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ZuperDAC Pro & Max|スマホで楽しむ至高の音質
高音質でハイレゾ音源を再生可能に。極小・超軽量USB DACアンプ

オーディオ評論家、麻倉怜士先生によるZorloo社製品でのMQA音源試聴レビュー

音楽評論家、麻倉先生によるZorloo社製品でのMQA音源試聴レビュー

オーディオ雑誌などでもお馴染みで、ハイレゾオーディオに深い造詣をお持ちで情緒感のあるレビューに定評のある麻倉怜士先生に、Zorloo社のMQAレンダラー機能をもつDAC内蔵デバイスを使って試聴を行っていただきました。

こちらは新作のZuperDAC Pro/Max

試聴いただいたのはZuperDACのサンプルが届く前だったこともあり、同じESS社ES9281AC PROを内蔵した兄弟分とも言える「Ztella II」(バランス接続版一体型ハイレゾUSB DACケーブル)。

Zorloo社の「Ztella II」でMQAの音源を聴く

『試聴に使った音源は、ノルウェーの高音質レーベル「2L」による、MQA音源を集めたサンプラー。試聴方法としてはまずリニアPCMで聴いた後にMQAで聴いたのですが、結果としてはものすごい違いで、マスターレコーディングに限りなく忠実に再現できるというMQAだけあって、いわゆる「MQAらしい音」がしました。

●耳にスッと入ってくる自然な音、人間的な音

「MQAらしい音」って何?という感じですが、私はやっぱりひとつは耳馴染みの良いというか、スーッと入ってくる音だと思っています。音に不自然な痕跡とか障害があるんじゃなくて、何の障害もバリアもなく、耳にスッと入ってくる、非常に自然な音の流れや音の構成というのが美質ですね。。もう一つは音の暖かさというか、温度感というか、一言で言うと「人間的な音」がしますね。

人間的な音っていうのは、我々が日頃自然に聞いていて馴染んでいる音の構造がすごく目の前に、耳の近くにあるような印象です。それからもう一つ違うのは音の臨場感。音がそこで鳴っている。そこで鳴っている音がどういうような空間を伝わってくるかという、トータルな音場感、音像感や空気感というものがすごく感じられる。

印象深かったのは、試聴音源に使った2Lの録音です。同社のレコーディングエンジニアであるモーテンさんの録音はノルウェー各地の響きのとても良い大小の教会やホールで収録されていることが多いのですが、今回試聴したサンプラー音源は、DXD352.8kHz、24bitという最高のクオリティで録音された曲をリマスターし、さらにこれをPCM192kHz/24bitやSACD、MQAなどのフォーマットにエンコードしているのですが、そもそも元のグランドフォーマットが非常に高いレベルにある。これをMQAで聴くとそれぞれのトラックの収録環境の違い、編成や響きの違いまでもがリアルに感じられるんです。

Zorloo社のUSB DAC「Ztella II」ならびに「ZuperDAC」は、PCM768kHz/DSD512まで対応しているDACを使っているそうです。DXD352.8kHzで録ったマスターを一旦MQAの折り紙フォーマットに変換し、TIDALアプリがコアデコードを行った上でDACに渡し、DACのMQAレンダラーを通じてフルデコードしているということになりますが、とにかく元の情報量の凄さや多さが全然違う。あともう 1 つあるのは、私はよく「情緒量」と言っているんですが、単に音の情報量が多いというだけじゃなくて、元々の音源に人を感動させるような要素が入っている。音源再生を通じてそれを実際に聴くことができるのがやっぱりすごいと思うんです。

前提となっているのは2Lのモーテンさんのこの音源の凄さなんですけども、それが素直にそのままの形で聴こえる。特に感心したのは、バランス接続で聴いたヘッドホンの音です。

試聴に使ったのはバランス接続可能なヘッドホンとしてはエントリーレベルと言えるMeze 99なのですが、2Lのサンプラーを聴く前に、最初に聴いたノラ・ジョーンズの「Don’t Know Why」、これがもう圧倒的に良かった。

リニア PCM とMQAの違いは歴然で、MQAではボーカルの音像感がすごくリッチ。しかも、表面のふくよかさ、肌触り感が繊細に感じられて、いきいきとしている声の弾力感みたいなところすら感じられるくらい。それがバランス接続したヘッドホンでの試聴を通じてすごくよく分かりました。

MQAフルデコードした音の良さを自宅に置いたオーディオ装置で楽しむだけでなく、手軽にヘッドホンリスニングの環境でも十分楽しめるというところに、大きな価値を感じます。

いつでもどこでも、それこそ時空を問わずMQAの良さ、先ほど言ったヒューマンライクな音場感や臨場感を感じられる。もう少し突っ込んで言うと、一つ一つの楽器から音の出てくるメカニズムすら分かってしまうんじゃないか、みたいな音楽的な解像度の凄さがあるわけです。

総括

総括すると、Zorloo社の商品はその全てにおいて基本的なMQAの良さがよく出ているシステムで、まさに「MQA Everywhere」を体現していると思いました。スマホで、TIDALのようなストリーミング再生のサービスがあれば、いつでもどこでもその場でMQAクオリティの音が聴ける。音楽を通じたクオリティ・オブ・ライフを豊かにしてくれる、未来を先取りした最新のギアだと思いました。

 

Zorloo事務局

2023/03/07 11:59