FMチューナー史上最高音質を実現!
RFダイレクトサンプリング方式採用、フルデジタルFMチューナー
「C-FT1000/500」

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港北ネットワークサービス株式会社はFMチューナー「C-FT500」、「C-FT1000」を2022年夏にクラウドファンディングのプロジェクトとして発表します。本機は林輝彦氏が考案した、アンテナからのRF信号を直接A-D変換し、デジタル信号処理を行うことで音声を復調する方式(=RFダイレクトサンプリング方式)のチューナーです。これまでのFMチューナーと比べると、S/N比、ステレオ分離度、歪率など全ての指標において最高の受信性能を有します。デジタル信号処理によりマルチパスを強力に除去するマルチパスキャンセラーも搭載致しました。チューナー回路より出力される音声信号は192kHz 24bit のデジタル音声信号となっており、C-FT1000ではES9038PRO搭載のDAC基板を実装していますので、アナログ音声出力においても高音質なFM放送をお楽しみ頂けます。(※C-FT500とC-FT1000はDAC回路のグレードの違いのみでFM受信回路は同等となります。)

 

インターネットでラジオが聴ける時代だからこそ、デジタルチューナー

「ラジオ」というメディアは電波を大気中に発信し、それを受信機で捉えるというじつにプリミティブなメディアです。とくにAM放送は、電波に乗る信号が音声信号そのものであるため受信機は非常にシンプルで、「塹壕ラジオ」や「ゲルマニウムラジオ」といった小学生の工作レベルの受信機でも放送をキャッチすることが可能です。しかし、何らかの外因で電波にノイズが入ったり乱れが生じると、そのまま音声にダイレクトに影響するデメリットもありました。そのデメリットを解消するために開発されたのがFM放送です。
FM放送は周波数変調波として送り出されています。これは基準となる周波数の上下約75kHzの幅で周波数が偏移するというもの。この偏移そのものが信号であるため同調がしっかりとれていれば、理論的にはデジタル信号と同じようにノイズは無視されます。ただし周波数の偏移という形に変えられた信号を音声信号に戻すために、受信機の内部では複雑なプロセスを経なければなりません。さらにステレオ放送では同時に送られる左右チャンネルの差分データを使って、ステレオ音声に変換していくのです。
1970年代に全盛を極めたFMチューナーは、受信にはエアバリコン、まるで演算に次ぐ演算のような内部処理はすべてアナログ回路で行われていました。しかも100MHz近い周波数の電波を扱うFMチューナーは、オーディオ機器では珍しく高周波が筐体内部を巡るためノイズとの闘いでもあったのです。おそらく当時の技術者も演算をもっと簡単にできたら、ノイズを気にせず設計できたら、と考えたことでしょう。
こうした当時の先端技術を結集して作られたFMチューナーですが、1982年のCD誕生とそれに続くデジタルオーディオの流行、さらにインターネットの普及、音楽配信等、オーディオを取り巻く環境の変化の中で、徐々に存在感を小さくしていきます。そして極めつけはスマホやPCで手軽にラジオが聴ける「radiko」の登場。もはやラジオは電波をキャッチするのではなくネット経由で聴くのが主流になってしまいました。
しかし、皮肉なことにradikoの登場と普及によりラジオを聴く人は近年増えているように感じす。それにともないラジオの価値も見直されてきました。専門家が選曲したラジオの音楽番組は新しい音楽との出会いをもたらしてくれます。インターネットでは好きな曲を探すことは出来ても、知らない曲を聴くことは難しいのです。そして限界のあるradikoの音質に対し、CDがハイレゾに移行したように、さらなる高音質を求めるリスナーも増えて来ました。
ところが市場を見回しても、すでにFMチューナーは絶滅危惧種。現在販売されているチューナーは、チップ化され簡略化されたものか、マイナーアップデートが繰り返されてはいますが基本的にはかつてのアナログチューナーを踏襲したハイエンドモデルしか残っていないのが現状です。
そこで私たちは、得意のデジタル技術とアナログアンプで培ったオーディオ技術を融合させ、理想を追求したFMチューナーを開発することにしました。

 

新発想のフルデジタルFMチューナー

放送局では音声信号を周波数変調波に変換して送り出し、受信側では周波数変調波から音声信号を作り出すという複雑なプロセスが必要なFM放送。チューナーの内部処理は高速かつ正確、そしてノイズとは無縁で信号の劣化もないデジタルによる処理が理想的であることは、チューナーに関わるほとんどの技術者は気がついていたはずです。実際に性能が最優先とされる軍用の無線機などではフルデジタル処理が行われているものもあります。
ただし問題もありました。それはFMの処理に必要なスペックを備えたデバイスが高額だったこと。また少数ロットでもチップをカスタムできる仕組みがなかったことです。こうした現実的な問題のため、内部処理をすべてデジタル化された民生用のチューナーは存在しませんでした。
しかし近年高性能なFPGAが登場し、このチューナーのフルデジタル化にも可能性が見えてきました。そこで私たちはフルデジタルチューナーの開発に着手、いちはやくデジタルチューナーの開発に取り組んでいた林輝彦氏の監修の元、受信した電波を直接FPGAに入力し以降の処理をすべてデジタルで行うという、原理的に理想を追求したチューナーを完成させることに成功しました。
このデジタル処理の恩恵は、信号の劣化がないこと、ノイズと無縁なことだけではなく、刻々と変化する受信状況に対応するマルチパスキャンセラーを組み込むことも可能としました。
ただし、こうしたフルデジタル処理の恩恵を十分に得るためには、強いシグナルレベルが必要なことは、アナログチューナーと変わりありません。もともとアンテナからの入力はレコードプレーヤーのカートリッジ、CDプレーヤーのピックアップに匹敵するものだからです。弱電界ではFM波を演算する元データが少なすぎて性能を十分に発揮することができないのです。とはいえ、しっかりとした入力があったときの効果はアナログチューナー以上。85dBf入力時のSN比はなんと85dB(ステレオ)とCDに迫るスペックを実現しています。
 

RFダイレクトサンプリング方式

FM受信の仕組み

ラジオの元祖はもちろんAM放送です。音声をダイレクトに放送波に乗せる振幅変調方式は受信機がシンプルで周波数も低いため遠くまで届くというメリットがあります。その反面送信設備は設置場所を選ぶ上に設備も大掛かり。何より雑音が多いというデメリットがありました。その問題を解決するために考えだされたのがFM(周波数変調方式)です。発明したのはエドウィン・ハワード・アームストロング。ラジオの性能を飛躍的にアップさせたスーパーヘテロダイン方式の発明者でもあります。
FM放送とチューナーの原理は後に説明しますが、端的に言うとノイズがそのまま音声信号として捉えられてしまうAMに対し、極端な話、放送波はあくまでデータであり、そこから音声信号に変換する仕組みを持つFMは、いわばアナログ的にAMに対し、そもそもデジタル的な原理を元にしているのです。このことはFMチューナーのフルデジタル化が理想形であるという根拠のひとつでもあります。
FM放送が「周波数変調方式」であることは何度か述べてきましたが、これは音声信号を基準となる周波数の上下約75kHzの幅で周波数が偏移する電波として送り出す方式です。
この電波に乗っている信号は、コンポジットのL+R音声に加え、L-Rという差分音声(データ)も送られてきます。

この電波を捉え音声信号として出力するのがFMチューナーです。一般的なチューナーの仕組みは以下のようなものです。
まず電波を捉えるのが「フロントエンド」という部分。電波の入り口です。ここで聴きたい放送局の周波数と同調させます。
次に「IFアンプ」で整えられた信号を「FM検波」というパートで周波数変調から振幅変調の信号に変換します。この部分はチューナーのキモでもあるので、初期のチューナーで使われたフォスター・シーレー検波、レシオ検波、クォードラチュア検波といったものから、日本のオーディオ全盛期にはPLL検波器やPTL(フェイズ・トラッキング・ループ)検波器、またトリオが開発したパルスカウント検波器など、様々な方式が生み出されてきました。

続いて検波で変換された振幅変調信号(コンポジット信号)からステレオ信号を取り出すMPX(マルチプレックス)に信号が送られます。この部分も当初はフィルターをかけてステレオ信号を作っていくマトリックス方式が使われていましたが、やがて国産チューナーではL+R信号とL-R信号に38kHzのスイッチング信号を加えてLチャンネルとRチャンネルを取り出すスイッチング方式が主流になると、いかに正確にスイッチング信号を作るかという開発競争に移り、中でもパイオニアはこのパートにPLLを用いたり、デジタル信号を使うDD(ダイレクトデコーダー)方式という独創的な方式を開発しました。そのほかそれぞれのパートの間にはリミッターやフィルターでノイズや外因により変化してしまった信号を元に戻すための仕組みも数多く組み込まれました。

ここまでのパートは信号を正確に取り出すための行程になります。ちなみに80から90MHz程度のFM信号が内部処理によって数MHzにビートダウン(周波数変換)されて処理されたとしても、わずか20KHz程度の音声信号しか扱わない他のコンポでは考えられないほどの高周波です。そのためチューナー内部には高周波ノイズに対する対策が筐体内部の隅々まで施されていました。
こうして生成された正確な信号から、内部で発生するノイズと戦いながら、「美しい」音楽信号として出力するために各メーカーが培ったオーディオ技術を駆使していたことは言うまでもありません。
 

フルデジタル処理の利点

従来のFMチューナーの内部は非常に複雑です。その理由のほとんどは信号がレコード溝やテープの磁気信号のようにダイレクトな音声信号でないことに起因しています。チューナーの内部構成でフロントエンド、FM検波、MPXのいずれも、じつは信号を正確に取り出すための仕組みになっています。
実用化されたばかりの半導体ではその高周波に耐えられなかったため、初期の傑作チューナーの多くは真空管を用いていました。やがて日本で半導体技術が発達すると、チューナーは日本の独壇場になります。
それは他のオーディオコンポよりも「正確な信号を取り出す」という部分が、チューナーには大切だったからでしょう。日本がもっとも得意にしたことだったのです。
FMチューナーの需要が激減したため、開発は途絶えてしまいましたが、ここまでご覧いただいた通り、チューナーの内部では複雑な演算処理が繰り返されています。そのため、とくにチューナーの心臓部であるFM検波からMPXの部分がデジタル化されるのは当然の帰結でもあります。
さらに現在ではFPGAの発達と普及により、より凝ったプログラムを組み込むこと(コンフィギュレーション)ができます。
私たちが開発したC-FT1000では正確な信号を取り出すために、従来の行程をデジタル化しただけでなく、アナログ時代にはビートダウンしなくてはいけなかった信号を同調周波数のまま検波以降の行程を行うことができます。そのため周波数を落とす段階の信号劣化がありません。さらに学習機能付きのMPC(マルチパスキャンセラー)で外乱により電波の変調を極力除去することに成功しています。
こうしたことはフルデジタルチューナーならではの利点です。
デジタル化された音声信号は最終的には192KHz/24bitのハイレゾ信号となります。もちろんこのハイレゾ・デジタル信号のまま出力することもできますし、C-FT1000では高級CDプレーヤーにも使われるハイエンドDAC、ES9038PROを搭載しているため、高品位なアナログ出力も可能になっています。

 

高音質を支える技術

DAC ES9038PRO

ESSのハイエンドDAC。CDプレーヤーではアキュフェーズDP-570などに採用される高音質DACで、最近はハイレゾ機器に多く用いられています。高級CDプレーヤー、アキュフェーズDP-550やマッキントッシュMCD500などに採用されたES9008Sの実質的な後継モデルでもあります。この高性能DACに米軍MIL規格にも対応しているCRYSTEK社の超低位相ノイズのオシレーターCCHD-950で100MHz駆動させ、FPGAで処理された192kHz/24bitのハイレゾ・デジタル信号を高品位を保ったままアナログで出力します。

リザーブ電源

1983年に誕生した伝説の銘機、NECのプリメインアンプA-10。このA-10の音を支えたのがリザーブ電源でした。音楽信号によって絶えず負荷が変動する電流に負けない電源部として開発された画期的な回路です。このA-10シリーズのリザーブ電源を開発した萩原由久氏(元NEC)がC-FT1000用にリザーブ電源をカスタマイズ。通常のトランス電源と比べて3 分の1以下の変動電流に留め、極めて安定した電源をアナログ回路に供給しています。また高周波を扱うチューナー部には別の電源トランスを搭載し、アナログ音声へのノイズを徹底的に排除しています。

シャシー

ブランドバッチ、削り出しのフロントパネル、厚手の鋼板筐体から真鍮の3点脚まで、全てが国内製造。NECの銘機A-10に倣ったメカニカルグランドコンストラクションの思想で設計された筐体は3点設置により不要な振動を確実に押さえ込み、高音質を担保しています。ヘアラインが美しい5mm厚のフロントパネルはC-FT1000ではシャンパンゴールド色、C-FT500ではブラック色のアルマイト加工となっています。

 

 

製品仕様

C-FT1000

全高調波歪率(85dBf入力、1kHz) 0.01%(MONO)、0.02%(STEREO)
SN比(85dBf入力、A補正) 90dB(MONO)、85dB(STEREO)
ステレオ分離度 85dB(1kHz)、75dB(10~15kHz)
周波数特性 10~15kHz(+0.1dB、-0.5dB)
出力レベル(100%変調、MONO) 0.95V
受信周波数範囲 76.0~95.0MHz(0.1MHzステップ)
アンテナインピーダンス 75Ω不平衡(F型コネクタ)
FM検波方式 デジタル検波方式
ステレオ復調方式 デジタル復調方式
デジタル音声出力 同軸×1系統(48~192kHz)、光(TOSLINK)×1系統(48~96kHz)
アナログ音声出力 バランス(XLR、100Ω)×1系統、アンバランス(RCA、50Ω)×1系統
電源 AC100V(50/60Hz)
消費電力 15W
外形寸法 W430×H80×D320mm
重量 7.8kg

C-FT500

全高調波歪率(85dBf入力、1kHz) 0.01%(MONO)、0.02%(STEREO)
SN比(85dBf入力、A補正) 90dB(MONO)、85dB(STEREO)
ステレオ分離度 85dB(1kHz)、75dB(10~15kHz)
周波数特性 10~15kHz(+0.1dB、-0.5dB)
出力レベル(100%変調、MONO) 0.95V
受信周波数範囲 76.0~95.0MHz(0.1MHzステップ)
アンテナインピーダンス 75Ω不平衡(F型コネクタ)
FM検波方式 デジタル検波方式
ステレオ復調方式 デジタル復調方式
デジタル音声出力 同軸×1系統(48~192kHz)、光(TOSLINK)×1系統(48~96kHz)、AES/EBU×1系統(48~192kHz)
アナログ音声出力 アンバランス(RCA、50Ω)×1系統
電源 AC100V(50/60Hz)
消費電力 14W
外形寸法 W430×H80×D320mm
重量 7.5kg

 

港北ネットワークサービスとは

港北ネットワークサービスは、元々大手メーカーの開発サポートや研究を主な業務としてスタートした会社でした。マランツやNECでアンプの開発に携わり、あのA-10シリーズの開発に携わった萩原由久氏の加入により、オーディオ関連業務を手掛けるようになり、雑誌「ステレオ時代」とのコラボ・プロジェクトである、A-10のエッセンスを盛り込んだA-10SGや、その真空管ハイブリッドアンプ、A-10SG TUBEを製品化。さらにかつてサンスイでチューナー開発を手掛けた技術者により、自社ブランドのFMチューナーやミュージックバードのチューナーを開発・販売も行うようになりました。

 

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