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<もくじ>・沈んでいる世界で、いま思うこと
・1ヶ月の待ち時間によって生まれた "ひろがり"
・なぜクラウドファンディングをするか?
・何かに触れて、思考や感情が勝手に動き出すとき
・「色」にも、人の感情にドライブをかける力がある
・あらゆる24時間の行動を、リサーチに基づいて選定した21の色で表現する
・見知らぬ人の生活の記録を見て、無意識に自分の人生にアクセスしている
・内発的に湧いて出てくるものの力強さ
・人が持つ、想像力という力
「思い返すと今までで一番ハードな年だったかもしれない」
2020年の終わりに近づいた頃、一年を振り返りながらそんなことを思った。
だれしも、それまでの当たり前の日常がそうでなくなり、わくわくすることを考えたり、新しいことに挑戦してみたくなる気持ちよりも、目の前の山を乗り越えるために守りに入り、じっと動かず「待つしかない」というような気持ちになることが増えてしまったように思う。
それは仕方がないことで、どうしようもないことだった。
でも怖いのは、自分たちの日常の中に暗く、重い空気が、充満していることに気づかなくなったり、その空気感が普通になってしまうことなんじゃないかと思う。少しでも自らで抗わないと、本当にこのまま渦に飲みこまれてしまう。
「 新しい作品をつくろう。沈んでいる(自分と)世界に、色で喜びを生み出したい」
2020年の終わりに、強く、思い立った。
実際、私たち自身がこれまで、仕事でも創作活動の中でも、“色” が持つ力や可能性に何度も驚き、心を動かされ、パワーチャージされてきた。
以前はいろんなイベントもあって、世界中どこでも海外に旅に行けた。しかし今は、ない。活力を内に生みだすインプットが日常から遠ざかっている。
だからこそ今、世界がすこしでも色づくもの、生命が活気づくものを、自らで生み出したいと思った。
作品は、作るだけでは、人の感性に何も生み出さない。
様々な性質の人が様々な状態で行き交い集い、公共性があり、かつ文化的な場所で展示したいと考えた。しかし、東京という広大な都市の中でも、そんな場所はそうそうない。私たちの頭の中に、ある一つの場所が思い浮かんだ。
青山のSpiral Garden。SPIRAL(スパイラル)は東京における「文化の公園」と言えるような場所だと思う。2020年の外出自粛生活の中で、改めてこの「文化の公園」の価値に気づかされ、尊敬と感謝の気持ちが強くなってもいた。
思い切って、すぐさまSPIRALに直談判に行った。提案を喜んでもらえたが、展示ができるかどうかは別物。「検討に1ヶ月待って欲しい」と回答をいただいた。1ヶ月待つ間に、企画を練り直した。同時に、関連した作品集を出すことも決めた。展覧会と作品集を同時になんて、無鉄砲にも程がある。
「 でも、大変だろうがなんだろうが、やるべきことをやるのだ。」
この時、決めた。
せわしない気分の1ヶ月後を過ごし、結果、とても嬉しい返事をもらう。
自主企画の展覧会を開催できることになった。
しかも1Fフロアの全てを使った、想定外の広がりとなった。私たちにとって、とても大きな規模のもの。しかも、期間はゴールデンウィーク。私たちくらいの個人デザイン事務所が主催するレベルを、正直超えていると思う。「やれんのか!」と恐れおののく気持ちになる時もあるけど、そんな気持ちはバッサリと払い除けて、何がなんでも成功させると思っている。
見た人の内側で、色を通じて思考や想像がとおくまで拡がっていくような、触れることで「自分の内側でどんな反応が起こるか」、それを個々に楽しめるような、そんな瞬間が生まれることを強く願っている。
今回、私たちは、【SPIRALの1F全フロアを使った展覧会】と【初の作品集制作】という2つの挑戦を行う。 実はこれ、当初から決まっていた話ではなかった。
最初にSPIRALに提案を持ち込んだときは、ただただ新作(特殊活版印刷を用いた平面作品)を発表したいという思いで、壁面のスペースのみを使った展示の構想だった。以下の図面の「1」にあたる部分だ。
しかし前述の通り、開催の可否について「検討に1ヶ月待って欲しい」という回答を頂いて、私たちはただ待ってはいられなかったから、「1」以外にも『あそこを使うとしたら、どんな展示ができるかな?』『あっちのスペースには○○が合いそう』などと、勝手に想像を膨らませて楽しみ、より具体的に構想した。そして、その内容をSPIRALの方にも伝えた。
結果的に、この想像のひろがりによって「1」だけでなく、「1〜7」つまりSPIRALの1F全フロアを使った展覧会に発展し、開催自体も可能になった。
1|特殊活版印刷によるすべて違う色の断片を集積した平面作品「Much Peace, Love and Joy」
2|色の奥にある光と闇のコントラストを面で体感する立体作品「観賞用コントラスト」
3|サイトスペシフィックに空間を横断する作品「ボーダー」メッシュ生地バージョン
4|withコロナに対する機能性も塗布したテキスタイル「フラッグパーティション」
5|和紙テープ「HARU stuck-on design;」の重ねによるダイナミックな平面作品
6|生命と物語を時間軸でビジュアライズ化した作品「Life Stripe」
7|SPREADがデザイン、セレクトした色にまつわるプロダクトの販売
8|スパイラルカフェとのコラボレーションによる色あざやかなスペシャルメニュー
そしてもう一つ。
1ヶ月の待ち時間のあいだに思ったことがあった。
「 もしSPIRALでの新作発表が叶わなかったら、アクションがゼロになってしまうな.. 」
せっかくそれまでワクワクしながらあれこれ構想していたものが、結果次第ではゼロになる。自分たちの内側に湧き立っていた活力の源をゼロにしたくない。
「 そうだ、作品集をつくろう。考えてみたら2021年はちょうどSPREAD設立15年。もし新作発表が叶わなくても、作品集は自分たちでつくれる 」
15周年、15色展開、5月15日完成予定
自費出版で発行
15年間の仕事を抜粋して5つのフィロソフィーとともにまとめた1冊だ。
・いろ と よろこび
・きおく と たび
・よりそい と はじまり
・とい と こたえ
・じっけん と はっけん
・執筆|阿部雅世、猪飼尚司、上山良子、田根剛、土田貴宏、山田遊、SPREAD、Simon Wright、Valentina Ciuffi and Joseph Grima
・編集|山田泰巨、SPREAD
・デザイン|SPREAD
・判型|A4サイズ
・頁数|168P
※ 表紙右側に見える(見返し)は全15色、クラウドファンディングでお申込みくださった方はお好きな色を指定することが可能
朱
黒
白
グレー
ベージュ
ブラウン
濃緑
濃青
青
緑
紫
蛍光 黄
蛍光 オレンジ
蛍光 ピンク
水色
1ヶ月という待ち時間によって生まれた "ひろがり" が、新しい道となって(そして挑戦として..!)私たちの前に現れたのだった。
実は私たちはもともとクラウドファンディングというものを、良く思
「人のお金で作品を作るってどうなんだろう?」というのが正直な気持ちだった。しかし、信頼するある方の言葉を聞いて、
その方は今回の制作で協働する印刷会社ライブアートブックスの清水さん。今から5~6年前に、当時勤めていたある写真家さんの事務所で、写真集制作のクラウドファンディングを体験されていた。「クラウドファンディングをやってみましょう!以前やって、すごくよかった」とおっしゃったのだ。どういう点がよかったかの具体的な話も聞いた。実際にクラウドファンディングを体験した方による、
コロナによって世界が様変わりし、風の時代などとも言われる今、これまでの自分たちの考えに捉われず、「やってみよう」「動かすんだ」と思ったのだ。
今までは、作品づくりのプロセスや、
クラウドファンディングをやってみることで、
※ クラウドファンディングで集まった資金は、展覧会の開催にかかる費用および作品集の制作費を補填する目的で大切に使わせて頂きます。
※ 第一目標は100万円とし、最終目標300万円を目指したいと思います。出来るだけ多くの方に今回のプロジェクトの存在を知って頂き、クラウドファンディング用に考えた限定品などをお届けできればと思っています。リターンは全て送料込みのお値段です。(国内の場合。)
※ リターンの中には、作品「Life Stripe」のオリジナルオーダーや、展覧会(一般公開前)のプレスプレビューの時間帯にご招待するプランなどもご用意しました。プレスプレビューは、4月28日(水)11:00-15:00。この時間内で、11:30-、13:00-、14:00- と3回の
頭というより、視覚や聴覚、体感などを通じて “感覚的に” 何かが自分の中に入ってきたとき、無意識のうちに思考や感情が動き出すことがある。
正反対なところも多い私たちの共通点は音楽が大好きなところなのだけど、音楽によって自分の内側から喜びが満ちたり、心が救われたりしながら生きてきた。音は形ないもので、飾ったり並べたり眺めたりすることは出来ないし、1曲の時間は、たった数分だったりする。
それなのに、聴覚を通じて体の中に入ってきたとき、その音は、言葉では説明できないような反応を引き起こす。「たった数分の1曲が、自分の人生を20年以上支える」なんてことが普通に起こるのが音楽のすごいところだし、音楽の力だと思う。
これはもちろん音楽に限ったことではなくて、五感を通じて心に響いてくるようなものはどれも、心の内側から何かを湧き上がらせる力があったり、無意識に思考や感情をうごめかせる力があって、この世界には、自然も含めてそういうものが沢山あると思う。
音楽と同じように、色にも、人間の感覚や感情を揺さぶる何かがあることを確信している。触れた人の内側にある、目に見えない何かにアプローチするような力だ。
これまで、国内外で自分たちの個展を開催する中で、幾度となくそれを実感し、体感してきた。
ここで、私たちの代表作であり、ライフワークとも言える「Life Stripe(ライフストライプ)」の話と絡めて実体験を紹介したい。
私たちにとって”色”が特別なものになったのは、今から15年ほど前、友人の引きこもりがきっかけで始まった「Life Stripe(ライフストライプ)」という、色による行動記録の表現だ。あらゆる人の睡眠・食事・くつろぎ・仕事といった1日の行動を、リサーチに基づいて選定した21のカラーに置き換え、24時間の時間軸に沿って記録することから生まれる「生活の模様」。
これまでに、著名無名問わず様々な職業、状況、性別、年齢の人、野性の動物やペットにいたるまで多種多様150,000件以上の生活の記録を収集し制作を続けている。
国内外で個展をする中で、いろんな人の様々な反応を目にし、時に声を掛けたり掛けられたりして、実際に彼や彼女と言葉を交わしてきた。
「すごく元気になった!」と顔を明るくして、そのまま仕事に行く男性。
「どうして日本人は“デート”の色がこんなに少ないんだ? デートしないの?」と問うイタリア人。
「21色の項目の中に、なぜ“祈り”がないの?」と疑問を持つ女性。
作品の前に立ち、静かに涙を流す人。
作品を見て、怒り出す人。
「作家と話がしたい」と言って、私たちを呼ぶ人。
個展会場には様々な反応をする人がいるが、話をする中で気づいたことは、皆、「Life Stripe」を通して見知らぬ人の生活の記録に触れながら、“無意識のうちに、自分の生活や人生にアクセスしている”ということだった。
人の人生を視覚的に眺める中で、自分の人生における記憶が呼び覚まされたり、普段忘れていた思い出や感情が動き出すのかもしれない。 自然と出てくる問いや疑問、そして感情には、本人の価値観や、生きてきた軌跡が必ず背景にある。だから内発的に湧いて出てくるのだと思う。
国や性別、年齢を超えて、見た人の内側から何かが湧き上がっているのを目の当たりにする度に、“色”が持つ力や可能性を実感している。
前述のとおり「Life Stripe」は友人の引きこもりをきっかけに始まった表現活動(その後友人は社会復帰)なのだけど、3.11の震災直後に二人で復興活動に参加する中で、展示のお話を頂いたことがあった。
その際、被害に合われた方々の一日も記録したい、でも不謹慎じゃないか、、としばらく葛藤していて。そのことをある日地元の方に相談したら、みなさんとても喜んでくださって。結果的に“色がみで一日と対話する”というワークショップにつながった。
そんな経験もあって、どんな人の中にも、何かをきっかけに内側から湧いて出てくるものが必ずあって、「内側から湧いて出てくるものは、ひとりひとり独自の光を放つ」ということを強く感じている。内発的に生まれるモチベーションや思考、想像力こそ、本人を未来に連れていってくれるのではないかと思う。
想像する(できる)って、すごく大事で、希望だと思う。人間が持っている思考や想像の力は、視野が狭まったり、沈んでいるときに私たち自身を遠くに連れていってくれる。想像する(できる)だけで気持ちが楽になったり、よろこびを感じられたり、分からない何かに対して「怖さ」ではなく「楽しみ」という感情を呼び寄せてくれる。
今回、私たちが生み出したものに触れただれかの体の中で、想像力が膨らんだり、刺激されたり、やわらかくなったり、伸びたり縮んだりして、その人の内側に湧き出す喜びが生まれることを願っている。触れた時に自分の内側からどんなものが湧いてくるのか、
内側から湧いてくる思考や感情をめいっぱい楽しんでもらえたらと思う。
SPREAD(小林弘和・山田春奈)
photo by Kazuhiro Kodaira, Kai Hirata, Takumi Ota, Adriano A. Biondo, tenten, Hirokazu Kobayashi
SPREAD(スプレッド)
山田春奈と小林弘和によるクリエイティブ・ユニット。あらゆる記
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