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100年に及ぶLGBTの権利回復の運動の歴史を解説した
『Gay & Lesbian History for Kids』を翻訳出版して、
全国の学校や図書館に届けたい!

プロジェクト発起団体「プライドハウス東京」を改めてご紹介!

プロジェクト成立に向けて只今絶賛ラストスパート中の『Gay & Lesbian History for Kids』。達成率80%を目前にしたいま、改めて、プロジェクトの発起団体である「プライドハウス東京」をみなさんにご紹介させていただきたいと思います!代表の松中権さんにお話を伺いました。
 

プライドハウス東京
 


プライドハウス東京について、簡単に教えていただけますか?

LGBTなどのセクシュアル・マイノリティやアライが、安心して集うことのできる、期間限定の情報発信施設のことです。28のNPO・個人、18の企業、6の大使館がセクターを超えて協働するプロジェクトで、今年はラグビーW杯にあわせて、9月20日から11月4日まで、原宿のsubaCOというコミュニティスペースに「プライドハウス東京2019」をオープンします。その経験を生かして、世界最大のスポーツイベントである、来年の東京オリンピック・パラリンピックにあわせて、「プライドハウス東京2020」を立ち上げたいと思っています。



2018年9月に行った「プライドハウス東京」に関する記者発表


なるほど。様々な人・団体からなるコンソーソアムなんですね。
具体的にはどんな活動をされているのですか?


具体的には、コンソーシアムが「教育・多様性発信」「文化・歴史・アーカイブ」「セクシュアルヘルス・救済窓口」「アスリート発信」「祝祭・スポーツイベント・ボランティア」「居場所づくり」「仕組みづくり」という7つのチームにわかれ、それぞれがテーマに沿った企画を検討中です。いくつかのチームは、今年秋のオープンを盛り上げるために、すでにイベントなどを実施したりしています。 例えば、「アスリート発信」チームでは、とくにLGBTに関して保守的なスポーツ業界を変えていく第一歩として、当事者のアスリートやアライのアスリートによるメッセージムービーを制作したり、そのムービーにて女性のパートナーがいることをカミングアウトした現役女子サッカー選手・下山田志帆さんを招いたトークセッションを実施したり。 絵本というつながりでは、「教育・多様性発信」チームでは、世界各国の大使館と協力して、LGBTなどの性の多様性がテーマの絵本や児童図書を集め、プライドハウス東京の中にライブラリーをつくるプロジェクトを進めています。subaCOにて、どんな絵本や児童図書が良いかを参加者といっしょに考えるワークショップも開催しています。



開催したワークショップ「世界中のLGBTの絵本を集めて、ライブラリーをつくりたい!」の様子


プライドハウスという言葉は、あまり馴染みがない人も多いと思います。諸外国で開催さ入れるオリンピック・パラリンピックでは、設立されていることが多いのでしょうか。

最初にプライドハウスができたのは、2010年バンクーバー大会でした。地元のNGOが立ち上げた企画でしたが、大会後に欧米諸国のLGBTコミュニティに情報がひろがり、以降、様々な国際スポーツ大会にあわせて、地元のNGOが独立的に企画運営してきました。2014年のソチ冬季大会直前にロシアが制定した同性愛宣伝禁止法に各国がブーイングを飛ばすなか、ソチでもプライドハウスをつくろうという動きがあったのですが、残念ながら実現できず。それをきっかけに、プライドハウスの過去の主催団体と、今後の主催希望団体である、ブラジルチーム、韓国チームがつながり、プライドハウス・インターナショナルができあがりました。プライドハウス東京も、そのネットワークに参加しています。

海外のプライドハウス


リオデジャネイロ五輪のプライドハウスにて


プライドハウス東京の代表以外にも、LGBTイシューで様々なプロジェクトに取り組まれている松中さんですが、このプライドハウスへの想いをお聞かせいただけますでしょうか。

僕自身、2010年にグッド・エジイング・エールズという団体を立ち上げて以降、会社員として働きながら、オープンリーなゲイとして二足のわらじでNPO活動をしてきました。自分にできることを、自分にできるペースでゆるやかに。ある意味、いろんなバランスを取りながら自然体に生きていくことが大切であり、荒波を立てずに社会を変えていくことが求められているのだと感じていました。 そんな時に、一橋大学アウティング事件のことを知りました。 いつか社会は変わる、では、救えない命があるという事実でした。もちろん、LGBTの子どもたちの自殺率など、数字やレポートでは知っていましたが、自分ごとにできていなかったのかもしれません。 社会を変えるには、制度と風土を変えていく必要がある。2020年は、そのどちらにおいても、加速度ギアにシフトできるタイミングだと思っています。法整備に関する活動が「制度」であり、プライドハウス東京は「風土」をシフトするエンジンです。

 

『Gay & Lesbian History for Kids』を翻訳出版して、全国の小学校や図書館に届けていくこのプロジェクト。発起・応援団体に名乗り出ていただいた理由はどこにあるんでしょうか。

大きなきっかけのひとつは「教育・多様性発信チーム」です。世界中のLGBT絵本・児童書のライブラリーをつくろう!という企画に、まさにピッタリだったので、手をあげました。 個人的には、ただただ、これを機会に歴史を学びたい!という思いです。子どもの頃から、本を読むのが苦手で。お恥ずかしながら、いまだに、読破したことのある本は数えるほどなんです(汗)。子ども向けの書籍なら、さすがに、と。
社会は勝手には変わりませんし、多くの思いある方々のアクションの積み重ねです。重ねられた思いのなかに、様々な発見や学びがあり、今の時代にこそ変わらず共感できる、普遍的な柱のようなものがあるのではないかと思っています。


今後のご予定や、お知らせしたいことがありましたら教えてください

実は、プライドハウス東京の7つのチームのうち、「居場所づくり」チームと「仕組みづくり」チームは、さらに先を見据えた準備を進めています。2019年、2020年のプライドハウス東京でつくりあげたコンテンツやイベントをいかし、世界の主要都市に存在している総合的なLGBTに関するコミュニティセンターを、東京に設立するという計画です。まさに、「プライドハウス東京・レガシー」です。 常設のセンターづくりは、ほぼ白紙状態です。ぜひ、興味を持たれた方はご一報いただけると嬉しいです。どのような方の、どんような経験も、ウェルカムです。いっしょに、次の日本のHistoryをつくりましょう!
 

「プライドハウス東京」応援メッセージ・ムービー
  "Pridehouse Tokyo" Support Messages Video

 


松中権
認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表。「LGBTと、いろんな人と、いっしょに」をコンセプトに、インクルーシブな場づくりを行う。海の家とコラボした「カラフルカフェ」、職場に関するカンファレンス「work with Pride」および日本初の取組指標「PRIDE指標」、シェアハウス「カラフルハウス」に加え、2020年までに1万人のLGBT当事者ポートレート撮影を目指す「OUT IN JAPAN」など、多数のプロジェクトを手がける。東京2020組織委員会内での、LGBT勉強会や多様性リーフレット作成監修も担当。
 

2019/06/25 16:16