今回、寿町や黄金町のことを本にするということを発信したことで、いろんな反応があります。
現在、Facebookやwebなどでしか文章やレポートを発信していないので、インターネットを見ない世代の方やSNSを活用しない方はいつも絵をかいている私がどんな本を作ろうとしているのか想像がつかない方もいらっしゃいます。
今日はいつも応援してくださっている方が、
「なぜ、絵で戦わないのですか!だから今回わたくしは本の支援をいたしません。その代わり作品を買っていきます!」とおっしゃって絵画を一点買っていかれました。
そして、
「難しい地域のことを書くのだから、自分がよかれと思ってやったことでも思いがけない批判や跳ね返りを浴びることにもなるだろうから、その辺は覚悟できているのですか?くれぐれも気をつけてくださいね。」などといろいろご心配されていきました。
この方にも私の書き方によっては迷惑をかけてしまうかもしれないので、なるべく言及しないでほしい。ということに関しては了承しました。
私は以前、黄金町のまちづくりが始まった頃、ピンク色のカッティングシートを貼って黄金町のディレクター山野さんを通じて警察に注意されたことがあります。
黄金町では、昔の売春街を彷彿とさせるようなピンクのライトを使ったり、ピンク系の色を使った表現をしたりすることに当初はかなり制限がありました。
(しかし、これが大岡川桜まつりではまちじゅうがピンクだらけになります。何も全てがダメだというわけではなく、地元の方をある意味挑発するような表現は避けてほしいということなので、最近は誠実な表現のために必要なのだと理解されればOKになります。)
住民の心を傷つけるようなことはできるだけ避けたいと思いますが、それを過剰に気にしすぎると、逆に偏見を強めてしまうのではないかと思っています。
そのときは、
「なおすことはかまわないけど、ピンクを自由に使えるようになることがまちの再生の一歩では。」と話したら、
山野さんがうまく伝えてくださって、
警察の方も後日「なるほど、納得しました。」とおっしゃっていました。
今回本に書こうと思っていることは、そういう心配をよそに住民やそこに関わる人たちが底抜けに明るくて前向きで、そこから学ばせてもらっていることがたくさんあるということをメインにしたいと思っています。
歴史やいろんな問題を見ると、重い気持ちになったり、慎重にならなければならない地域だと思います。
しかし、地域の方の重い問題をかわす処世術も真似できないくらい巧みで、
ボケとツッコミのようなうまい返しで会話がトントンと進んでいきます。
だけど、自分たちや仲間の尊厳がおかされたら、真剣に怒る事ができる、そんな温かい人たちです。
そんなたくさんの温かい人たちとの面白いエピソードをメインに本にしたいと思っています。
写真は、私が黄金町で最初に関わった初音町のシャッター街活性化のプロジェクトからずっとお世話になっている初黄町婦人部の面々です。
写真を撮るというとみんな照れるのでこんな感じですが、産直おおたきといって、地元婦人部の方のご実家から新鮮な野菜を持ってきて販売しています。
この場が町内やアーティスト、NPOの職員、近隣のマンションの若いママ、などのいろんな立場の方の交流の場所となっています。
みんなでワイワイいいながら、時々まちの今までの事、これからのことを真面目に議論することもあります。
なんでも継続していくには楽しいのが一番です。
このような懐の大きい方たちの環境の中で、アートプロジェクトを行ってみると、いつの間にか超えられなかった壁をすりぬけていたり、見方を変えることができたり、いろんな奇跡に出会うことがあります。
それは私自身も経験していることですし、年に一度のアートフェスティバル、黄金町バザールで招聘されたアーティストの動き方を見ても、そういう効果を目の当たりにすることがあり、私は本当に豊かな場面に遭遇しているなあと感じることがたくさんあります。