンセプトと形状の必然性が一致した瞬間でした。
このようにして基準となる形状が決まったところで、ここからは細部の検討です。全体のサイズ感や角Rの処理、文字盤、針など、それぞれを絵にしては、出力して、また絵にしては出力して、を繰り返して検証をしていきました。
↑初期の形状検証イメージ
角Rがなく、最終製品と比べると全体的に無骨な印象です。
↑初期のプロダクトイメージ
曜日の表示方法が最終デザインとは大きく異なります。この時はまだ曜日と曜日の間に、半日基準点も入れていました。形状としての必然性はありつつも、プロダクトの個性として何か物足りない感じがします。
↑角R検証イメージ
初期イメージと比べて柔らかい印象が加わり、最終製品と近いイメージになってきています。
↑サイズ検証の紙モックアップ
全体の大きさのバランスや握りやすさ、文字のサイズや太さ違いによる視認性を検証。
↑3Dプリント検証モック
握った感覚やボリューム感を実際の形状で3Dプリントして検証。
上記のイメージは検証シーンの一部分ではありますが、このように様々な出力を駆使して数多くの検証を行い、最終的な意匠を決定していきました。
次回は、さらにここから、量産化に向けた金型での成型上の課題をクリアしながら現在の商品に至るまでの検証やテスト成型の様子をご報告させていただきたいと思います。
次回も是非ご覧ください。