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ボローニャ国際児童図書展ラガッツィ賞を受賞。
世界14ヶ国語に翻訳されている、
メキシコ生まれの真っ黒な美しい絵本を翻訳出版したい!

「スペイン語多読の会」川本かず子さんから応援コメントをいただきました

 

「スペイン語多読の会」について教えてください。

 2015年10月に、「NPO多言語多読」会員理事の私と会員の村岡千秋さんが、ファンドレイジング企画として活動を開始しました。2018年度からはNPO多言語多読の実践研究事業となっています。

 活動は、1ヶ月に3回、1回2時間集まって、自由に好きな本を読んだり、聞き読みしたり。絵本の読み聞かせや、その日のお気に入り本のブックトークをすることもあります。ときどき、大画面でアニメなども観ることもあります。

(「多読」の考え方、ルールなどはこちらNPO多言語多読のサイトへ→https://tadoku.org/

イスパニカで開催した「スペイン語多読の会」体験会の様子

 

川本さんは、「スペイン語」や「スペイン語多読の会」とどのようにかかわっていますか?

 スペインはずっと好きな国だったのに、なぜかスペイン語を勉強しようという欲望は芽生えないままでした。それが、バレンシアのパンクバンドと知り合ったことがきっかけで、スペイン語熱が高まって(笑)。

 一方、全く勉強したことのない言語を多読的アプローチで自ら実験したいという思いも募っていました。そんな折、NPO多言語多読の支援セミナーで、上にも書いたように、現スペイン語多読の会副会長、村岡千秋さんに出会ったのでした。

 同時に、ネットでスペイン語絵本専門ショップ「ミランフ書店」を発見。本を集め、人を集め、なんとか2015年10月10日、スペイン語多読の会を始めることができました。今年の10月で3周年になりますね。

 でも、スペイン語の多読は教材が少なくて、英語のOxford Readeing Treeシリーズのような段階的な絵本はなく、たったひとつ、それもかなり文字量の多いColega Leesシリーズのみでした。そこで、赤ちゃん用のボードブックや、芸術絵本、Graded Readers、YouTubeの絵本朗読、アニメ、アメリカの子ども向けスペイン語学習サイトなどをフル活用しました。

 原則として辞書は引かない、日本語に訳さない、難しくてつまらないものは読まない、というルールに従って、絵と音を大切に、「楽しくなければ続かない」をモットーにしています。

ゼロレベルで始めたスペイン語多読体験から思うことは

・音声がないと体に落ちない。

・「読む」「聞く」「見る」「シャドーイングする」を含めて、“半端じゃない量”をインプットしないとスペイン語が自分の中にたまっていかない。それも、とってもやさしいレベルが大量に必要。

・時には難しいと思われる本も、内容に興味があれば、強引に読むことでとても力がつく。

・スペイン語圏の絵本は大人も楽しめるすばらしいものが多い

英語と比べると、圧倒的に本もアニメもドラマも少ないスペイン語ですが、多読の手法だけでどこまで身につけることができるのか、私も自分自身の実験結果に興味津々です。

 

『El libro negro de los colores(色についての黒い本)』 とはどのようにして出会いましたか?

 ミランフ書店から購入しました。タイトルとデザインが目を惹き、目の見える人も見えない人も楽しめるというところに新鮮な驚きを感じました。同時に、多読の会の会員から英語版をもらったのです。

 すべての色を呑み込んだ「黒」。目で見るのではなく、暗闇の世界にひろがる色やにおい、音、触った感じ、痛さ、温度、つまり、すべての感覚を総動員して。五感のすべてを読み手が追体験できる作り。美しい言葉の数々。そんな魅力がつまったこの本に、ぞっこんです。

 

この本を翻訳出版したいと思った経緯、応援してくれている人たちのことを教えてください

 2014年秋に、内モンゴルの砂漠植林で知り合った京都在住の友人の一言がきっかけでした。

 幼稚園から高校まで先生として仕事をしたことのあるこの友人が、NPO多言語多読の事務所に遊びに来たときに『黒い本』を見て、「この本、日本語ないの? あったら、全国の学校図書館に置きたい、子どもたちに読んでもらいたい」と。この一言で、なんとか日本語版を出版したいと思うようになりました。

 何をどうすればいいかわからず、とりあえず、高田馬場にある点字図書館に相談に行きました。そこで、このスペイン語の本の点字は浅くて、ほとんど読めないということがわかったのです。さらに、図書館の方がドイツ語版を持ってらして、加工の違うドイツ語版ならかろうじて読めると教えてもらいました。

 そしてそこから、大阪の「てんやく絵本ふれあい文庫」の岩田美津子さんを紹介していただきました。大阪の岩田さんの事務所を訪ね、そこで「点字つき絵本の出版と普及を考える会」の会議に誘われました。

 後日、東京の小学館で開催された会議に出席し、日本の点訳絵本のレベルの高さを認識しました。この会議に出席されている方々から、技術的なこともいろいろ教えていただきました。『黒い本』をご存じだった方も多く、現在は、この会のみなさんも応援してくださっています。

 

今回のクラウドファンディング企画について、応援のメッセージをお願いします

 私の素朴な願いが、クラウドファンディングという形で出版を目指すことになり、とても幸せです。サウザンブックスの古賀さん、イスパニカの本橋さん、本当にありがとうございます。

 日本中の子どもからお年寄りまで、目の見える人も見えない人も、そして日本語を学ぶすべての人たちが、この本に出会えますよう祈ります。学校図書館、公共図書館にもぜひ1冊はおいてくださるといいなあ、と思っています。

NPO多言語多読理事、スペイン語多読の会主催   川本かず子

「スペイン語多読の会」メンバー。写真右で原書を持っているのが川本かず子さん

 

川本かず子(NPO多言語多読 理事)

日本語学習者のためのレベル別読みものの執筆、監修、出版をしている。日本語講師、多読実践授業講師、指導者向け講座講師を務めている。2015年からスペイン語多読の会を主催。

にほんご よむよむ文庫 http://www.ask-books.com/tadoku/

にほんご多読ブックス収録内容(PDF)https://tadoku.org/wp/wp-content/uploads/2013/05/1-8title_list.pdf

 

2018/08/31 11:01