─色も音も、田川さんにとってはハンディではなく、大切な自分自身なんですね。 今回の公演で衣装を担当する「tenbo」のショーを、東京コレクションで拝見しました。障がいのある方もない方も素敵に着られるデザインで、モデルのみなさんも実に多様で、本当に生き生きと堂々と着こなしていらっしゃって、笑顔がまぶしかったのが印象的です。
「tenbo」の鶴田能史さんとは、8年前上京したての頃、友人の誘いで代々木公園でのお花見で会いました。それからも何度か会う機会はありましたが、会うタイミングが次第に増えたのは、彼が自分のブランドを立ち上げたことがきっかけだったように思います。僕を東京コレクションに招待してくれ、しかも一番前の特等席でした。そこで見た彼が作った服に一瞬で魅了されてしまって、すっかりファンになりました。
彼のブランド「tenbo」は、「障がいが有る無しに関わらず、誰もが着やすい服」を提案しています。ショーでは、いろんな方がモデルとしてランウェイを歩きます。新しいことは、人に共感も反発も持たせてしまうと思います。ちょうど僕もクラウドファンディングで「月と猫」の出版費用を募るプロジェクトを進めていた頃だったので、近い境遇だったかもしれません。応援してくれる人もいれば、反感を買うこともありました。応援してくれているはずの人が、気がつけば攻撃してくることもありました。その度に彼の姿を自分に重ねて「僕も頑張りたい」と思えました。今回、「tenbo」の服をどうしても瑠美さんと鹿嶋さんに着て欲しくて、それが叶うと思うと心がウキウキします。
─ホールの下見や打ち合わせにいらっしゃる専門スタッフのみなさんも、本当に田川さんと田川作品への愛にあふれた、あたたかく、熱い方々ばかりでびっくりしました。
演出・舞台監督の小田史一さん、照明の松本永さん、音響の渡辺裕紀さん、宣伝デザインの小野田芳美さん……みんな様々な人の縁でお会いできた素敵な方々です。
スタッフのみなさんも次々にホールを下見、打合せ。今回、田川さんの作品が映し出されるのは、昨年くすのきホールに導入されたばかりの4K対応のデジタル・シネマ・パッケージ。あまりの美しい映像に、スタッフのみなさんも興奮気味でした。
終始、ほんわかした雰囲気で謙虚に、穏やかにお話される田川さん。この方の思いには応えてあげたい!と思わされる不思議な魅力の持ち主で、どんどん人の輪が広がっているようです。そんな田川さんと田川さんを取り囲む人々の愛に満ちあふれた「月と森の記憶」に、どうぞご期待ください!!
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調布市文化・コミュニティ振興財団により行われた田川へのインタビューを、全5回で掲載させていただきました。田川の公演に向ける思いについては、これからも本人から直接こちらでお伝えするようにいたします。引き続きご支援くださいますよう、よろしくお願いいたします。