そしてもう1つ。
こちらの活動報告では、
僕の作品の「混ぜる」ということについてお話したいと思います。
これは作品コンセプトの軸となる行為です。
現代では、多すぎる情報が人を情報の塊にしてしまい、
人としてのアイデンティティが見失う状況に陥っていることを表現するために写真を混ぜています。
写真を現代の情報の集合体だと考えていて、
それをポートレートの上に混ぜ合わせていくことで、
その人の本来持つ色を見つける行為へと繋がっていくのですが、
では実際どのように混ぜているかというと。。。
実は通常の写真をプリントする流れと変わりません!
写真をセレクトし、インクジェットプリンタにて出力していきます。
しかし本来はほぼ乾いた状態で出力されますので、これでは混ぜれません。
そこで皆さんももしご興味あれば試していただくと良いのですが、
(注意!!プリンタが壊れる可能性が高くなるので自己責任でお願いします!)
一番簡単な方法は、光沢感のあるインクジェット用紙を裏返しにセットしてプリントしてみてください。
経験したこともある方もいるかもしれませんが、
ごく稀に起きる失敗というやつですね。それを故意に行います。
出力されたその表面はインクが半乾きになっています。
この状態のまま、
先に出力しておいたポートレート写真の上に、
インク面を言葉通り混ぜていきます。
半乾きで出力するものは、
基本的に被写体が普段から身につけているものや、使用しているものになります。
僕は被写体の家で撮影させてもらうことが多いので、
その人の全てがHumanity1枚の中に詰め込まれ、どんどんと色となって表れてきているというイメージです。
混ぜる用紙やポートレートをプリントする用紙などは、これと決めているものはありませんし、
毎回、試行錯誤を行い、新しいコトが起きるまでひたすらに混ぜていきます。
混ぜた後の結果が常に良い方向に進むわけではなく、実はほとんどがその逆への結果になることが多かったりします。混ぜ方にも気をつけながら、というよりも実際は気をつけようがないので、意識的にですが。。。そして良いものが出来上がった瞬間、!!!と撮影します。インクは液体なので集中していないとすぐ表情を変えてしまうため、なかなか難しい作業なのですが、僕にとってはとても大切で、そこに表れる偶発性を楽しんでもいます。
この一連の行為が僕の作品の中で、
肌感覚をより身近に感じてもらうための1つのきっかけになっています。
そしてこの「混ぜる」ということに、
とても似ている行為があると感じています。
それは写真の中で代々受け継がれ、今後も残って欲しいことであるのですが。。。
それは、
それは次回に続きます。
石川和人