三國連太郎唯一のお蔵入り映画「朽ちた手押し車」を全国の劇場50館で公開したい!

今の時代にこそ!

ふと思いました。

「朽ちた手押し車」が制作された1984年というのは私が生まれた翌年にあたります。

1歳の私が、直にその世情を肌で知って、今の私がそれを覚えている!なんていうことはないのですが、

映画はその時代の人々にとってもっとも必要な要素が含まれているので、その年のヒット作を見ると細かい部分抜きの大体の世情を感じることができます。それもまた映画をみるときに感じる醍醐味だなと思ったりします。

1984年の映画ランキング洋画1位は「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」。アメリカでは1980年代全体が逆境に立ち向かうヒーローが人々に希望を与えていくストーリーが続出していました。ちなみに、個人的に私はこの時代の洋画が大好きです!

邦画1位はファンタジー×アクション×ヒーローの要素を持つ「里見八犬伝」、2位は原田知世さんがミュージカルスターを目指し素敵なダンスを披露する「愛情物語」。

アメリカでも、日本でも「夢」が必要だったのでしょう。

といってもその時代にヒットした映画だけを見るよりも原作と、現代にリメイクした作品で比べるとそれぞれの時代がより鮮明に感じることができます。

1980年代よりも前になりますが、1971年制作の「夢のチョコレート工場」ではチョコレート工場主ウォンカが少年に夢を与える夢一杯のストーリーであるのに対し、2005年に公開された「チャーリーとチョコレート工場」ではその工場主の苦悩や不安などを描き、人の絆の大事さを描いています。

1989年にスクリーンに登場した無敵でクールだったバットマンは、2005年の「バットマン・ビギンズ」から苦悩と試練のオンパレードに、それを支える人たちの暖かさを描くようになりました。

ある時を境に現代の私たちは「夢」を見ることよりも、人の内面に興味を持ち、現実に向き合うことを無意識に望むようになっているのだと思います。

(邦画のプロジェクトであるのに、洋画を多く見ている為例えが洋画ばかりになってしまって、すみません。。)

ヒーローに憧れ、変化を喜び、夢を求め、成長を続ける時代であったとしても十分な資金や宣伝があれば、流れの外を行く「朽ちた手押し車」も受け入れられたのかもしれませが、その機会を失ってしまった今となっては推測の域を出ることができません。

しかし、どちらの時代にとって「朽ちた手押し車」が必要なのか、と問うと現代になります。そしてまた、この映画が広範囲で鑑賞されることなく終わってしまうことは、制作当時の1984年よりも現代の私たちにとって大きな痛手になるのです。

もちろん高齢化社会が進み介護や認知症が身近になっていることでのリンクもあるのですが、これだけではありません。

「朽ちた手押し車」の飾らない人間の心、優しさ、静かで確固たる強さ、そしてその人たちの繋がりを通して、現代の私たちが忘れている大事なものの端だけでも掴めたらなんて幸せなことでしょう。

今だからこそ、より多くの人が「朽ちた手押し車」を見、そして心を動かし、感動し、何かを得る。そうできる機会をできるだけ多くつくりたいです。

皆様

上映館を増やすための応援を、どうぞよろしくお願いいたします!

ヒバ・アリ・アーヴィン

2014/03/26 07:46