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自閉症スペクトラム障害の男の子の自立の物語
『Kids Like Us(僕らのような子どもたち・仮)』を翻訳出版したい!

ご支援ありがとうございます! 発起人・林 真紀より

『僕らのような子どもたち・仮』プロジェクト発起人の林真紀です。

クラウドファンディング開始直後から、続々と「支援したよ!」というメッセージが手元に届き、さらにtwitterやFacebookでも様々な方々に拡散をご協力頂き、感謝の気持ちはもちろんのこと、この本の翻訳は皆さんと一体になって作り上げていくのだという責任感のようなものを感じました。

私は翻訳出版プロジェクトを立ち上げるべくリサーチを始めてからこの本に巡り合うまで、およそ3年の年月を費やしました。自閉症スペクトラム障害(発達障害)がテーマになっている話題の本をいろいろと読みましたが、なぜかしっくりこなかったのです。けれども、Kids Like Usという本に電撃的に出合って分かったのです。なぜ私がこれまで他の本にしっくりこなかったのか。それは、他の本には発達障害の子どもも、いつか大人になる、そして恋もすれば友情に悩むときもくる、そんな当たり前の話が取り上げられていなかったのです。

私自身も発達障害の子どもを育てています。3歳のときに診断が下りたため、早期療育と言われるものをがっちり施しました。

「あ、息子と目が合うようになったぞ」
「私の話を聞いてから、適切な応答をするようになった」
「集団に合わせて活動ができるようになった!」

早期療育を施している間、私は息子の輝かしいほどの成長に日々ワクワクしていました。これは発達障害のお子さんを育てている親御さんは同じ経験があるかもしれません。私にとってはその頃は、毎日の一歩一歩が大切だったのです。けれども、どんなことでも、それは療育に限らず教育全般でも、その先に「この子が大人になること」「やがて自分の手元を離れて自立すること」が射程に入れられていなければならないはずなのです。往々にして、療育に必死になっている間は分からなくなってしまうのですが。

この物語の主人公マーティンは高校生です。異国で「恋」という初めての体験をします。そして、これまで同じ発達障害の子どもたちとしか付き合っていなかった彼が、初めて「普通の高校生たち」と交流する経験をします。そのときに彼は初めて、「自閉症スペクトラム障害」というある種の彼のアイデンティティや、幼い頃に受けてきた早期療育の意味について思いを馳せることになるのです。

この本の大きなテーマは「発達障害児の自立の物語」ですが、私はもっと普遍的なテーマを内包したものであると思っています。「療育」というのは、その子にとっての困りごとが少なくなるために行うものではありますが、共に取り組む親はついつい、「我が子が段々『普通』になってきた!」という風に喜んでしまったりします(私もそうでした)。ここで主人公のマーティンに問いかけられるわけです。

「普通ってなに?」

そうです。多くの人の生きづらさは、周りが設定した、この「普通」というある種の規範から生まれていると思うのです。ですから、私はこの本を発達障害の当事者はもちろん、それ以外の方々にも広く手に取って頂きたいのです。そして、周囲から押し付けられる「普通」から、ほんの少しでいいのでフリーになってみて欲しいのです。それはとても勇気のいることです。誰かと手を携えながらでなければ、なかなか一歩を踏み出せないことです。だからこそ、この翻訳出版プロジェクトを通じて、繋がりあい、共に一歩を踏み出して欲しいと思います。

ムーブメントは小さな一歩から始まります。プロジェクト達成までの約90日間、どうか伴走してください。プロジェクトにご参加いただくと、活動がメールで報告されます。どうか、ご支援を宜しくお願いいたします。

2019/06/13 12:53