「トビヲちゃん」が見てきた黄金町や寿町。
問題を抱えるこのまちの本当の素晴らしさを多くの人に届けたい。

トビヲちゃんを探せ!について

まちとの関わりのご報告が多くなってしまっていますが、肝心な「トビヲちゃんを探せ!」という私のアートプロジェクトについてちょっと説明させていただきます。

まずは、「トビヲちゃん」については覚えていただいたかと思います。

黄金町エリアの日ノ出町の老舗、駄菓子&玩具問屋「佐野屋本店」のトビヲちゃん。

この「トビヲちゃん」をまちじゅうに出没させて、MAPをもとにトビヲちゃんが何色だったのか回答用紙に記入して景品交換所にいくと、見つけた数によってポストカード、カンバッチなどの粗品がもらえるというものです。

一番最初にまちの中で展開したのは、2008年に千葉県柏市で開催された「アートラインかしわ」というイベントの中で行いました。

千葉県柏市には、弘前大学卒業後、5年ほど住んでいました。

つくばエキスプレスの開通に伴い、常磐線柏駅の利用者が減ってしまったことなどから、まちの魅力を多くの方に知ってもらうためのイベントだということで、私はそのまちの方の見せたいところ、私が個人的に気に入っているところにトビヲちゃんを出没させることにしました。

最初は外からのお客さんを呼び込むための仕掛けだったのですが、実際行ってみると、そのまちの人が自分のまちの魅力を再発見するということにつながりました。

私の予想をはるかに超えた大反響で驚きました。

子供から大人まで、カップルから家族まで、みんなが夢中になってトビヲちゃんを探したのです。

このことから、まちづくりというものは、そのまちに住んでいる人がそのまちのことを好きだと思わないことには始まらないということを知りました。

私が生まれ育った八戸市にしても、私よりも外から訪れた方の方がたくさんの魅力を知っていることがあります。

自分には慣れ親しんだこと、逆に恥ずかしいなと思うことでも、財産になりうるのです。

トビヲちゃんを設置することで、いつもは普通に通り過ぎていた場所がちょっとだけ楽しみな場所になるとか、お店の魅力がもっと引きたつとか、そんなことを考えながら設置しています。

基本的にトビヲちゃんはイベント期間だけの設置で、終了したら撤去します。

今も残っているところは店主さんが残しておいていいよとおっしゃってくださったところです。

結果的に、私が現在活動している、黄金町、長者町、寿町のエリアでは、安心なお店、安心な場所の目印になっています。

(念のためですが、たまたま貼っていないところもたくさんあるので、貼っていないからあぶない、理解がない。ということはありません。)

交渉するときに、突然お伺いするので、お店で買い物をする、サービスを受ける以外の用事で入っても対応してくださった場所に設置できています。

これは、このプロジェクトで地図を持った人が突然訪問したときにお店側にも参加者側にも迷惑がかからないようにするためです。

でも、おそらく、それは接客業の基本であり、やっぱりよくしてくれたところにもう一度行きたいなと思うわけで、探すときは直接の購入にはつながらなくても、あとからお店を利用してくださる方も多いです。

素人ながらもお店のプロジェクトを黄金町で行わなければならなくなったとき、トビヲちゃんを介して、商売のなんたるかを垣間見せていただき、本当に勉強させていただきました。

ここで、今までのトビヲちゃんをちょっとだけお見せします。

かなり難易度の高いものもありますので、よ〜く探してみてください。

黄金町エリアのコインランドリー。今も設置してあります。

青森県八戸市で開催した「ヨコヲちゃんを探せ!」トビヲちゃんがなぜか「ヨコヲちゃん」とよばれていたので、そのまま使うことにしました。

こちらも青森県八戸市の青果店。最初は探しに来る人の対応が煩わしいと思っていたそうですが、「そうだ、商売につなげればいいんだ。」と、「ヨコヲちゃん(トビヲちゃん」をコミュニケーションツールに商品を楽しく売ることにつながったそうです。

こちらも青森県八戸市のお茶屋さん。窓ガラスに貼るだけでなく、そのお店の特徴をうまく利用させていただいて、その中にしのびこませます。

トビヲちゃんを探しながらお店のものもよ〜く見ていただきたいのです。

こちらも青森県八戸市。店主のおばあちゃんが自作で描いたショウウィンドウの絵とコラージュの傑作の中にまぜていただきました。

残念ながらこのお店は今ありません。

トビヲちゃんを貼ったお店で閉店したもの、まちの変化に伴い、なくなってしまったものはたくさんあります。

トビヲちゃんを出没させて記録を撮ることはまちの記録にもなっています。

こちらも青森県八戸市のガンショップオオムカイさん。

昔は子どもたちがたくさん来ていたが、学校でエアガン禁止などの通達が出てしまい、今は趣味の人が多いとのこと。

子どもたちには危なくない使い方を教えていたし、よく通っていた子が大人になって立派な警察官になったこともある。

商店の人たちも子どもたちをみて教育する。そんな雰囲気が昔はあったのだと、寂しそうに話していましたが、「ヨコヲちゃん」を探す子どもたちがたくさんお店に来てくれて、うれしそうでした。

交渉の段階で、お店の方のいろんな話をきくことができ、ものを買いに行くときにはできないようなコミュニケーションをとることができ、店主の人間性に触れることがあります。

こちらも青森県八戸市です。よ〜く、探してみてください。

一つ一つ手づくりです。

青森県八戸市でのプロジェクトは3年にわたり行いました。

八戸市主催でしたので、交渉には市の職員さんも同行してくださいましたが、普段は突然「最近どうですか?」なんてきけないようなことも「ヨコヲちゃんどうですか?」とききに入ることで、商店の方の細かい意見などを拾うことができたとおっしゃっていました。

こちらは黄金町エリアの日ノ出町のラーメン屋、たつ屋さん。

今でも青森県八戸市、黄金町、長者町、寿町の中にはどこかのお店で私のキャラクターをみることができます。

ぜひ、まちを訪れたら探してみてください。

※次回は、2016年3月19日(土)〜4月3日(日)に、黄金町エリアや長者町7・8・9丁目町内などが合同で行う大岡川桜まつりで「さくらんボー」というキャラクターを出没させます。

>さくらんボーを探せ

隣り合わせですが別々に桜まつりを開催していた横浜市中区と横浜市南区が連携するようになってから四年目になりますが、「さくらんボーちゃん」はこの二つのエリアをつなげるための役割を担っています。

2016/01/30 11:12