紹介文でもお伝えしたように、『ナルコノユリネ』に用いた原材料のナルコユリは、江戸時代には「黄精」という漢方として、江戸庶民に愛飲されてきた歴史があります。
三浦三郎著、川瀬清編『くすりの民俗学』(1980年、健友館)という本には次のような記述があります。
「常用するときは顔面の斑点(しみ)を去って血色を良くする作用があるというから、容色の衰えを生命よりも気にするその筋の佳人(中略)たちにとり、この種の生薬はまさに仙薬的な存在というべき」(P47)
「アスパラギン酸」など分からなかった江戸時代でも、こうした存在だったとは、ナルコユリの驚くべき素材力です。
(※著者・三浦氏は山之内製薬(株)研究所在籍、編者・川瀬氏は東京薬科大学教授。本書発行時点のデータ)