【 永遠の図書室 】 サポーター募集!
戦後75年。記憶が途絶え、記録物が捨てられようとしている。
過去をアーカイブし、新たな事実を一緒に発掘しませんか?

image

 


<目次>

1. 関心の薄かった私が戦争図書室をはじめました

2. レトロな元薬局ビルに残されていたのは大量の書籍や手記

3. 戦争関連の図書や手記3,500点が閲覧できる「永遠の図書室」としてオープン

4. 語り部がいた時代から、語り部がいなくなる時代へ

5. 20代のスタッフから、さらに10代の来館者へと「思い」が繋がりつつあります

6. 寄贈を希望する方が現れ始めました。私たちはさらなる収集を決めました。

7. 軍都でもあった千葉・館山から始める私たちのプロジェクト




1.関心の薄かった私が戦争図書室をはじめました

はじめまして。漆原秀(うるしばらしげる)と申します。
千葉県の南端のまち館山市で宿泊業を行っています。

私は、コロナ禍に見舞われはじめた2020年3月、千葉県館山市で民営図書館「永遠の図書室」を開設しました。 

毎年、終戦記念日前後にはテレビ等で特集が組まれたりしていますが、50歳になった私自身は、戦時体験者でもなく、核家族に生まれ育ったこともあり、親類縁者から戦争に関する直接の話しを聞いた機会も少なく、どちらかというと関心が薄かったのが正直なところです。

しかし、ひょんな事から戦争図書室を開設することにしました。
 
戦後75年。当時16歳で戦地に赴いていた若者は91歳を、当時25歳だった若者は100歳を迎える年月を意味している。

つまり戦争体験者の記憶が地上から消えてしまうまで10年も残されていない。

お恥ずかしながら、この重大さを実感したのは、この図書室を開設してからのことでした。
 
今、この「永遠の図書室」に、10代・20代の若い世代が関心を寄せてくれつつあります。



また、手記や蔵書、貴重な写真や軍装品を寄贈してくださる方が徐々に増えつつあります。


 

 

戦争に関する手記や図書を収集し、アーカイブしていくプロジェクトとして本格的に開始します。

ひとりの力では決して実現できない壮大なプロジェクトです。ぜひみなさんのお力をお借りしたいのです。


どのようにしてこの図書室が生まれたか、開設から8ヶ月が経過して、実際にどのような方が来訪されているのか、ご紹介します。



2.レトロな元薬局ビルに残されていたのは大量の書籍や手記

このビルは私が家族とともに館山に移住してくる前、今から10年ほど前にはじめて見つけました。

交差点に沿ってRを描いた外観が印象的なビルでしたが、取り外された看板跡から、かつては薬局のビルであったことがわかりました。



私自身は、この館山で、築古の建物をリノベーションした賃貸住宅と、同じくゲストハウスの運営を行っています。
現在は官民連携の「リノベーションまちづくり」にも取り組んでいます。

その活動を知る地域の不動産会社から、「ひょっとしたらご興味ありませんか?」と購入の打診を受けたのは昨年(2019年)の春でした。


「あなた以外の方が手にしたら、取り壊され、更地になると思います」

この言葉がきっかけになり、なんとか購入までは漕ぎ着けたのが昨年秋のことでした。


 

1階から3階まで溢れていた大量の残置物。
家具、衣類、生活雑貨などの他、最も多かったのが戦争に関する図書や手記でした。

「残置物は買主で処分する」ことが購入時の条件でもありましたので、1つ1つ自分の手で処分を進めたのですが、戦争に関する手記や書物だけは、最後までどうしても手が付けられずにいました。

元の所有者、飯塚浩氏の「伝えたい思い、遺したい思い」がひしひしと伝わってきたからです。

そこで私は、大学時代からの先輩で、個人で戦争研究をしている先輩F氏に相談をしました。
国内のみならず世界各地の戦跡を巡るほど熱心で行動力のある彼は、現地を見て間も無くこう言いました。

「ここまでの数と内容で、民間で戦争に関する資料が残っている場所はないぞ。このまま残して、閲覧できる図書室を創ろう」

 



その言葉から約3ヶ月後の3月24日、建物1階の元薬局店舗部分を改装し、「永遠の図書室」がオープンしました。


 


3.戦争関連の図書や手記3500点が閲覧できる「永遠の図書室」

「永遠の図書室」は民営による時間貸し図書室です。

1階の店舗部分をかつての什器を活かしてリノベーションしました。

主な展示物は、元帝国陸軍大尉であった飯塚浩氏が遺した手記と蔵書と軍装品です。

書籍類は約3000冊、手記類は文庫本にすると300冊におよぶという量です。

オープン直後は、主に戦争体験世代の方、地域の方が足を運んでくれました。

間も無くコロナ禍が本格化し、オープンのわずか10日の間ではありましたが、「意義ある場所にできる」という手応えを感じることができました。

(*3月下旬より6月上旬までは外出自粛を受け閉館)

 

 

4.語り部がいた時代から、語り部がいなくなる時代へ

3月のオープン間も無く、数日連続して熱心に通ってくれた1人の若い女性がいました。
夢中になって本を手にする彼女に声をかけ話をしたところ、アニメをきっかけに大戦時期を含んだ近代史に関心を持ったことを知りました。

彼女が特別なわけではなく、20代にとっては、アニメや漫画などのサブカルチャーを通じて戦争が起きた昭和に関心を持つというパスがある。

このことは50代の私にはとても新鮮な気づきでした。
私の世代ですと、漫画やゲームをきっかけに戦国時代に関心をもち、そこからNHK大河ドラマを観て、戦国時代ならではのヒーローやロマンを求めたような、そんなパスがありましたが、感覚なのだなと思いました。



直接の戦地体験者「語り部」から話が聞けた私たち50代以上と、語り部がいなくなりつつある時代に生きる若者たち、子どもたちの世代。
 
特に高校生や中学生、小学生などが訪れ、興味深く感じてくれたことに「永遠の図書室」と名付けた際におぼろげに感じていたイメージが具現化されつつあることを感じました。若い世代、子どもたちが、その時代に興味を持つきっかけになったり、いつか興味を持った時に自発的に知識を深められる場所。
 
次の世代に伝える役割は、彼女のような存在なのかもしれないと感じ、声をかけたのです。

 

5.20代のスタッフから、さらに10代の来館者へと「思い」が繋がりつつあります

「若い人がこういう場所に来るなんて珍しいですね。よろしければ店番をやってみませんか」

通っちゃうな………と思った数分後の漆原さんと私の初めての会話です。

思わず目玉が飛び出ましたが、あまりに突然の人生の転機のようなものに二つ返事で「やります」と口にしておりました。
 
そんなわけで店番になった私の一番最初の仕事は、この膨大な量の本のデータ打ち込みでした。

タイトル、サブタイトル、状態………ひとつひとつはそこまでの量ではないのですが、3000冊超の本を打ち込むにはやはり時間がかかりました。

しかし一冊一冊に触っていると、やはり一冊一冊違う感情が芽生えるものです。

「紙のざらつきがいいなあ」
「装丁が凝ってる、インクの凹凸がわかりやすい、すごい!」

といった「本」への想い、

「写真入りだ………苦しくなるな」
「戦地の記録はやっぱ痛ましい……見てるだけでつらい」
「この記録は貴重すぎない……?」

といった戦争への想い。

本編をすべて読んだわけではないので、それだけで?と思うかもしれませんが、それだけでもかなりの情報量と感情の量でした。

「なんとしてもこの本たちをたくさんの人に読んでもらいたい」

そんな気持ちになった瞬間こそ、私が本当に店番になった瞬間だったのかもしれません。
 
そのおかげもあり、本の場所が把握できるようになりました。「確かあの本にこう書いてあったような……この棚の何番目の……あった!」みたいな感じで発見できるようになれました。もしお客さんに「こういう本はありますか?」と聞かれたらすぐに取り出せる可能性は高いです。
 
また、本を見ているうち、手記や日記に触れているうち、日に日に「飯塚さんとお話がしてみたい」と思うようになっていきました。

もちろんご本人はすでに鬼籍に入ってしまわれているため、お話することは叶わないのですが、飯塚さんの自分史を紐解いたり本の種類を見たり、本の中に挟まれているメモやカバーにボールペンで書かれた走り書きを見ていると、会ったことのないはずのその人のこと、人間性や性格のようなものがどんどんわかっていくような気がして、そのたびに「話してみたいなぁ」とふと思ってしまうわけです。

お話しできないのならばせめて、飯塚さんが遺された思いを守っていこう。

語り継いでいこう。

それもきっとひとつの飯塚さんとの「対話」のかたちであると思うのです。 

来場される方のタイプとしてもっとも多いのは、「前を通るたびに気になっていたので…」という方。
そして事前情報なしで来た方は「館山にこういう場所があったんだ………」や、ひたすら感心したり、蔵書量に目を輝かせたり、いい意味で「こういう場所とは思わなかった」と言ってくれる方がたくさんいらっしゃいます。
S N Sや記事などをご覧になった上で来館してくださる方もいらっしゃいます。事前情報があるとはいえ、やはり新鮮な反応をしていただけるのが嬉しいです。「また来たいです」と言ってくださる人がいるとそれだけで舞い上がってしまいます。
 
さて戦争関連の書籍を取り扱っているということで年齢層は高め……というわけではありません。老若男女のご来館があります。
そして嬉しいのが、若者層のお客様がわりと多いということ。
 

例えばある日のこと。そろそろ閉館時間という時に、小学生の女の子がふらりと訪れました。
 

また、戦争書籍から勧めるのは入り口としては難しいかな……と思ったので、飯塚さんが小学生の頃に書いた日記を見せたりしました。

(動画で来場者のエピソードをご紹介します。 再生時間 3:19 )

 
小学生だけではありません。
中学生もこちらに顔を出します。

中学生ともなると学校で歴史を学んだうえで蔵書たちに触れてくれるのですが、「授業でここまで詳しくやらなかった……こんなことがあったんだ……」なんて驚いてくれる子もいます。

でも確かに、鎌倉時代や、戦国時代、進んでも幕末あたりは授業でもしっかりやりますし、メディアでも取り上げられる機会が多いです。しかし近代史って、歴史の授業で学ぶ時間がかなり少ないんですよね。「日本史」の中で学ぶ近代史となると知らないことのほうが多い気がします。


そして、高校生。
学校では学べないことをここで学び、また再発見する子たちがたくさんいます。



「歴史が好き」というとどうしても江戸時代以前を思い浮かべがちですが、「昭和」も歴史の一部です。昭和という時代をこよなく愛し、勉強する人も若い人の中に確実にいます。そういう人にとってこの場所はかなり気に入ったらしく、まるでここに初めて来たときの私を見ているようでちょっと微笑ましくなりました。


ちなみに、二回目に来る際にお友達を連れてきてくれる子もいます。思えばここに書いてきた彼ら彼女ら、二回目の時は友達と一緒に来ている子が多いような気がします。

人から人へ、確かに輪が広がっていくのがわかります。なんだか感慨深いです。

これもあるよと言わんばかりに蔵書や写真を見せたりすると、「すごい!ここ楽しい!」と言ってくれます。

そうなんです。楽しいんです。

戦争関連の場所に対して「楽しい」という言葉を使うのは不謹慎なのかもしれませんが、彼ら彼女らにとっては「知らなかったことを知れるのが楽しい」「知的好奇心がくすぐられるから楽しい」なのです。「学ぶこと」それ自体が楽しいのです。

この場所はきっと、「歴史を語り継ぐ場所」であると同時に「歴史を知り、学ぶ場所」であるのだと私は思いました。

「学生の時に来たかったな。そしたらもうちょっと歴史の勉強頑張ったのに」
「もうこれ図書室じゃなくて博物館なのでは…?」(貴重なものが多いという意味で)
「この本がどうしても読みたくてまた来たんです」
「おじいちゃん、戦争の話は頑として語らなかったんですよ。………こんなことがあったら、語りたくないと思うのも当然かもしれませんね」
「戦争の話をしてくれた祖父のことを思い出しました。もっとちゃんと聞いておくんだった………」

まだまだ訪れる人は多くありませんが、おひとりひとりとお話するたび、ご案内するたび、来館者と一緒に歴史を知る旅に出ているような気になります。

 

6.寄贈を希望する方が現れ始めました。私たちはさらなる収集を決めました。

この場所は、「歴史の集う場所」という側面も持つと考えます。

この図書室が開館した後、特に呼び掛けたわけではなかったのですが、一般の方から書籍や手記、軍装品などが届けられるようになりました。



「この場所になら、形見をお預けできる」と思ってくださったのです。当時の方が使っていらした軍帽や勲章、懐中時計などもあり、品々を大切にしていたご家族の想いを感じて胸が熱くなります。


ある日、お問い合わせをいただいた数時間後に段ボール2箱をお持ちいただいた方がいらっしゃいました。

「かなり貴重な資料だと思います」とおっしゃりながらお祖父様の話と共に資料の解説をしてくれたのち、その方は帰っていったのです………が、私は貴重すぎる品々にただ目を丸くするばかり。飯塚さんの手記もそうなのですが、そこに書かれているのはまぎれもない、本人の肉声です。手記に、そして当時の写真に私はかなり動揺してしまって、直後に来たお客さんに動揺と興奮を持って実はこんな寄贈品が届きまして……と語ってしまったほどです。冷静に聞いてくれた上で情報の上乗せと解説をしてくれてありがとう、あの時のお客さん……



その後、図書室発起人の一人でもあるF氏が資料に目を通すときに立ち会わせていただき、数ある資料の中から写真につながる手がかりを発見し、写真の人物や出来事が明らかになった瞬間はかなりアドレナリンが出てました。こうしてその方のコーナーも作り、一人の軍人さんの歴史がこの場所に刻まれました。
歴史とは流れであり、その中に生きた一人ひとりもまた個人という名の歴史です。

現在はSNS等で寄贈を呼びかけています。

寄贈された手記等は多くの方に見ていただくだけではなく、有識者にご覧いただく機会が作れたとしたら、歴史的な新事実の発見や、これまで仮説だったものを裏付ける根拠になるものが既に集まっていると思いますし、今後もまずは収集を継続していくことで、そういった機会に繋がるのではないかと期待しています。

これからもたくさんの歴史がこの場所に集まり、たくさんの人がそれを目の当たりにするのか、そこから新しい発見があるかも…………そう思うとこの館山という小さな町に、とんでもなくスケールの大きいものを感じるのです。

 

7.軍都でもあった千葉・館山から始める私たちのプロジェクト

私自身は隣町の南房総市に生まれ育ちました。

館山は東京湾の入り口に位置することもあり、江戸時代末期から砲台が設置されたことから始まり、戦中は海軍基地(現・海上自衛隊航空基地)や東京湾要塞司令部が存在した国防の要諦でした。巨大な地下壕、戦闘機の格納庫、人間魚雷の発射台などの戦跡が今も残されています。戦後、本州で唯一G H Qによる軍政が4日間ではありますが敷かれた場所でもあります。

「永遠の図書室」がこのまちに生まれたのも必然のような気もしています。

また、館山を舞台にしたミリタリーアニメも現在放映されていますが、若い世代にとっても特別な場所になろうとしています。これは、これまでの文脈が未来に繋がろうとする期待の1つでもあると個人的には考えます。
 

実際に館山のまちに足を運んでいただき、戦跡類をご覧いただくとともに図書室にご来館いただけるとたいへん嬉しいですが、東京からわずか2時間、とはいえ大半の方にとっては通うには難しいと思います。開館直後のコロナ禍を目の当たりにもしています。来館と時間貸しだけを前提とした事業継続も難しいと考えています。

そこで、今後は「会員制度」にすることで、蔵書の貸し出しを行うことを準備しています。

施設窓口での貸し出しに加え、オンラインでの予約と郵送で遠隔の方にも貸し出しを行うオンライン会員も設けます。

この会員制度とオンライン貸し出しの仕組みを作ることで、史料類をより多くの方に閲覧していただきたい。

また図書室としての経営基盤を整えることで、存続できる体制を、責任を持って史料類をお預かりできる体制を整えたく、今回のクラウドファンディングを実施したいと考えました。
 
今回お預かりした資金は以下に活用させていただく所存です。

●遠隔貸し出しのためのホームページと検索予約システムの作成
●所蔵品のデジタルアーカイブ化に向けた機材購入
●人件費を中心とした運営費
●倉庫部分の修繕費 等
 

コースは、1,000円「応援プラン」のから、「サポーターBasicプラン(正会員権付き)」等各種ご用意させていただきました。
ご無理なき範囲で、また皆様のニーズにあう形でご検討いただけましたら幸いです。

皆様のご協力をお願い申し上げます。
 

PERSONAL RECOMMEND あなたへのおすすめプロジェクト