image

今注目のチカーノ・ソウルの魅力に迫る、
ファン垂涎のアメリカ発ガイドブック『Chicano Soul』を翻訳出版して、
著者ルーベン・モリーナ氏来日イヴェントを実現させたい!

『CHICANO SOUL』日本語出版プロジェクトをサポートしていただいている皆様へ

こんにちは。発起人・翻訳者の宮田信です。

活動をスタートして2週間、すでに40名を超える方々にご支援いただき、大変感謝しております。あらためましてチカーノ音楽・文化への注目が集まりつつあることを実感しております。また同時に、その使命に重い責任も感じております。

「チカーノ」という名称は、元々は侮蔑的な意味をもっていた言葉でしたが、60年代の公民権運動の時期に、自らのルーツへの誇りと共に同胞連帯への決意を込めて非常に「ポリティカル」なアクションとして使われ始めました。要するに、メキシコ系=チカーノというエスニシティを単純に指す言葉ではないということです。日本では、なかなかそうした繊細な背景が理解されず、やや偏ったイメージが広がってしまったこともありました。

本書『CHICANO SOUL』では、ロサンゼルスやサンアントニオなどのインナーシティで多彩な文化と絡み合いながら音楽が生まれていくストーリーが生々しく描かれています。今や入手困難である美しいグラフィックのシングル盤やLPジャケットが並ぶ内容は、ちょっとマニアックともいえるかもしれませんが、既存のステレオタイプではない「チカーノ文化」の奥深い魅力をしっかりと伝えています。

バリオ・ゴールド・レコードというレーベルで私は主にカリフォルニアでリリースされるチカーノ音楽の紹介を続けています。ロサンゼルスの人口の半分は今やラティーノというのは、日本ではなかなか知れ渡っておりませんが、チカーノたちの音楽がより多彩で大きな勢力をもちつつあることは、我々の日々の仕事で実感しております。甘いR&B、ダンサブルなクンビア、洗練されたラテン・ジャズ、そしてチカーノ・バットマンなどに代表されるインディ・ロックなど・・・正直、我々も追いつかないほどの膨大なリリースがここ数年続いています。間もなく、彼らは間違いなくマジョリティとなるでしょう。「チカーノ」という言葉の意味も時代と共に変貌していくのかもしれません。そういう意味でも、本書『CHICANO SOUL』は大変貴重な記録として価値をもっていくはずです。

ぜひ引き続き、皆さまにご支援を戴き、本書刊行の実現を達成したいと思っております。よろしくお願いします。

 

追記:これはというチカーノ音楽名盤を簡単に紹介していきます。『CHICANO SOUL』に掲載されていない作品も含まれます。

EL CHICANO “VIVA TIRADO”(1969年)

日系資本のクレンショー・スクエア内にあったカブキ・スキヤキ・レストランで活動していたグループ、The VIP’sがエル・チカーノとして改名してリリースした記念すべき1stアルバム。ハモンド・オルガン、コンガ、そしてジャジーなギターによるブルージー且つパーカッシヴなサウンドは、ロサンゼルスで起きているハイブリッドな音楽文化を世界中に知らしめることとなった傑作。本書では、エル・チカーノに続いたラテン・ロック・グループについても紹介されています。

 

2019/08/20 13:19